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第8話 呪い持ちの鼬瓏の視点2
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皇龍国の夜はアヤカシの時間となる。
昼は人、夜はアヤカシ。
アヤカシにも様々な存在がいる。自然に特化した精霊、瑞兆と呼ばれる幻獣あるいは神獣。アヤカシを祖に持つ一族。そして悪しき神、悪しき獣。
夜になればアヤカシを統制する王が存在する。
その力によって皇龍国は平和を維持してきた。
けれど今は──。
王宮に通じる門の傍には、様々な悪しき獣が顕現しつつある。四神は昼間ならばより力を発揮するが闇夜にはめっぽう弱い。アヤカシであっても夜に力を発揮できないアヤカシもいるのだ。
ここを守護していた女兵士たちはすでにいない。
最初に悪しき神が棲み着いた段階で、餌にされたのだ。あれは酷かった。
(くっ……。やはり夜になると悪しき獣が増える。まだ城下町を襲うこともないが、後宮から悪しき獣が出現しているという噂だけはなんとしても避けなければ……!)
アヤカシを討伐するため金龍の宝玉から作った剣で、四足獣を屠るが数が多い。呪いを受けてから体に力が入らず、上手く力が振るえない。
(このままでは……。しかし、沙羅紗殿にこれ以上頼るのは)
「第一限定解除、十六夜」
轟ッ!
凄まじい衝撃破に、四足獣は悲鳴を上げて消滅した。あまりにも圧倒的な力、いや、月夜を浴びて佇む彼女の姿は神々しく、美しかった。
「あ、やっぱり皇帝じゃない。夜の訪れるって言うから、アヤカシ退治のため武装して準備していたのに、襲われるなんて──」
「え、あ」
「ん? あーもしかしてユ」
「口に出すのは駄目だ!」
「そういう類い? うーん、そっか」
沙羅紗殿は私を颯懍様だと認識したがすぐに鼬瓏だと気付いた。特に昼間は呪われ、姿形が女人にしか見えないというのに。彼女だけは、昼も夜も関係なく私の正しい姿を認識している。
たったそれだけのことが嬉しくて、胸が熱くなる。だが呪い関係のことを彼女に話すことはできない。
「色々と説明できずにすまない。……アヤカシ退治は私が本来なら何とかすべきなのだが」
「ふーん。まあ、呪われているのなら副作用なんかがあるのかも」
「え」
「今日のこともそうだけれど、私に色々隠しているでしょう」
「ええっと……、よ、余はしらん」
呪いに関してはどのように作用するか分かっていない。そんな中で沙羅紗殿を巻き込むわけにはいかないのだ。もし私の落ち度で彼女も呪いに掛かってしまったが、そう考えるだけで気が狂いそうになる。
(出会って間もないのに、どうしてそんなことを思ってしまうのだろう?)
「そう、まあ何もかも秘密ばかりだと、信頼関係なんて築くなんて無理だと思うけれど」
その通りだが現在、術士に術式を確認して貰っている所なのだ。それが終わるまでは、誰にも明かさないほうがいい。それを口にしかけて、別の話題を振る。
「そ、それよりも、ソウゲツはどうした? 一人で出歩くなど危ないだろう」
「蒼月なら私の肩に」
そう言って沙羅紗殿は言葉を切った。
何処をどう見ても灰色のオコジョはぐでーんとした恰好で眠っていた。器用にも肩にしがみついている。
「必死にしがみついてて可愛い!」
「………………従僕として、それはどうなのだ」
「蒼月は家族です」
「家族」
「はい。兄……的なオカンです」
「オカン」
「超絶スパルタなくせに、過保護なのです」
「そ、そうか」
彼女たちの関係は、よくわからない。
恋人や夫婦とは異なるが、兄妹というには近すぎる気がしなくもない。普段なら誰かが何をしようと気にしないのに、どうしても沙羅紗殿が視線から外せない。
ふと、周囲に悪しき獣の大群が近づいてくるのを感じた。数で押すつもりなのだろう。今日はいつになく激しい。いくら何でも数が多いと思い、沙羅紗殿の手を引いて藤の花の下にある東屋に避難する。
「え、ユ──皇帝?」
「次の突撃は数が多い、一度引いて形勢を立て直す」
東屋に入った途端、気配遮断用の術式を展開する。これで少しは時間を稼げるだろう。
「ええっと、このハグは術式に何か関係が?」
「(し、しまった! つい抱き寄せて……)……あ、ああ。気配遮断する術式だ。術式が定着するまではこのまま出いて貰えるか」
「それは……まあ、……私のほうが役得というか、ギュッとされるのは好きですし……」
「余……私でもか?」
「昼間、言ったとおりです」
(昼間……)
そう彼女は颯懍様より好ましいと言ってくれた。それが無性に嬉しい。
「それは、光栄だ」
「……誰でもとか、痴女じゃないです。……その、貴方だからというか、むう。言語化が難しい」
混乱しているのか昼間は、飄々としていた彼女がしどろもどろになって腕の中にいるのが堪らない。耳が真っ赤で、よくわからない言葉の羅列を発しつつも、決してきらいじゃないアピールをする。
(昼間との差がすごいな。……ちょっと胸元に擦り寄っている感じが懐いた猫みたいで愛くるしい。というか可愛すぎないか?)
現在東屋の壁に身を隠しながら密着している。互いの心音が聞こえるほど近い。
その肌の温もり、吐息もすぐ傍だ。
離れがたい。
戦闘時だと分かっていても尚、心地よい。
理屈とかではなく、傍にいたいと。
そんなことは初めてだった。
***
「沙羅紗殿がほしい」
初めて颯懍様に願いを、我が儘を口にした。
影として生きると決めて、その生き方に不満もなかったが、その自分がここまで強く願うことがあるとは──人生はどうなるか分からないものだ。
李の花が咲き乱れる王宮の庭園で、颯懍様に頭を下げた。
「ふん。夜の間は余の姿で今まで通り好きに動けば良い。なんなら昼の役割もお前に一任してもいいんだぞ」
「ご冗談を。私はあくまでも影であり、アヤカシを統率するだけの存在。この呪いのせいで力も上手く発揮できなかった者が上に立つなど」
「あの呪いは、本来余が掛かるはずだった。それによって余を女人にして玉座を空席にすることで、実権を取りに幾つかの勢力が動いていたのだろう。そして第四王妃、陽家もその計画に一枚噛んでいた。もっとも皇帝が二人居るなど知る者は御三家当主、それらも誓約で縛っているため外にバレることはない。お前が謙虚かつ無欲だったからこそ、最悪の事態は防いだ。その功を今、果たそう」
「颯懍様……」
颯懍様は意地悪そうな笑みを浮かべつつ、言葉を続けた。
「ただ今はお前の存在を公にはできぬ。故に此度の一件が落ち着くまでは余の妻だ」
「……っ」
「だが夜の間は先ほども申したとおり、好きにするが良い。余も昼間の間は存分に我が妻との親睦を深めるとしよう」
「え、は?」
「なに、あれほどまでに余に意見を言う娘は面白い。それに弟が久し振りに感情を揺れ動かしたのだ、余とて興味がある」
「…………手を出したら腕を切り落とします」
「本当に容赦がないな。そこまで惚れているとは予想外だ」
「それは私自身が一番思っておりますよ。颯懍兄上」
昼は人、夜はアヤカシ。
アヤカシにも様々な存在がいる。自然に特化した精霊、瑞兆と呼ばれる幻獣あるいは神獣。アヤカシを祖に持つ一族。そして悪しき神、悪しき獣。
夜になればアヤカシを統制する王が存在する。
その力によって皇龍国は平和を維持してきた。
けれど今は──。
王宮に通じる門の傍には、様々な悪しき獣が顕現しつつある。四神は昼間ならばより力を発揮するが闇夜にはめっぽう弱い。アヤカシであっても夜に力を発揮できないアヤカシもいるのだ。
ここを守護していた女兵士たちはすでにいない。
最初に悪しき神が棲み着いた段階で、餌にされたのだ。あれは酷かった。
(くっ……。やはり夜になると悪しき獣が増える。まだ城下町を襲うこともないが、後宮から悪しき獣が出現しているという噂だけはなんとしても避けなければ……!)
アヤカシを討伐するため金龍の宝玉から作った剣で、四足獣を屠るが数が多い。呪いを受けてから体に力が入らず、上手く力が振るえない。
(このままでは……。しかし、沙羅紗殿にこれ以上頼るのは)
「第一限定解除、十六夜」
轟ッ!
凄まじい衝撃破に、四足獣は悲鳴を上げて消滅した。あまりにも圧倒的な力、いや、月夜を浴びて佇む彼女の姿は神々しく、美しかった。
「あ、やっぱり皇帝じゃない。夜の訪れるって言うから、アヤカシ退治のため武装して準備していたのに、襲われるなんて──」
「え、あ」
「ん? あーもしかしてユ」
「口に出すのは駄目だ!」
「そういう類い? うーん、そっか」
沙羅紗殿は私を颯懍様だと認識したがすぐに鼬瓏だと気付いた。特に昼間は呪われ、姿形が女人にしか見えないというのに。彼女だけは、昼も夜も関係なく私の正しい姿を認識している。
たったそれだけのことが嬉しくて、胸が熱くなる。だが呪い関係のことを彼女に話すことはできない。
「色々と説明できずにすまない。……アヤカシ退治は私が本来なら何とかすべきなのだが」
「ふーん。まあ、呪われているのなら副作用なんかがあるのかも」
「え」
「今日のこともそうだけれど、私に色々隠しているでしょう」
「ええっと……、よ、余はしらん」
呪いに関してはどのように作用するか分かっていない。そんな中で沙羅紗殿を巻き込むわけにはいかないのだ。もし私の落ち度で彼女も呪いに掛かってしまったが、そう考えるだけで気が狂いそうになる。
(出会って間もないのに、どうしてそんなことを思ってしまうのだろう?)
「そう、まあ何もかも秘密ばかりだと、信頼関係なんて築くなんて無理だと思うけれど」
その通りだが現在、術士に術式を確認して貰っている所なのだ。それが終わるまでは、誰にも明かさないほうがいい。それを口にしかけて、別の話題を振る。
「そ、それよりも、ソウゲツはどうした? 一人で出歩くなど危ないだろう」
「蒼月なら私の肩に」
そう言って沙羅紗殿は言葉を切った。
何処をどう見ても灰色のオコジョはぐでーんとした恰好で眠っていた。器用にも肩にしがみついている。
「必死にしがみついてて可愛い!」
「………………従僕として、それはどうなのだ」
「蒼月は家族です」
「家族」
「はい。兄……的なオカンです」
「オカン」
「超絶スパルタなくせに、過保護なのです」
「そ、そうか」
彼女たちの関係は、よくわからない。
恋人や夫婦とは異なるが、兄妹というには近すぎる気がしなくもない。普段なら誰かが何をしようと気にしないのに、どうしても沙羅紗殿が視線から外せない。
ふと、周囲に悪しき獣の大群が近づいてくるのを感じた。数で押すつもりなのだろう。今日はいつになく激しい。いくら何でも数が多いと思い、沙羅紗殿の手を引いて藤の花の下にある東屋に避難する。
「え、ユ──皇帝?」
「次の突撃は数が多い、一度引いて形勢を立て直す」
東屋に入った途端、気配遮断用の術式を展開する。これで少しは時間を稼げるだろう。
「ええっと、このハグは術式に何か関係が?」
「(し、しまった! つい抱き寄せて……)……あ、ああ。気配遮断する術式だ。術式が定着するまではこのまま出いて貰えるか」
「それは……まあ、……私のほうが役得というか、ギュッとされるのは好きですし……」
「余……私でもか?」
「昼間、言ったとおりです」
(昼間……)
そう彼女は颯懍様より好ましいと言ってくれた。それが無性に嬉しい。
「それは、光栄だ」
「……誰でもとか、痴女じゃないです。……その、貴方だからというか、むう。言語化が難しい」
混乱しているのか昼間は、飄々としていた彼女がしどろもどろになって腕の中にいるのが堪らない。耳が真っ赤で、よくわからない言葉の羅列を発しつつも、決してきらいじゃないアピールをする。
(昼間との差がすごいな。……ちょっと胸元に擦り寄っている感じが懐いた猫みたいで愛くるしい。というか可愛すぎないか?)
現在東屋の壁に身を隠しながら密着している。互いの心音が聞こえるほど近い。
その肌の温もり、吐息もすぐ傍だ。
離れがたい。
戦闘時だと分かっていても尚、心地よい。
理屈とかではなく、傍にいたいと。
そんなことは初めてだった。
***
「沙羅紗殿がほしい」
初めて颯懍様に願いを、我が儘を口にした。
影として生きると決めて、その生き方に不満もなかったが、その自分がここまで強く願うことがあるとは──人生はどうなるか分からないものだ。
李の花が咲き乱れる王宮の庭園で、颯懍様に頭を下げた。
「ふん。夜の間は余の姿で今まで通り好きに動けば良い。なんなら昼の役割もお前に一任してもいいんだぞ」
「ご冗談を。私はあくまでも影であり、アヤカシを統率するだけの存在。この呪いのせいで力も上手く発揮できなかった者が上に立つなど」
「あの呪いは、本来余が掛かるはずだった。それによって余を女人にして玉座を空席にすることで、実権を取りに幾つかの勢力が動いていたのだろう。そして第四王妃、陽家もその計画に一枚噛んでいた。もっとも皇帝が二人居るなど知る者は御三家当主、それらも誓約で縛っているため外にバレることはない。お前が謙虚かつ無欲だったからこそ、最悪の事態は防いだ。その功を今、果たそう」
「颯懍様……」
颯懍様は意地悪そうな笑みを浮かべつつ、言葉を続けた。
「ただ今はお前の存在を公にはできぬ。故に此度の一件が落ち着くまでは余の妻だ」
「……っ」
「だが夜の間は先ほども申したとおり、好きにするが良い。余も昼間の間は存分に我が妻との親睦を深めるとしよう」
「え、は?」
「なに、あれほどまでに余に意見を言う娘は面白い。それに弟が久し振りに感情を揺れ動かしたのだ、余とて興味がある」
「…………手を出したら腕を切り落とします」
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