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第4話 悪しき神の討伐依頼
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「この世界に来た時に名乗っていたぞ。どうせ混乱して聞いていなかったのだろう。皇龍国の皇帝だとか」
(全くもってその通りです。いやまあ豪華な衣装だし、偉そうだから立場上だって思っていたけれど、まさかの皇帝!)
やっちまったと頭を抱えたが、よく考えたら前にも似たことがあったのを思い出して途端に冷静になった。スンとしている私に皇帝は眉を顰めた。
「余が何者か知ったというのに、反応が薄くないか。驚愕し頭を下げると思ったのだが、予想が外れるとは──面白い女だ」
「龍神様や大天狗に喧嘩を打ったことを考えれば皇帝の一人や二人……」
「ハハハハッツ、これは良い! 皇帝である余に対して些か不遜な態度ではあるが、相手取る敵を考えればこれぐらい豪胆でなくては困る! 皆の者、茶番はこれでしまいだ」
「ハッ!!」
「……え」
皇帝が途端に笑い出したかと思えば、茶番だと言い出した。その反応によって周囲の雰囲気がガラリと変わる。
「まさか……今までの全部、私の実力を見るための……芝居?」
「然り。余としては、そんなことせずとも召喚者を見ればわかると言ったのだが……。そこにいる鼬瓏が、どうしてもと五月蝿くてな」
皇帝は鬱陶しそうに、女官に扮した男を一瞥する。呪いだと分かった瞬間に、彼の姿は男で固定されていて、もう女性には見えない。
(この人もこんな皇帝の傍で大変だろうな。……にしても男の姿だとなかなかに良い筋肉と鎖骨をお持ちで)
「我が主人よ……」
蒼月が残念なものを見るような顔をしていたが、放っておいてほしい。私にだって癒しは必要なのだから!
「陛下のおっしゃる通りです。召喚者様、全ての責任は私にあります。どうか、この首一つで怒りを収めて頂けないでしょうか」
声を上げたのは女官に扮した男だ。
あの尊大かつ傲慢な皇帝とは違い、彼は真剣な面持ちで剣を捨てて、頭を地面にこすりつけて平身低頭して許しを乞う。その姿に正直、引いた。
どうしてこう物騒な考え方が多いのだろうか。怒りを通り越して、なんだかどっと疲労感が出てきた。
「あー、もう! 首なんていらないわよ。私は生首の首飾りをつけた殺戮と破壊のカーリーじゃないんだから」
「沙羅紗殿……」
「ハッ、ますます気に入った。召喚者、沙羅紗だったか、改めて余は皇龍国第157代皇帝、龍羽・颯懍だ。悪しき神退治に協力を願う。むろん、元の世界に戻る際の時間軸は術士と仙人であれば造作もない」
「──っ」
本当に食えない男だ。私がもっとも気にしている時間問題の解決案を提示したのだから。それが本当か嘘か、どちらにしても協力しなければ、国家権力を使って何が何でも対応させられるだろう。
それができる立場なのもわかった。それならば無駄に対立するだけ無駄だ。
「わかったわ。詳しく話を聞かせて貰えるかしら」
「ああ、無論だ。悪しき神の復活まで時間がないからな」
危機的状況にもかかわらず颯懍は暢気に笑った。つい先ほどまで邪気に蝕まれ内蔵が腐敗し、片目は殆ど見えていなかったはずだ。一歩たりとも動かなかったのは、反射的に動ける状態ではなかった。
(そこまでしてでも皇帝としての矜持を守ろうとするとは、馬鹿なのか大面なのか。死にたがりなのか、切れ者なのか──どちらにしても、人を嬲り貶める男でなかっただけマシね)
***
この国の内情及びアヤカシ退治を話し合う場を設けるのはいい。
問題は話し合う場だ。普通、会議ならテーブルと椅子とかある円卓的な場所が適切ではないだろうか。だと言うのに案内された場所は玉座の間だ。
天井が高く、金をこれでもかとあしらった華美な内装に目眩を起こしそうになった。何でもかんでも豪華にすれば良いわけではないと思う。
(というか眩しくて落ち着かない!)
皇帝は祭壇に上にある豪華な長椅子に腰を開けて、他の文官や将軍たちに姿もあるが数が少ない。多すぎても会議がまとまらないようでは困るのだが、上層部だけ招集された感じがする。
「どうした? 余の偉大さを知って見惚れたか? 同じ席に着くことを許すぞ」
「いえ結構です。さっさと会議を始めてください」
皇帝の誘いをあっさりと拒絶した私に、周囲がざわつく。
「フッ、つれない奴だ。だが、その反応も新鮮だ」
(超ポジティブすぎる)
「まったくもって傲慢な奴だ。我が主人は我が膝の上に座るというのに」
「蒼月、なんで張り合おうとするの? 座らないからね? 空気読んで」
蒼月は武装そのものは解除しており、今は甲冑も脱いだ着物に羽織り姿だ。灰色の長い髪もそのままだが、身内贔屓であってもやっぱり蒼月はカッコいい。
「仕方ない。ほらクッションを用意したから使うといい」
(うん、相変わらずの過保護っぷり)
最後に鼬瓏が入場して、皇帝の横に控えた。なんとも側近、あるいは守護者みたいな立ち位置がなんだか不自然な感じかした。
「まずこの国にはアカヤシにもいくつか種類が分かれる。善なる神、精霊、吉兆をもたらす幻獣、悪しき神、厄災の獣、害虫……今回国に巣食うのは悪しき神であり、厄災に獣の側面を持つ」
「で、悪しき神の特徴は?」
「幾つもの鳴き声と邪気と瘴気を纏っている。名を読み解く前に封印したので、確定はできぬが……複数の可能性が高い」
「(うん、手がかりほぼゼロじゃん)私のいた国と同じ名かどうかは不明だけれど、もう少し特徴らしいものはないの? そもそもの始まりはなんだったのかも、わからないってこと?」
颯懍は僅かに黙り、思考の末ことの顛末を語り始めた。
「ふむ……。まず、凶の兆しがあり、七つの星が赤く染まった。その後、第四王妃の進言で国内に結界を張り巡らせたが、すでに悪しき神は国内に──後宮に潜り込んでいた」
「質問! 第四王妃が進言したって言うけれど、彼女は術者か何か?」
「仙女だ」
「仙女! きっと素敵な衣装なんだろうなぁ」
「食いついたのはそこか。巫女服も気に入っていたものな」
「あのひらひら具合がいいのよ」
ちょっと脱線してしまったが、颯懍は話を続けた。
「しかし仙女及び女術者の討伐も失敗。時間を稼ぐため余が贄として、悪しき神を封じることとなった。幾ばくかの猶予を有効活用すべく、召喚儀式を行ったというわけだ」
「仙人や術者がことごとく失敗って、そんなに厄介なアヤカシなの? 物理攻撃不可、逆鱗の一ヶ所以外全ての攻撃を反射させる、術者にトラウマを見せて克服しない限り目覚めない、絶対領域内での圧倒的不利な戦い……とか?」
全員、私に顔を向けるなり固まっていた。なんだろう。化け物でも見たような視線を感じる。
「今心から沙羅紗、お前と敵対しなくて良かったと思ったぞ」
周囲もうんうんと頷いている。なんか釈然としなかったので、顔を顰めた。
(どうせ私は規格外ですよ)
「我が主人よ、皇帝の先ほどの発言からして、今回の討伐場所は『後宮』。それも女人しか入れぬのだろう。だからこそ、唯一中に入れる皇帝が無茶をした──となれば、筋は通る」
「……え? あ、んー! まさか……後宮の男子禁制に則って術式的な制約が掛けられている?」
「ハハハッ! その通りだ!」
「じゃあ、鼬瓏の呪いもそれ関係だったりする?」
「ハハハ──ハア!?」
「!?」
(全くもってその通りです。いやまあ豪華な衣装だし、偉そうだから立場上だって思っていたけれど、まさかの皇帝!)
やっちまったと頭を抱えたが、よく考えたら前にも似たことがあったのを思い出して途端に冷静になった。スンとしている私に皇帝は眉を顰めた。
「余が何者か知ったというのに、反応が薄くないか。驚愕し頭を下げると思ったのだが、予想が外れるとは──面白い女だ」
「龍神様や大天狗に喧嘩を打ったことを考えれば皇帝の一人や二人……」
「ハハハハッツ、これは良い! 皇帝である余に対して些か不遜な態度ではあるが、相手取る敵を考えればこれぐらい豪胆でなくては困る! 皆の者、茶番はこれでしまいだ」
「ハッ!!」
「……え」
皇帝が途端に笑い出したかと思えば、茶番だと言い出した。その反応によって周囲の雰囲気がガラリと変わる。
「まさか……今までの全部、私の実力を見るための……芝居?」
「然り。余としては、そんなことせずとも召喚者を見ればわかると言ったのだが……。そこにいる鼬瓏が、どうしてもと五月蝿くてな」
皇帝は鬱陶しそうに、女官に扮した男を一瞥する。呪いだと分かった瞬間に、彼の姿は男で固定されていて、もう女性には見えない。
(この人もこんな皇帝の傍で大変だろうな。……にしても男の姿だとなかなかに良い筋肉と鎖骨をお持ちで)
「我が主人よ……」
蒼月が残念なものを見るような顔をしていたが、放っておいてほしい。私にだって癒しは必要なのだから!
「陛下のおっしゃる通りです。召喚者様、全ての責任は私にあります。どうか、この首一つで怒りを収めて頂けないでしょうか」
声を上げたのは女官に扮した男だ。
あの尊大かつ傲慢な皇帝とは違い、彼は真剣な面持ちで剣を捨てて、頭を地面にこすりつけて平身低頭して許しを乞う。その姿に正直、引いた。
どうしてこう物騒な考え方が多いのだろうか。怒りを通り越して、なんだかどっと疲労感が出てきた。
「あー、もう! 首なんていらないわよ。私は生首の首飾りをつけた殺戮と破壊のカーリーじゃないんだから」
「沙羅紗殿……」
「ハッ、ますます気に入った。召喚者、沙羅紗だったか、改めて余は皇龍国第157代皇帝、龍羽・颯懍だ。悪しき神退治に協力を願う。むろん、元の世界に戻る際の時間軸は術士と仙人であれば造作もない」
「──っ」
本当に食えない男だ。私がもっとも気にしている時間問題の解決案を提示したのだから。それが本当か嘘か、どちらにしても協力しなければ、国家権力を使って何が何でも対応させられるだろう。
それができる立場なのもわかった。それならば無駄に対立するだけ無駄だ。
「わかったわ。詳しく話を聞かせて貰えるかしら」
「ああ、無論だ。悪しき神の復活まで時間がないからな」
危機的状況にもかかわらず颯懍は暢気に笑った。つい先ほどまで邪気に蝕まれ内蔵が腐敗し、片目は殆ど見えていなかったはずだ。一歩たりとも動かなかったのは、反射的に動ける状態ではなかった。
(そこまでしてでも皇帝としての矜持を守ろうとするとは、馬鹿なのか大面なのか。死にたがりなのか、切れ者なのか──どちらにしても、人を嬲り貶める男でなかっただけマシね)
***
この国の内情及びアヤカシ退治を話し合う場を設けるのはいい。
問題は話し合う場だ。普通、会議ならテーブルと椅子とかある円卓的な場所が適切ではないだろうか。だと言うのに案内された場所は玉座の間だ。
天井が高く、金をこれでもかとあしらった華美な内装に目眩を起こしそうになった。何でもかんでも豪華にすれば良いわけではないと思う。
(というか眩しくて落ち着かない!)
皇帝は祭壇に上にある豪華な長椅子に腰を開けて、他の文官や将軍たちに姿もあるが数が少ない。多すぎても会議がまとまらないようでは困るのだが、上層部だけ招集された感じがする。
「どうした? 余の偉大さを知って見惚れたか? 同じ席に着くことを許すぞ」
「いえ結構です。さっさと会議を始めてください」
皇帝の誘いをあっさりと拒絶した私に、周囲がざわつく。
「フッ、つれない奴だ。だが、その反応も新鮮だ」
(超ポジティブすぎる)
「まったくもって傲慢な奴だ。我が主人は我が膝の上に座るというのに」
「蒼月、なんで張り合おうとするの? 座らないからね? 空気読んで」
蒼月は武装そのものは解除しており、今は甲冑も脱いだ着物に羽織り姿だ。灰色の長い髪もそのままだが、身内贔屓であってもやっぱり蒼月はカッコいい。
「仕方ない。ほらクッションを用意したから使うといい」
(うん、相変わらずの過保護っぷり)
最後に鼬瓏が入場して、皇帝の横に控えた。なんとも側近、あるいは守護者みたいな立ち位置がなんだか不自然な感じかした。
「まずこの国にはアカヤシにもいくつか種類が分かれる。善なる神、精霊、吉兆をもたらす幻獣、悪しき神、厄災の獣、害虫……今回国に巣食うのは悪しき神であり、厄災に獣の側面を持つ」
「で、悪しき神の特徴は?」
「幾つもの鳴き声と邪気と瘴気を纏っている。名を読み解く前に封印したので、確定はできぬが……複数の可能性が高い」
「(うん、手がかりほぼゼロじゃん)私のいた国と同じ名かどうかは不明だけれど、もう少し特徴らしいものはないの? そもそもの始まりはなんだったのかも、わからないってこと?」
颯懍は僅かに黙り、思考の末ことの顛末を語り始めた。
「ふむ……。まず、凶の兆しがあり、七つの星が赤く染まった。その後、第四王妃の進言で国内に結界を張り巡らせたが、すでに悪しき神は国内に──後宮に潜り込んでいた」
「質問! 第四王妃が進言したって言うけれど、彼女は術者か何か?」
「仙女だ」
「仙女! きっと素敵な衣装なんだろうなぁ」
「食いついたのはそこか。巫女服も気に入っていたものな」
「あのひらひら具合がいいのよ」
ちょっと脱線してしまったが、颯懍は話を続けた。
「しかし仙女及び女術者の討伐も失敗。時間を稼ぐため余が贄として、悪しき神を封じることとなった。幾ばくかの猶予を有効活用すべく、召喚儀式を行ったというわけだ」
「仙人や術者がことごとく失敗って、そんなに厄介なアヤカシなの? 物理攻撃不可、逆鱗の一ヶ所以外全ての攻撃を反射させる、術者にトラウマを見せて克服しない限り目覚めない、絶対領域内での圧倒的不利な戦い……とか?」
全員、私に顔を向けるなり固まっていた。なんだろう。化け物でも見たような視線を感じる。
「今心から沙羅紗、お前と敵対しなくて良かったと思ったぞ」
周囲もうんうんと頷いている。なんか釈然としなかったので、顔を顰めた。
(どうせ私は規格外ですよ)
「我が主人よ、皇帝の先ほどの発言からして、今回の討伐場所は『後宮』。それも女人しか入れぬのだろう。だからこそ、唯一中に入れる皇帝が無茶をした──となれば、筋は通る」
「……え? あ、んー! まさか……後宮の男子禁制に則って術式的な制約が掛けられている?」
「ハハハッ! その通りだ!」
「じゃあ、鼬瓏の呪いもそれ関係だったりする?」
「ハハハ──ハア!?」
「!?」
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