52 / 88
第五章 今川と織田
第四十八矢 康光の読み
しおりを挟む「え……僕、死んだんですか? 生き返ったんじゃないんですか?」
「誠に残念ですが」
「そんな……」
「光村哉太様、貴方は生き返った訳ではありません。 今はまだ」
「え……それって、どう言う……」
光村哉太は、生き返った訳ではない、だが女神セラの、今はまだと言う言葉に、困惑していた。
「__じゃあ、ここって、どこなんですか? 天国とか地獄には見えないし、一体ここは」
「ここはガーデン、あの世とこの世の中心点に存在する場所です。 そしてガーデンとは、女神が死んだ人間の魂を導く場所でもあります」
「え……えっとぉ」
「とても困惑されていますね。 無理もありません。 ゆっくりと説明をさせて頂きます」
「は、はい……」
「地球の日本時間で、2027年4月7日 午前8時27分35秒……光村哉太様は通り魔であり薬物中毒者である林哲夫によって、包丁でお腹を刺され、貴方の意識は、ここガーデンへと導かれました」
「やっぱりあの時、僕は刺されたんだ」
「はい」
「でも、どうしてここに僕の意識が」
「貴方が強くそれを望まれたからでございます」
「僕が?」
「はい、通り魔に刺され、意識が朦朧としていた時、私は貴方に問いました。 生きたいかと、そして貴方は強く、生きたいと願った」
「!」
「私はその事を承諾し、貴方の魂をここへ導かせて頂きました」
「そうだ……僕はあの時……! あの!」
「はい……なんでございましょうか」
「佳奈は、佳奈は大丈夫なんですか! 生きてますよね!」
「はい、野村佳奈様は、今も生きています。 今は病院で、手術を終え意識が戻らない貴方のすぐ側にいます」
「意識が戻らない?」
「はい」
「それはきっと、僕がここにいるからですよね。 生き返る事ができるなら、僕を現世に戻してもらえませんか! お願いします!」
哉太は、これでもかと言うぐらい、頭を下げ、女神セラに頼んだ。
「そうする事自体は可能ですが、それはできません」
「え……なんでですか」
「今この状態で意識を戻せば、貴方はそのまま死んでしまうからです」
「え、でも今ここに」
「それは貴方の魂のみをガーデンに置いている為です。 貴方の本物の身体は、本来であれば死んでいる傷です。 手術したものの、身体がとても弱っています。 今このまま戻しても、貴方は生き返る事ができません」
「そんな……じゃあ僕は、二度と佳奈に」
「顔を上げてください……光村哉太様、方法がない訳では無いのです」
「え……」
「貴方が生き返る方法が、私が知る限り1つだけございます。 その1つと言うのは、別の次元の世界へと行き、そこで生命力を高めてもらうのです」
「別の世界?」
「分かりやすく言うのなら、異世界と呼ばれる場所でございます」
「い、異世界!? それって、アニメとかでよく聞く、あの異世界ですか?」
「はい、その異世界です」
「でも、どうして異世界に? それに生命力って」
「先程も申し上げた通り、今のあなたの身体は、生命力が0に等しいのです。 生命力を上げるには、どこか別の場所で、身体を動かし、生命力を上げていくのです」
「生命力って、身体を動かすだけで上がるんですか?」
「本来であれば、身体を動かすだけではなんの意味もありません。 ですがそこは、女神の力を使わせて頂きます」
「女神の力……」
「はい。 そして、生命力を上げる手助けとして、貴方に1つ、能力を授けました」
「能力って、一体どんな」
「『オーバー』という能力です。 ある条件を満たした時、貴方は限界を越えた力を得ることができます。 知識、パワー、思考速度、視野の拡大」
「なんか、凄いですね。 それでその、条件と言うのは」
「それは、特定の気持ちが深く高まった時です」
「特定の、気持ち」
「はい、詳しくは、実際使われた方が早いでしょう」
「わ、分かりました」
「それでは、異世界に向かうに辺り、絶対のルールをご説明させて頂きます」
「ルールですか?」
「はい。 異世界に行った際、基本的には、光村哉太様がなにをしても、我々は干渉しませんし、自由です。 ですが度を超えた行為、功績をした場合には、それなりの処罰が下ります。 度合いの大きさは、私女神セラが判断します」
「分かりました」
「世界を救い英雄になったり、困っている人々を助ける、そういった行ないは全然良いのですが、逆に世界を破壊、支配等の行為は処罰の対象になります」
「はい」
「それと、異世界の時間軸と日本の時間軸は全く違い、お互いに関与してません。 ですので異世界でどれだけの時間を過ごそうとも、戻る時には、あの瞬間の時間に戻すことが可能ですので、ご心配なさらなくて大丈夫でございます」
「そうなんですね! それは良かったです」
「他に何かご質問はありますでしょうか」
「異世界で死んでしまった場合って、どうなっちゃうんですか?」
「その時は、特定の回数内では生き返ることが可能です。 異世界では日本と違い魂の他に魔力という力が身体に流れています。 その魔力が尽きていなければ、可能です」
「そうなんですね」
「はい。 ちなみにその特定の回数は、私の力では、6回が限度です」
「6、分かりました。 頑張って生きます」
「はい。 それでは、光村哉太様、貴方を異世界へと転送します。 どうが貴方に、女神の奇跡があらんことを」
女神セラは右手を前に出し、光村哉太に転送魔法をかけ、身体が少しずつ透けていった。 消えた時には異世界に辿り着くと言うものだ。
「___」
光村哉太は、ゆっくりと目を開けた。
「ここが異世界、凄いな。 アニメやゲームで見たのと同じだ」
人生で初めて異世界に行き、ワクワクしていた。
「こういう時は、まずギルド、街の方だよな。 行くか」
光村哉太は、まず戦う職業、冒険者になる為に、ギルドがある街の方へと歩いていった。
~それと同じ頃、ある城にて~
「おい、いたか?」
「いやいない、早く見つけるぞ」
「あぁ、大罪人を処刑しないとなぁ」
「騎士アウラ、必ず見つけ出して、殺す」
「__はぁ……はぁはぁ(私はまだ死ぬ訳にはいかない)」
右腕を斬られ、頭からも血を流していた騎士長アウラという少女は、一般兵を殺した容疑者の汚名をきせられ、国から追われていた。
「(マイ、ごめん)」
ある約束の為、死ぬ訳にはいかない彼女はフードを被り、木を隠すなら森の中ということで、街の方へと逃げた。
「誠に残念ですが」
「そんな……」
「光村哉太様、貴方は生き返った訳ではありません。 今はまだ」
「え……それって、どう言う……」
光村哉太は、生き返った訳ではない、だが女神セラの、今はまだと言う言葉に、困惑していた。
「__じゃあ、ここって、どこなんですか? 天国とか地獄には見えないし、一体ここは」
「ここはガーデン、あの世とこの世の中心点に存在する場所です。 そしてガーデンとは、女神が死んだ人間の魂を導く場所でもあります」
「え……えっとぉ」
「とても困惑されていますね。 無理もありません。 ゆっくりと説明をさせて頂きます」
「は、はい……」
「地球の日本時間で、2027年4月7日 午前8時27分35秒……光村哉太様は通り魔であり薬物中毒者である林哲夫によって、包丁でお腹を刺され、貴方の意識は、ここガーデンへと導かれました」
「やっぱりあの時、僕は刺されたんだ」
「はい」
「でも、どうしてここに僕の意識が」
「貴方が強くそれを望まれたからでございます」
「僕が?」
「はい、通り魔に刺され、意識が朦朧としていた時、私は貴方に問いました。 生きたいかと、そして貴方は強く、生きたいと願った」
「!」
「私はその事を承諾し、貴方の魂をここへ導かせて頂きました」
「そうだ……僕はあの時……! あの!」
「はい……なんでございましょうか」
「佳奈は、佳奈は大丈夫なんですか! 生きてますよね!」
「はい、野村佳奈様は、今も生きています。 今は病院で、手術を終え意識が戻らない貴方のすぐ側にいます」
「意識が戻らない?」
「はい」
「それはきっと、僕がここにいるからですよね。 生き返る事ができるなら、僕を現世に戻してもらえませんか! お願いします!」
哉太は、これでもかと言うぐらい、頭を下げ、女神セラに頼んだ。
「そうする事自体は可能ですが、それはできません」
「え……なんでですか」
「今この状態で意識を戻せば、貴方はそのまま死んでしまうからです」
「え、でも今ここに」
「それは貴方の魂のみをガーデンに置いている為です。 貴方の本物の身体は、本来であれば死んでいる傷です。 手術したものの、身体がとても弱っています。 今このまま戻しても、貴方は生き返る事ができません」
「そんな……じゃあ僕は、二度と佳奈に」
「顔を上げてください……光村哉太様、方法がない訳では無いのです」
「え……」
「貴方が生き返る方法が、私が知る限り1つだけございます。 その1つと言うのは、別の次元の世界へと行き、そこで生命力を高めてもらうのです」
「別の世界?」
「分かりやすく言うのなら、異世界と呼ばれる場所でございます」
「い、異世界!? それって、アニメとかでよく聞く、あの異世界ですか?」
「はい、その異世界です」
「でも、どうして異世界に? それに生命力って」
「先程も申し上げた通り、今のあなたの身体は、生命力が0に等しいのです。 生命力を上げるには、どこか別の場所で、身体を動かし、生命力を上げていくのです」
「生命力って、身体を動かすだけで上がるんですか?」
「本来であれば、身体を動かすだけではなんの意味もありません。 ですがそこは、女神の力を使わせて頂きます」
「女神の力……」
「はい。 そして、生命力を上げる手助けとして、貴方に1つ、能力を授けました」
「能力って、一体どんな」
「『オーバー』という能力です。 ある条件を満たした時、貴方は限界を越えた力を得ることができます。 知識、パワー、思考速度、視野の拡大」
「なんか、凄いですね。 それでその、条件と言うのは」
「それは、特定の気持ちが深く高まった時です」
「特定の、気持ち」
「はい、詳しくは、実際使われた方が早いでしょう」
「わ、分かりました」
「それでは、異世界に向かうに辺り、絶対のルールをご説明させて頂きます」
「ルールですか?」
「はい。 異世界に行った際、基本的には、光村哉太様がなにをしても、我々は干渉しませんし、自由です。 ですが度を超えた行為、功績をした場合には、それなりの処罰が下ります。 度合いの大きさは、私女神セラが判断します」
「分かりました」
「世界を救い英雄になったり、困っている人々を助ける、そういった行ないは全然良いのですが、逆に世界を破壊、支配等の行為は処罰の対象になります」
「はい」
「それと、異世界の時間軸と日本の時間軸は全く違い、お互いに関与してません。 ですので異世界でどれだけの時間を過ごそうとも、戻る時には、あの瞬間の時間に戻すことが可能ですので、ご心配なさらなくて大丈夫でございます」
「そうなんですね! それは良かったです」
「他に何かご質問はありますでしょうか」
「異世界で死んでしまった場合って、どうなっちゃうんですか?」
「その時は、特定の回数内では生き返ることが可能です。 異世界では日本と違い魂の他に魔力という力が身体に流れています。 その魔力が尽きていなければ、可能です」
「そうなんですね」
「はい。 ちなみにその特定の回数は、私の力では、6回が限度です」
「6、分かりました。 頑張って生きます」
「はい。 それでは、光村哉太様、貴方を異世界へと転送します。 どうが貴方に、女神の奇跡があらんことを」
女神セラは右手を前に出し、光村哉太に転送魔法をかけ、身体が少しずつ透けていった。 消えた時には異世界に辿り着くと言うものだ。
「___」
光村哉太は、ゆっくりと目を開けた。
「ここが異世界、凄いな。 アニメやゲームで見たのと同じだ」
人生で初めて異世界に行き、ワクワクしていた。
「こういう時は、まずギルド、街の方だよな。 行くか」
光村哉太は、まず戦う職業、冒険者になる為に、ギルドがある街の方へと歩いていった。
~それと同じ頃、ある城にて~
「おい、いたか?」
「いやいない、早く見つけるぞ」
「あぁ、大罪人を処刑しないとなぁ」
「騎士アウラ、必ず見つけ出して、殺す」
「__はぁ……はぁはぁ(私はまだ死ぬ訳にはいかない)」
右腕を斬られ、頭からも血を流していた騎士長アウラという少女は、一般兵を殺した容疑者の汚名をきせられ、国から追われていた。
「(マイ、ごめん)」
ある約束の為、死ぬ訳にはいかない彼女はフードを被り、木を隠すなら森の中ということで、街の方へと逃げた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
敵は家康
早川隆
歴史・時代
旧題:礫-つぶて-
【第六回アルファポリス歴史・時代小説大賞 特別賞受賞作品】
俺は石ころじゃない、礫(つぶて)だ!桶狭間前夜を駆ける無名戦士達の物語。永禄3年5月19日の早朝。桶狭間の戦いが起こるほんの数時間ほど前の話。出撃に際し戦勝祈願に立ち寄った熱田神宮の拝殿で、織田信長の眼に、彼方の空にあがる二条の黒い煙が映った。重要拠点の敵を抑止する付け城として築かれた、鷲津砦と丸根砦とが、相前後して炎上、陥落したことを示す煙だった。敵は、餌に食いついた。ひとりほくそ笑む信長。しかし、引き続く歴史的大逆転の影には、この両砦に籠って戦い、玉砕した、名もなき雑兵どもの人生と、夢があったのである・・・
本編は「信長公記」にも記された、このプロローグからわずかに時間を巻き戻し、弥七という、矢作川の流域に棲む河原者(被差別民)の子供が、ある理不尽な事件に巻き込まれたところからはじまります。逃亡者となった彼は、やがて国境を越え、風雲急を告げる東尾張へ。そして、戦地を駆ける黒鍬衆の一人となって、底知れぬ謀略と争乱の渦中に巻き込まれていきます。そして、最後に行き着いた先は?
ストーリーはフィクションですが、周辺の歴史事件など、なるべく史実を踏みリアリティを追求しました。戦場を駆ける河原者二人の眼で、戦国時代を体感しに行きましょう!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

【架空戦記】蒲生の忠
糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。
明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。
その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。
両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。
一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。
だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。
かくなる上は、戦うより他に道はなし。
信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる