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第二章 動乱の今川家
第十六矢 方ノ上城の戦い
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数日後、北条の援軍と駿府館にて合流した俺は、一万二千の兵を率いてついに恵探軍の討伐に乗り出した。
義元軍はまず恵探軍の重要拠点である方ノ上城を包囲。対する城主・狩野景茂は義元側の降伏勧告を無視して籠城を決め込んだ。これにより、義元軍は方ノ上城の攻撃を開始する。
一方、福島正成はというと方ノ上城を奪われれば大きな痛手になると正成は判断して、方ノ上城へ二千の兵を率いて救援へと向かった。
ほぼ勝ち目がない戦であることは正成も分かってはいたが、僅かな希望に賭けて義元軍に戦を挑んだのだ。
これにより、方ノ上城を巡って戦が始まった。
「とりあえず包囲は北条さんに任せて、俺たちは恵探軍と戦いますか。」
俺はまず方ノ上城の包囲を北条軍に託して、恵探軍との戦に臨むために軍の陣形を整えようとした。
その夜のこと―
俺が何やら騒がしい声に目を覚ますと、吉田氏好が俺の目の前にいた。
「……なんかあった?」
「恵探軍が我が軍に奇襲を仕掛け申しました…!」
「マジですか。」
「突撃ぃー!!」
そんな正成の号令と共に、恵探軍は義元軍の陣形が整わないうちに奇襲を仕掛けたのだ。
もう後がない恵探軍の兵らは、必死の形相で義元軍の兵を斬り倒していく。
一番近くに布陣していた瀬名氏貞も善処はしていたが、恵探軍の猛攻に押されていた。
奇襲は成功したものと思われた。
彼らさえいなければ。
(あれは何だ…?)
正成が見る方向には、ものすごい勢いで恵探軍を蹴散らす兵たちがいた。
その先頭にいたのは、駿府館の戦いにて正成と槍を交えた相手―岡部親綱であった。
「福島正成!どこにおる!」
親綱はキョロキョロと正成を探しながら、敵を葬っていく。
(またあやつか、鬱陶しい…)
このままでは義元軍に押し返されてしまうと考えた正成は第二の策として、八百の兵を別働隊として親綱や氏貞の後ろに回り込ませて挟撃しようと画策する。
しかし、今度は朝比奈泰能が挟撃させまいとその別働隊と対峙した。
「今回こそ殿の役に立たねば!」
そう張り切っている泰能が勢いのままに別働隊を激しく攻め立て、別働隊は潰走を始める。
さらには、一時は劣勢に立たされていた氏貞も立て直しつつあった。
「さすがにそうは上手くいかぬか…」
正成は冷や汗を垂らして、頭の中で考えを巡らす。
奇襲も、挟撃も失敗してしまった。これ以上の兵の消耗は無意味だ。かといって、ここで退けばかなりの痛手は避けられない。
正成が考えている間にも次々に兵は倒されていく。
正成は苦渋の決断を下した。
「全軍、撤退せよ―」
その頃、方ノ上城でも動きがあった。
このままではどちらにせよ負ける。
そう感じた景茂が五百の兵を率いて打って出てきたのだ。
だがしかし、数も士気も方ノ上城兵よりも優っている北条軍を前に為す術がなかった。
「狩野景茂、討ち取ったり!」
これをもって、方ノ上城は俺の手に落ちたのであった。
その後、義元は恵探軍の本拠地である久能城へと兵を進める。
敗れた恵探軍は早々に久能城を放棄して、より籠城戦がしやすい花倉城へと退却した。
義元軍はまず恵探軍の重要拠点である方ノ上城を包囲。対する城主・狩野景茂は義元側の降伏勧告を無視して籠城を決め込んだ。これにより、義元軍は方ノ上城の攻撃を開始する。
一方、福島正成はというと方ノ上城を奪われれば大きな痛手になると正成は判断して、方ノ上城へ二千の兵を率いて救援へと向かった。
ほぼ勝ち目がない戦であることは正成も分かってはいたが、僅かな希望に賭けて義元軍に戦を挑んだのだ。
これにより、方ノ上城を巡って戦が始まった。
「とりあえず包囲は北条さんに任せて、俺たちは恵探軍と戦いますか。」
俺はまず方ノ上城の包囲を北条軍に託して、恵探軍との戦に臨むために軍の陣形を整えようとした。
その夜のこと―
俺が何やら騒がしい声に目を覚ますと、吉田氏好が俺の目の前にいた。
「……なんかあった?」
「恵探軍が我が軍に奇襲を仕掛け申しました…!」
「マジですか。」
「突撃ぃー!!」
そんな正成の号令と共に、恵探軍は義元軍の陣形が整わないうちに奇襲を仕掛けたのだ。
もう後がない恵探軍の兵らは、必死の形相で義元軍の兵を斬り倒していく。
一番近くに布陣していた瀬名氏貞も善処はしていたが、恵探軍の猛攻に押されていた。
奇襲は成功したものと思われた。
彼らさえいなければ。
(あれは何だ…?)
正成が見る方向には、ものすごい勢いで恵探軍を蹴散らす兵たちがいた。
その先頭にいたのは、駿府館の戦いにて正成と槍を交えた相手―岡部親綱であった。
「福島正成!どこにおる!」
親綱はキョロキョロと正成を探しながら、敵を葬っていく。
(またあやつか、鬱陶しい…)
このままでは義元軍に押し返されてしまうと考えた正成は第二の策として、八百の兵を別働隊として親綱や氏貞の後ろに回り込ませて挟撃しようと画策する。
しかし、今度は朝比奈泰能が挟撃させまいとその別働隊と対峙した。
「今回こそ殿の役に立たねば!」
そう張り切っている泰能が勢いのままに別働隊を激しく攻め立て、別働隊は潰走を始める。
さらには、一時は劣勢に立たされていた氏貞も立て直しつつあった。
「さすがにそうは上手くいかぬか…」
正成は冷や汗を垂らして、頭の中で考えを巡らす。
奇襲も、挟撃も失敗してしまった。これ以上の兵の消耗は無意味だ。かといって、ここで退けばかなりの痛手は避けられない。
正成が考えている間にも次々に兵は倒されていく。
正成は苦渋の決断を下した。
「全軍、撤退せよ―」
その頃、方ノ上城でも動きがあった。
このままではどちらにせよ負ける。
そう感じた景茂が五百の兵を率いて打って出てきたのだ。
だがしかし、数も士気も方ノ上城兵よりも優っている北条軍を前に為す術がなかった。
「狩野景茂、討ち取ったり!」
これをもって、方ノ上城は俺の手に落ちたのであった。
その後、義元は恵探軍の本拠地である久能城へと兵を進める。
敗れた恵探軍は早々に久能城を放棄して、より籠城戦がしやすい花倉城へと退却した。
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