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第一章 幼少期
第六矢 駿府からの使者
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鶯が春の始まりを告げる頃、建仁寺の境内にて子供達と蹴鞠をしている一人の若い僧侶がいた。
「承芳!また遊んでおったか!」
ゼエゼエと荒い息をしながら、和尚が若い僧侶のところまできた。ワアアアと子供達はそれぞれ散り散りに寺から出ていった。
「だって最近やってなかったし…」
「五日前にしとったばかりじゃろ!全くおぬしは…僧侶だという自覚はあるのか!」
そう、俺は和尚から梅岳承芳〔せんがく しょうほう〕という名前を与えられ、僧侶として建仁寺にいたのだ。
最初の頃は、和尚はthe高貴なお方って感じで修行の時も緊張感があった。だが段々と修行に飽きてきて、俺が寝たりサボったりしていくにつれて、ギャーギャー口うるさく叱るお節介じいちゃんとなっていった。
「おぬしと承菊に客が来とる。承菊にはもう伝えといた。おぬしも早う行くように!」
「了解。」
俺は返事をして客間まで向かった。
客間に入るとそこには、同じく改名した九英承菊改め太原崇孚〔たいげん すうふ〕と男が座っていた。
俺が崇孚の横に座ると、
「拙僧らに何の用でございましょうか?」
崇孚は男に用件を聞いた。
すると男は自らを名乗った。
「それがしは寿桂尼様の使者でございます。」
「寿桂尼様の…!」
崇孚はその名前を聞いて驚いた。
(寿桂尼って…確か俺の母親だったような。)
「で、俺の母ちゃんの使者がどうしたの?」
「はっ…貴方様には再び駿府館へとお戻りいただきたい。」
「それはつまり承芳を再び俗世に戻すということか?」
崇孚が使者の男に聞くと、使者の男は
「そこまでは聞いておりませぬ。それがしは芳菊丸殿―いえ、梅岳承芳殿を駿府館へと連れ戻すようにと命ぜられただけでございます。」
と言うだけだった。崇孚は少し考え込んだ後、使者の男に返事をした。
「あいわかった。承芳もよいか?」
「まあ会うだけならいいよ。」
「では、それがしは一足先にこのことを寿桂尼様にお伝えいたしまする。」
使者はそう言うと一足先に駿府へと帰っていった。
ということで俺たちは急きょ駿府へと帰ることになった。
建仁寺を出発する当日、和尚が見送りに来てくれた。
「おぬしたちは師弟揃って世話がかかったわ。あれはいつのことだったか、わしがまだ…」
「あっその話長くなる系?」
「ははは、師匠の別れ話は結構長いぞ。」
「もうよいわぁー!!」
和尚はそう叫ぶと、
「さっさと行くとよいわ!」
と、目に涙をうっすらと浮かべながら言い放った。
「はーい。じゃあまたね、じいちゃん。」
俺は和尚に手を振ると建仁寺を出発した。
「文を時々寄こすんじゃぞぉー!」
俺たちの後ろから和尚が少し震えた声でそう呼びかけた。
「しっかし、僧侶になった俺に何の用があるんだか。」
「そうだな。一体寿桂尼様は何を考えておられるのか…」
俺と崇孚は嫌な予感がしながらも、駿府へと足を運ばせた。
「承芳!また遊んでおったか!」
ゼエゼエと荒い息をしながら、和尚が若い僧侶のところまできた。ワアアアと子供達はそれぞれ散り散りに寺から出ていった。
「だって最近やってなかったし…」
「五日前にしとったばかりじゃろ!全くおぬしは…僧侶だという自覚はあるのか!」
そう、俺は和尚から梅岳承芳〔せんがく しょうほう〕という名前を与えられ、僧侶として建仁寺にいたのだ。
最初の頃は、和尚はthe高貴なお方って感じで修行の時も緊張感があった。だが段々と修行に飽きてきて、俺が寝たりサボったりしていくにつれて、ギャーギャー口うるさく叱るお節介じいちゃんとなっていった。
「おぬしと承菊に客が来とる。承菊にはもう伝えといた。おぬしも早う行くように!」
「了解。」
俺は返事をして客間まで向かった。
客間に入るとそこには、同じく改名した九英承菊改め太原崇孚〔たいげん すうふ〕と男が座っていた。
俺が崇孚の横に座ると、
「拙僧らに何の用でございましょうか?」
崇孚は男に用件を聞いた。
すると男は自らを名乗った。
「それがしは寿桂尼様の使者でございます。」
「寿桂尼様の…!」
崇孚はその名前を聞いて驚いた。
(寿桂尼って…確か俺の母親だったような。)
「で、俺の母ちゃんの使者がどうしたの?」
「はっ…貴方様には再び駿府館へとお戻りいただきたい。」
「それはつまり承芳を再び俗世に戻すということか?」
崇孚が使者の男に聞くと、使者の男は
「そこまでは聞いておりませぬ。それがしは芳菊丸殿―いえ、梅岳承芳殿を駿府館へと連れ戻すようにと命ぜられただけでございます。」
と言うだけだった。崇孚は少し考え込んだ後、使者の男に返事をした。
「あいわかった。承芳もよいか?」
「まあ会うだけならいいよ。」
「では、それがしは一足先にこのことを寿桂尼様にお伝えいたしまする。」
使者はそう言うと一足先に駿府へと帰っていった。
ということで俺たちは急きょ駿府へと帰ることになった。
建仁寺を出発する当日、和尚が見送りに来てくれた。
「おぬしたちは師弟揃って世話がかかったわ。あれはいつのことだったか、わしがまだ…」
「あっその話長くなる系?」
「ははは、師匠の別れ話は結構長いぞ。」
「もうよいわぁー!!」
和尚はそう叫ぶと、
「さっさと行くとよいわ!」
と、目に涙をうっすらと浮かべながら言い放った。
「はーい。じゃあまたね、じいちゃん。」
俺は和尚に手を振ると建仁寺を出発した。
「文を時々寄こすんじゃぞぉー!」
俺たちの後ろから和尚が少し震えた声でそう呼びかけた。
「しっかし、僧侶になった俺に何の用があるんだか。」
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俺と崇孚は嫌な予感がしながらも、駿府へと足を運ばせた。
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