レスカー帝国物語

海野 入鹿

文字の大きさ
上 下
25 / 27
ヌガルの戦い

ゲリラ戦

しおりを挟む
エラシス軍は森の中をぐんぐんと進んで行った。森の中は薄暗く、うっそうと背丈のある草が生えていて進軍の速度が遅くなっていた。
そうして森の中を進軍していると、突如前方から武具を持った小規模の集団が現れ、エラシスを襲撃した。
反乱軍である。

「私狙いか。」

エラシスはそう言うと、襲ってきた3、4人を大槍で一振りしてまとめて斬った。
レオも負けじと剣で応戦する。そして兵たちが本格的に攻撃態勢に入ろうとすると、反乱軍は後退していった。

「追いますか?」

とレオが聞くとエラシスは首を振った。

「いや、追わなくていい。地の利は向こうにある。追いつけんだろう。」

それから何度も反乱軍の襲撃があった。
横や後ろの茂みから突如現れたと思えば、すぐに姿を消す。そう、いわゆるゲリラ戦が行われたのだ。
このちまちまとしたに戦いに苛立っていた将軍がいた。ガルフ将軍である。

「むう…下民共が小賢しい真似をしてくれる。」

四大貴族の家の甥で貴族至上主義のガルフにとって、スラム街の人間ごときにいいようにやられるのは屈辱だった。
将軍も兵たちも苛立ちがピークに達しかけていたその時、横の茂みから再び反乱軍が奇襲を仕掛けてきた。

「ちっ下民風情が…何度も同じ手をくらうと思うな!」

ガルフ軍が態勢を立て直し反乱軍に応戦しようとすると、反乱軍は森の茂みへと姿を消そうと撤退していった。ガルフが声を荒げ、自軍の兵たちに命令した。

「今度こそ逃がすな!」

ガルフ軍は今度こそ逃がすまいと隊列お構いなしに反乱軍を追撃した。
ガルフ軍は順調に反乱軍を追撃できていた。

「よし!このまま殲滅するぞ!」

そうガルフが勢いづいたその時、三方面から突如反乱軍が姿を現す。そう、ガルフ軍は反乱軍におびき寄せられたのだ。

「なっ下民風情がこの俺をはめやがったのか!?」

ガルフ軍は一時撤退しようとするも、

「かかれぇー!」

の合図で襲いかかってくる反乱軍を相手に多大な犠牲を出した。
このことはすぐにエラシスに伝わった。

「まあ、そうなるであろうな。親のコネで将軍に出世した者が勝てるほど戦は甘くない。それで将軍は無事だったか?」

「将軍は無事のようです。」

「ならばよいわ。無能とはいえ、仮にも将軍が討ち取られたら全体の士気に関わる。」

「エラシス様。ここは一時撤退をした方がよろしいのでは?」

「ふふふ、まだ想定内だ。問題ない。このまま進むぞ。」

反乱軍に苦戦しているにもかかわらず、エラシスは余裕の笑みを見せていた。



「奇襲またもや成功。こちらの被害はほとんどありません。リーダー、今のところ僕たち有利に戦況が進んでいます。」

「おおおお、このままいけば帝国軍に勝てるぞ!」

一方の反乱軍では、帝国軍を圧倒していると士気が最高潮に高まっていた。そんな中で、反乱軍リーダーのアレクの顔は少し曇っていた。

順調だ。このまま行けば帝国軍に勝てる。だが、この違和感は何だ…

アレクは一抹の不安を抱いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売しています!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...