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ヌガルの戦い
再会
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「くそっくそっ下民共がぁ…」
ガレフ将軍は、何とか反乱軍の追撃をかわして逃げ延びていた。
しかし、全滅こそ免れたものの多大な犠牲を出し、生き残った兵も疲弊していた。
このままでは、また敗北するだろう
ガレフ軍の兵たちは誰しもがそう思い、士気はもはやないも同然までに低下していた。
ガレフはそんな悲惨な状態を八つ当たりしたいのか、わめき散らした。
「それもこれも全部、あの女が無策で挑んだからだ!そうに違いない!
でなければ、大貴族の一員である俺がこんな目にあうわけがないんだ!」
「…とでも言っとるのだろうなあ。」
エラシスはガレフの今言っていることを予測していた。
エラシス軍は現在もボロボロなガレフ軍をスルーして、進軍を続けていた。
(あの余裕といい今の進軍といい、エラシス様には何か策があるのだろうか。)
レオはそんな中、エラシスの余裕さを不思議に思っていた。と、同時にあることに気づく。
エラシス軍の兵数が少なくなっているのだ。
それも、反乱軍はおろか味方さえも少なくなっているのに気付かない程度に。
(まさかこれは…)
「ふふ、私の策が心配か?レオ。」
エラシス様はレオの顔をジッと見る。
レオはギクッとした。
「いっいえ、そんなことは…」
エラシスはレオの頭をポンポンと軽く叩きながらレオに言う。
「案ずるな、直に効果が出始める。」
一方その頃、順調に事が進んでいるはずの反乱軍に異変が生じ始めていた。
「撤退ー!」
反乱軍はちまちまとねちっこい戦闘を繰り広げていたのだが、
ガレフ軍を一網打尽にしてからというものの、先に予測されているように逆に待ち伏せを受けることが多くなっているのだ。
(これは一体…)
と反乱軍を率いる幹部たちが戸惑っていると、さらに奇妙なことが耳に入る。
なんと、仲間同士で争っているというのだ。
アレクを始めとして、反乱軍の兵たちはまさかの事態に少し混乱していた。
「ひとまず、全ての隊を僕のところへ集結させよう!」
アレクは態勢を再び整えるため、ゲリラ戦を行っていた全兵を一カ所に集めようと伝令を出す。
兵たちは次々に集結していき、ほとんどの兵が集まったその時、ピィーと笛のなる音が森に響き渡った。
すると、笛を鳴らした兵とその周辺の兵が反乱軍に牙を剥いた。
「なっ、まさか敵兵がいつの間にか紛れていたというのか!」
反乱軍は早く鎮圧させようと迎撃するも、なかなか攻めきることができない。
それもそのはず。彼らが相手にしているのは、エラシス軍の中でも精鋭とされる兵なのだから。
「さてと、これで本隊がいる場所が分かったな。」
エラシスはフフッと笑う。
「反乱軍も可愛いものだ。無能相手に圧勝し、勝ち誇っている間に、私たちの兵たちに偽装させてくれる時間をくれたのだから。」
エラシス軍のドドドドと迫ってくる音が反乱軍に聞こえてきた。
「くそったれ、迎え撃てー!!」
たちまちそこは戦場になり、人々は己が正義がために殺し合いを始める。
レオもまた相手を次々に斬っていった。
すると、
「お前、もしかしてレオ…なのか?」
聞き覚えのある声がした。
後ろを振り返ると、そこにはアレクが呆然とレオを見ていた。
かつて、共にスラム街で育ち絆を深め合った親友であり、相棒であった2人が今この戦場で邂逅したのだった。
ガレフ将軍は、何とか反乱軍の追撃をかわして逃げ延びていた。
しかし、全滅こそ免れたものの多大な犠牲を出し、生き残った兵も疲弊していた。
このままでは、また敗北するだろう
ガレフ軍の兵たちは誰しもがそう思い、士気はもはやないも同然までに低下していた。
ガレフはそんな悲惨な状態を八つ当たりしたいのか、わめき散らした。
「それもこれも全部、あの女が無策で挑んだからだ!そうに違いない!
でなければ、大貴族の一員である俺がこんな目にあうわけがないんだ!」
「…とでも言っとるのだろうなあ。」
エラシスはガレフの今言っていることを予測していた。
エラシス軍は現在もボロボロなガレフ軍をスルーして、進軍を続けていた。
(あの余裕といい今の進軍といい、エラシス様には何か策があるのだろうか。)
レオはそんな中、エラシスの余裕さを不思議に思っていた。と、同時にあることに気づく。
エラシス軍の兵数が少なくなっているのだ。
それも、反乱軍はおろか味方さえも少なくなっているのに気付かない程度に。
(まさかこれは…)
「ふふ、私の策が心配か?レオ。」
エラシス様はレオの顔をジッと見る。
レオはギクッとした。
「いっいえ、そんなことは…」
エラシスはレオの頭をポンポンと軽く叩きながらレオに言う。
「案ずるな、直に効果が出始める。」
一方その頃、順調に事が進んでいるはずの反乱軍に異変が生じ始めていた。
「撤退ー!」
反乱軍はちまちまとねちっこい戦闘を繰り広げていたのだが、
ガレフ軍を一網打尽にしてからというものの、先に予測されているように逆に待ち伏せを受けることが多くなっているのだ。
(これは一体…)
と反乱軍を率いる幹部たちが戸惑っていると、さらに奇妙なことが耳に入る。
なんと、仲間同士で争っているというのだ。
アレクを始めとして、反乱軍の兵たちはまさかの事態に少し混乱していた。
「ひとまず、全ての隊を僕のところへ集結させよう!」
アレクは態勢を再び整えるため、ゲリラ戦を行っていた全兵を一カ所に集めようと伝令を出す。
兵たちは次々に集結していき、ほとんどの兵が集まったその時、ピィーと笛のなる音が森に響き渡った。
すると、笛を鳴らした兵とその周辺の兵が反乱軍に牙を剥いた。
「なっ、まさか敵兵がいつの間にか紛れていたというのか!」
反乱軍は早く鎮圧させようと迎撃するも、なかなか攻めきることができない。
それもそのはず。彼らが相手にしているのは、エラシス軍の中でも精鋭とされる兵なのだから。
「さてと、これで本隊がいる場所が分かったな。」
エラシスはフフッと笑う。
「反乱軍も可愛いものだ。無能相手に圧勝し、勝ち誇っている間に、私たちの兵たちに偽装させてくれる時間をくれたのだから。」
エラシス軍のドドドドと迫ってくる音が反乱軍に聞こえてきた。
「くそったれ、迎え撃てー!!」
たちまちそこは戦場になり、人々は己が正義がために殺し合いを始める。
レオもまた相手を次々に斬っていった。
すると、
「お前、もしかしてレオ…なのか?」
聞き覚えのある声がした。
後ろを振り返ると、そこにはアレクが呆然とレオを見ていた。
かつて、共にスラム街で育ち絆を深め合った親友であり、相棒であった2人が今この戦場で邂逅したのだった。
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