レスカー帝国物語

海野 入鹿

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優雅なる貴族社会

次なる戦

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パーティーは成功といえるできだった。

皇太后にむきかけていた世間の目をそらし、かつ求心力や影響力を見せつけることで皇太后勢力に対しての牽制ができた。
また、四大貴族でパーティー不参加だったバルサーク家と皇太后一派の癒着についても、疑いからパーティーで得た貴族たちの情報で確信に変わった。
これにより、バルサーク家と他の四大貴族の対立が決定的になり、皇太后派とバルサーク家を除く四大貴族派の権力闘争は激しさを増していくことになる。

そんな風に貴族たちが権力闘争を繰り広げている傍ら、エラシスとレオは前のフラースでの戦いが嘘のようなほど平穏な日々を送っていた。

「どうした?私の顔をじーっと見つめて。」

「いっいえ!何でもありません!」

レオは慌てて下を向き、目の前にある朝食を食べはじめる。
あのパーティーの日以来、レオはエラシスに対してモヤモヤとした感情を抱いていた。

あの太陽のような笑顔がずっと頭から離れない。なんか俺、あの日から変だ…

レオ自身も初めて抱いたこの感情に戸惑いを見せていた。
一方のエラシスは、

レオとの鍛錬の日々も面白かったが、そろそろ戦が恋しくなってきたな

と戦を求めはじめていた。
そんな彼女の願いが届いたのか、南の反乱軍の鎮圧に大臣たちが乗り出さんとしていた。

南部の状況は思った以上に芳しくなかった。
ヌガルの戦いで反乱軍が事実上の勝利をおさめてからというもの、反乱軍の勢いはますます増してヌガルの森近辺の小都市を次々と攻略していった。
元々、そこらの小都市の守りが手薄だったのもあったが、何よりもテテンド帝国軍の侵攻に注視していたのと、そのテテンド帝国戦のホレイ川の戦いで大敗したのが反乱軍の勢いにさらに拍車をかけ、レスカー帝国軍の苦戦の要因となってしまった。
また、公にはされてないが、ホンラン王国とサイヨウ連合国が武器や資金を反乱軍に援助をしているのもなかなかレスカー帝国軍が鎮圧できない要因だった。
だが、大臣としては不本意だったが皇太后によりテテンド帝国と停戦協定を結ぶことができた。これにより北の憂いが無くなり、南に目を向けることができるようになったのだ。

反乱が長引けば、それは内戦になる。

そうなることを恐れる大臣たちは、北部の戦後処理を速やかに終わらせ、早々にエラシスを総大将とした討伐軍をフリーダムへと進軍させる。
一方、反乱軍はレスカー帝国軍の進軍の情報を知るやいなやヌガルの森にて迎撃する準備を始めた。

かくして、反乱軍とレスカー帝国軍の戦いの火蓋が切って落とされた―



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