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フラース攻防戦
両雄、激突
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完璧に近い陣形ほど一度崩されると脆い。陣形が崩れたノシェラン軍はすぐに突破できるだろう。
エラシスはそうノシェラン軍を侮っていた。
しかし、ノシェラン軍はエラシスの想像以上に粘り強かった。
正確には、エラシス軍は決定打が打てなかった。戦況的にはエラシス軍が優勢でノシェラン軍の兵たちを蹴散らしているのだが、ノシェラン軍は何としてでも通させまいとエラシス軍の突破を必死に食い止めていたのだ。
まさかここまでしぶといとは…。
ふふふ、なかなか私を楽しませてくれるではないか。
「…とはいえ、このまま長期戦になるのは好ましくないな。」
エラシスは前方を見渡して、
にやりと笑う。各将軍に急造の作戦を伝えると、
エラシス隊はさらに攻勢を強めた。
「兵を正面に集めよ!」
当然、ノシェランは攻勢強めるエラシス隊を抑え込むため正面に兵を集中させざる得なかった。
そこがエラシスの狙いだった。
ノシェラン隊とダクナハ隊、トマン隊のつなぎの部分にそれぞれ数十名の騎馬兵が突撃した。つなぎの部分とはいえ2000以上いる兵たちに、数十名の騎馬兵だけでは勝ち目はない。ゆえに、無謀な突撃だと思われた。が、次々にその騎馬集団はノシェラン軍の兵たちを蹴散らしていった。そう、この騎馬兵たちは皇帝直属の兵。つまり、戦好きの皇帝を戦場で支えるツワモノ集団だった。
まともにやり合っていれば、長期戦になると考えたエラシスは敵軍を分断して各個撃破しようと企んだのだ。
騎馬集団が切り開いた道にセランハルド隊とニユル隊がそれぞれ割り込み、ノシェラン軍の分断に成功した。
分断した各隊をエラシス軍はそれぞれ包囲しようとしていた。
ノシェラン軍の足止めもそろそろ限界を迎えていた。
「ノシェラン様、これ以上は…!」
「わかっている!もう充分に時間は稼いだ。
これより撤退する!レンズは隊の誘導を!」
ノシェラン軍は撤退を開始した。だが、その判断の少しの遅れが命取りとなった。エラシス隊が一気にノシェラン隊を突き破り、ノシェランがいる本陣の近くまで来たのだ。
「貴様が、この軍の総大将か。」
エラシスの大槍がノシェランに向かって突きを繰り出した。
ノシェランは間一髪で突きをかわすも
態勢を崩した。
「トドメだ!」
エラシスはここぞとばかりに追撃をする。
ノシェランはすぐに態勢を整えるとエラシスの突きをまた何とかかわし、エラシスに剣を振るう。その剣がかすり、エラシスの鎧に傷がついた。ノシェランはエラシスと互角の戦いを繰り広げた。
ノシェランは大将軍に最も近いと言われるだけあって他の将軍よりかは幾分か強かった。しかし、エラシスと対等に渡りあえるまでの力はなかったはずだった。
亡き友に託され、そして自分の夢である大将軍になるまでは死ねない。
その生への執念がノシェランをより強くしていた。
しかし、ノシェランは少しずつ劣勢になっていく。隙を見て撤退を試みるも、エラシスの連撃がそれを許さない。周りにいた兵たちも次々にエラシス軍にやられていく。
これが、皇帝エラシス……
ノシェランはエラシスの力をまざまざと見せつけられていた。
…だが、それでも私はこんなところでは死ねないのだ!
ノシェランの目は死んでいなかった。
「はあああ!」
ノシェランは負けじとエラシスの連撃を受け流し、反撃した。
この男……!
エラシスは驚く。そして疑問を持つ。
この男の強さは何なのか、と。
しかし、その疑問はエラシスには永遠に解けないだろう。
個の強さを極めたエラシスとエラシスが現在戦っている男の力の本質は、
永遠に相容れることのない、
対極に位置する力だったのだから―
エラシスはそうノシェラン軍を侮っていた。
しかし、ノシェラン軍はエラシスの想像以上に粘り強かった。
正確には、エラシス軍は決定打が打てなかった。戦況的にはエラシス軍が優勢でノシェラン軍の兵たちを蹴散らしているのだが、ノシェラン軍は何としてでも通させまいとエラシス軍の突破を必死に食い止めていたのだ。
まさかここまでしぶといとは…。
ふふふ、なかなか私を楽しませてくれるではないか。
「…とはいえ、このまま長期戦になるのは好ましくないな。」
エラシスは前方を見渡して、
にやりと笑う。各将軍に急造の作戦を伝えると、
エラシス隊はさらに攻勢を強めた。
「兵を正面に集めよ!」
当然、ノシェランは攻勢強めるエラシス隊を抑え込むため正面に兵を集中させざる得なかった。
そこがエラシスの狙いだった。
ノシェラン隊とダクナハ隊、トマン隊のつなぎの部分にそれぞれ数十名の騎馬兵が突撃した。つなぎの部分とはいえ2000以上いる兵たちに、数十名の騎馬兵だけでは勝ち目はない。ゆえに、無謀な突撃だと思われた。が、次々にその騎馬集団はノシェラン軍の兵たちを蹴散らしていった。そう、この騎馬兵たちは皇帝直属の兵。つまり、戦好きの皇帝を戦場で支えるツワモノ集団だった。
まともにやり合っていれば、長期戦になると考えたエラシスは敵軍を分断して各個撃破しようと企んだのだ。
騎馬集団が切り開いた道にセランハルド隊とニユル隊がそれぞれ割り込み、ノシェラン軍の分断に成功した。
分断した各隊をエラシス軍はそれぞれ包囲しようとしていた。
ノシェラン軍の足止めもそろそろ限界を迎えていた。
「ノシェラン様、これ以上は…!」
「わかっている!もう充分に時間は稼いだ。
これより撤退する!レンズは隊の誘導を!」
ノシェラン軍は撤退を開始した。だが、その判断の少しの遅れが命取りとなった。エラシス隊が一気にノシェラン隊を突き破り、ノシェランがいる本陣の近くまで来たのだ。
「貴様が、この軍の総大将か。」
エラシスの大槍がノシェランに向かって突きを繰り出した。
ノシェランは間一髪で突きをかわすも
態勢を崩した。
「トドメだ!」
エラシスはここぞとばかりに追撃をする。
ノシェランはすぐに態勢を整えるとエラシスの突きをまた何とかかわし、エラシスに剣を振るう。その剣がかすり、エラシスの鎧に傷がついた。ノシェランはエラシスと互角の戦いを繰り広げた。
ノシェランは大将軍に最も近いと言われるだけあって他の将軍よりかは幾分か強かった。しかし、エラシスと対等に渡りあえるまでの力はなかったはずだった。
亡き友に託され、そして自分の夢である大将軍になるまでは死ねない。
その生への執念がノシェランをより強くしていた。
しかし、ノシェランは少しずつ劣勢になっていく。隙を見て撤退を試みるも、エラシスの連撃がそれを許さない。周りにいた兵たちも次々にエラシス軍にやられていく。
これが、皇帝エラシス……
ノシェランはエラシスの力をまざまざと見せつけられていた。
…だが、それでも私はこんなところでは死ねないのだ!
ノシェランの目は死んでいなかった。
「はあああ!」
ノシェランは負けじとエラシスの連撃を受け流し、反撃した。
この男……!
エラシスは驚く。そして疑問を持つ。
この男の強さは何なのか、と。
しかし、その疑問はエラシスには永遠に解けないだろう。
個の強さを極めたエラシスとエラシスが現在戦っている男の力の本質は、
永遠に相容れることのない、
対極に位置する力だったのだから―
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