12 / 27
フラース攻防戦
苦肉の策
しおりを挟む
レスカー帝国皇帝の軍がノシェラン隊の本陣へ近づいてくる。先ほどまでのノシェラン隊の陣形はたった1人の武と知によって崩された。将軍もほとんどが討ち死にし、軍の統制がとれない。誰が見てもノシェラン軍の敗戦はあきらかだった。だが、ノシェランは未だに撤退をしようとしなかった。いや、正確にはできなかった。ここで何も成果がなく国へすごすごと帰ればその責を咎められ、自身の夢が潰えてしまう。ノシェランはそれだけは何が何でも避けたかった。ノシェランは、レンズの横にいるもう一人の副官に訪ねる。
「…ホーネン、
残っている将軍は誰がいる?」
「プビ、サナン、ナナル、カタ将軍は討ち死にしたらしいので、残っているのはダクナハ将軍とトマン将軍の2人。ですが、ダクナハ隊は先ほどの急襲で大半の兵を失っています。
実質上使い物になるのはトマン隊だけかと。」
ノシェランは戦場を見渡す。
左側の味方の隊たちは将軍がいなくなり、完全に崩壊している。あれを立て直すのはもはや不可能だ。右側はトマン隊を中心として何とか持ち堪えているが、長くは持たないだろう。ノシェランが打つ手は限られていた。
「これより一時後退し、トマン隊とノシェラン隊でU字に軍を展開する。左方はトマンに、右方は私の隊の半数を臨時的にダクナハ隊に組み込み、ダクナハに指揮をとらせよ。そして、中央は私が受け持つ。」
伝令係を放ち、トマンとダクナハに作戦を伝える。
苦肉の策だった。
指揮官の数も兵力も士気もエラシス軍に劣ってしまっている今、勝つことはおろか撤退すら厳しい状況だった。だが、それでもノシェランはエラシス軍に対抗できる策を考えたのだ。
ノシェラン軍は、フラースの城壁に設置してある大砲がぎりぎり届かないラインまで後退した。後退している間にノシェラン軍はすこしずつ陣形を整え、C<とエラシス軍に覆い被さるように陣形を展開した。
「これならば、勝つことは難しくとも足止めはできる。」
「足止め、ですか?」
「私たちに残された手段は一つ。このエラシス軍をできるだけ足止めをして、皇帝エラシスのフラース入城を遅らせることだ。」
「つまり、エラシス軍を私たちが足止めしているにガンドレ大将軍の軍にフラースを攻略してもらうということですね。」
「ああ、もしエラシス軍が入城でもしたらフラースの兵たちの士気がもの凄く上昇すると共に兵力も互角になってしまう。そうなれば、フラースを攻略することはほぼ不可能になる。
それだけは何としてでも避けねば…!」
「あの~そもそもフラースを今日中に攻略できるのでしょうか?今まで手こずってきた相手を急に倒せるようにはならないと思うのですけど…」
「確かに戦況は均衡状態だが、私たちの軍勢が終始有利に進めている。ガンドレ軍のことだから、このまま行けば今日中にでも攻略できるはずだ。」
一方でエラシス様は敵軍の陣形をつまらなそうに見ていた。
「この状況下では確かにそれが最善の策とも言える。…しかし、つまらん。つまらんなあ!
さっさと片付けてフラースへ入城するか。」
エラシス軍は後退したノシェラン軍に再び猛攻を仕掛けた。
※現在の戦況
・兵力
ノシェラン軍7万2000
(ノシェラン隊2万5000、トマン隊2万6800、ダクナハ隊2万200)
vs
エラシス軍11万9000
・指揮官
ノシェラン軍
ノシェラン、トマン、ダクナハ
エラシス軍
エラシス、イチ、ユフラウ、ニユル、
セランハルド
「…ホーネン、
残っている将軍は誰がいる?」
「プビ、サナン、ナナル、カタ将軍は討ち死にしたらしいので、残っているのはダクナハ将軍とトマン将軍の2人。ですが、ダクナハ隊は先ほどの急襲で大半の兵を失っています。
実質上使い物になるのはトマン隊だけかと。」
ノシェランは戦場を見渡す。
左側の味方の隊たちは将軍がいなくなり、完全に崩壊している。あれを立て直すのはもはや不可能だ。右側はトマン隊を中心として何とか持ち堪えているが、長くは持たないだろう。ノシェランが打つ手は限られていた。
「これより一時後退し、トマン隊とノシェラン隊でU字に軍を展開する。左方はトマンに、右方は私の隊の半数を臨時的にダクナハ隊に組み込み、ダクナハに指揮をとらせよ。そして、中央は私が受け持つ。」
伝令係を放ち、トマンとダクナハに作戦を伝える。
苦肉の策だった。
指揮官の数も兵力も士気もエラシス軍に劣ってしまっている今、勝つことはおろか撤退すら厳しい状況だった。だが、それでもノシェランはエラシス軍に対抗できる策を考えたのだ。
ノシェラン軍は、フラースの城壁に設置してある大砲がぎりぎり届かないラインまで後退した。後退している間にノシェラン軍はすこしずつ陣形を整え、C<とエラシス軍に覆い被さるように陣形を展開した。
「これならば、勝つことは難しくとも足止めはできる。」
「足止め、ですか?」
「私たちに残された手段は一つ。このエラシス軍をできるだけ足止めをして、皇帝エラシスのフラース入城を遅らせることだ。」
「つまり、エラシス軍を私たちが足止めしているにガンドレ大将軍の軍にフラースを攻略してもらうということですね。」
「ああ、もしエラシス軍が入城でもしたらフラースの兵たちの士気がもの凄く上昇すると共に兵力も互角になってしまう。そうなれば、フラースを攻略することはほぼ不可能になる。
それだけは何としてでも避けねば…!」
「あの~そもそもフラースを今日中に攻略できるのでしょうか?今まで手こずってきた相手を急に倒せるようにはならないと思うのですけど…」
「確かに戦況は均衡状態だが、私たちの軍勢が終始有利に進めている。ガンドレ軍のことだから、このまま行けば今日中にでも攻略できるはずだ。」
一方でエラシス様は敵軍の陣形をつまらなそうに見ていた。
「この状況下では確かにそれが最善の策とも言える。…しかし、つまらん。つまらんなあ!
さっさと片付けてフラースへ入城するか。」
エラシス軍は後退したノシェラン軍に再び猛攻を仕掛けた。
※現在の戦況
・兵力
ノシェラン軍7万2000
(ノシェラン隊2万5000、トマン隊2万6800、ダクナハ隊2万200)
vs
エラシス軍11万9000
・指揮官
ノシェラン軍
ノシェラン、トマン、ダクナハ
エラシス軍
エラシス、イチ、ユフラウ、ニユル、
セランハルド
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。
佐々木サイ
ファンタジー
異世界の辺境貴族の長男として転生した主人公は、前世で何をしていたかすら思い出せない。 次期領主の最有力候補になるが、領地経営なんてした事ないし、災害級の魔法が放てるわけでもない・・・・・・ ならばっ! 異世界に転生したので、頼れる相棒と共に、仲間や家族と共に成り上がれっ!
実はこっそりカクヨムでも公開していたり・・・・・・
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?
ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ロイレシア戦記:赤の章
方正
ファンタジー
遥か昔、世界は灰色の空の下、大地は枯れて荒野が世界の果てまで続いていました。
人々は魔物に怯え、暗闇の世界を細々と暮らしていました。
ある日、空から星が落ちました。
その星を受け止めた人は、世界を照らす光の魔法を手に入れました。
星を受け取った人は旅人して、世界を照らす旅を始めました。
旅を続ける中、旅人を王として慕う四人の騎士が現れました。
最後の旅に魔人と戦うことになり、魔人の王を倒すと旅人は命を落としてしまいます。
旅人は四人の騎士達と誓いを立てることになります。
世界を照らし続ける事を旅人は約束しました。
騎士達は4つの方角を向いて、大地を守る事を約束しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる