10 / 27
フラース攻防戦
激突
しおりを挟む
エラシス軍は破竹の勢いでフラースへと進撃を続けていくなか、テテンド帝国兵が隊列を組み始めたのがわかった。
そう、エラシス軍が現在攻撃している軍とは、レスカー帝国侵攻時に約20万もの兵を率いたノシェラン軍であったのだ。ノシェランの指示の元、ノシェラン軍は素早く陣形を展開していた。
「ちっ…!さすがに勢いだけでは突破できんか…だが、まだ想定内だ。陣形を整えよ!」
エラシスは舌打ちしながらも、自らの軍に陣形を整えるように命令を出す。すると、エラシスの隊を先頭にV字型の陣形が自然とできあがった。事前に、混乱状態が消えた場合のテテンド帝国軍との戦の仕方を各将軍はじめ兵らに伝達していたのだ。
ついに、両軍が激突した。
「守りを固めろ!」
ノシェラン軍がエラシス軍の勢いを止めようとする。一方のエラシス軍も
「突き破れええ!」
とエラシス先頭にノシェラン軍の陣形を崩そうとしていた。双方の兵力は互角であったが、勢いがあったエラシス軍がノシェラン軍をわずかに上回り、軍の後方にいるノシェランの本陣に近づいてくる。
しかし、それでもノシェランは全く本陣から動かなかった。副官であるレンズが慌てて、
「ノシェラン様!退却の指示を!」
とノシェランに一時退却を進言するが、
「馬鹿者。
退却なんぞしたらフラースの南側の包囲網が壊滅するだろう。
そう慌てるな、じきに敵の進撃は止まる。」
と、レンズの進言を聞き入れなかった。
ノシェランの顔にはまだ余裕が見えた。
一方のエラシス軍はノシェラン軍の中を突き進んでいき、ついに後衛のノシェラン自らが率いているノシェラン隊がいるところまで来た。しかし、そこでエラシス軍の動きが止まる。ノシェラン隊の防御隊形にエラシス軍が攻めあぐねていたのだ。エラシス軍に隊列を崩されかけると交戦していた列がすぐさま後方に下がり、後方にいた列が前方に出てくる。隊列を組み直したらまた前方に来て、前方で戦っていた列と交代する。その繰り返しでエラシス軍に突破されることをしぶとく防いでいたのだ。他の隊よりもノシェラン隊の動きは無駄がなく、統制がとれていた。
「敵ながら見事だ。これほど洗練された動きをする兵たちは今まで見たことがない。
こやつらの将はなかなかのものとみえる。」
エラシスは一種の感動を覚えた。
「…すごい!レスカー帝国軍の進撃を止めた!」
レンズがそう驚いていると、
「だから言ったであろう。敵の進撃は止まるとな。」
と、ノシェランがニヤリと笑いながら言うのであった。
《現在の戦況》
・兵数
ノシェラン軍13万8000
vs
エラシス軍13万600
・指揮官
ノシェラン他将軍6名 vs 皇帝と将軍4名
※エラシス、ノシェラン軍の陣形について
○エラシス軍
エラシス軍が今回使ったのは、「偃月」と呼ばれる陣形です。大将を先頭として∧型に軍を展開する陣形で、高い士気や攻撃力を誇る一方で、大将が早期に死傷するリスクが高い諸刃の剣の陣形です。小規模の部隊や練度が低い軍を直接指揮するときに使われます。今回のエラシス軍は早急に集められた兵なので軍の練度が低かったのもエラシスが偃月を使った理由の一つです。
○ノシェラン軍
ノシェラン軍は「方陣」と呼ばれる陣形でエラシス軍に対抗しました。この方陣とは正方形の陣形で、防御に特化した陣形となっています。ノシェラン軍の方陣は従来の陣形と少し違っていて、横に長い長方形となっています。
※副官とは
副官とは、各将軍に連れ添う将軍見習い的な人たちです。1人の将軍につき副官は0~6人程度います。副官は将軍のそばで経験を積み上げることで将軍として必要な要素を培っていきます。また、将軍に意見を求められたり、兵糧の管理を任せられたりと将軍をサポートする役目もあります。ちなみに、レオは正式な副官ではないですが、エラシスに副官がいないので実質上の副官となっています。
そう、エラシス軍が現在攻撃している軍とは、レスカー帝国侵攻時に約20万もの兵を率いたノシェラン軍であったのだ。ノシェランの指示の元、ノシェラン軍は素早く陣形を展開していた。
「ちっ…!さすがに勢いだけでは突破できんか…だが、まだ想定内だ。陣形を整えよ!」
エラシスは舌打ちしながらも、自らの軍に陣形を整えるように命令を出す。すると、エラシスの隊を先頭にV字型の陣形が自然とできあがった。事前に、混乱状態が消えた場合のテテンド帝国軍との戦の仕方を各将軍はじめ兵らに伝達していたのだ。
ついに、両軍が激突した。
「守りを固めろ!」
ノシェラン軍がエラシス軍の勢いを止めようとする。一方のエラシス軍も
「突き破れええ!」
とエラシス先頭にノシェラン軍の陣形を崩そうとしていた。双方の兵力は互角であったが、勢いがあったエラシス軍がノシェラン軍をわずかに上回り、軍の後方にいるノシェランの本陣に近づいてくる。
しかし、それでもノシェランは全く本陣から動かなかった。副官であるレンズが慌てて、
「ノシェラン様!退却の指示を!」
とノシェランに一時退却を進言するが、
「馬鹿者。
退却なんぞしたらフラースの南側の包囲網が壊滅するだろう。
そう慌てるな、じきに敵の進撃は止まる。」
と、レンズの進言を聞き入れなかった。
ノシェランの顔にはまだ余裕が見えた。
一方のエラシス軍はノシェラン軍の中を突き進んでいき、ついに後衛のノシェラン自らが率いているノシェラン隊がいるところまで来た。しかし、そこでエラシス軍の動きが止まる。ノシェラン隊の防御隊形にエラシス軍が攻めあぐねていたのだ。エラシス軍に隊列を崩されかけると交戦していた列がすぐさま後方に下がり、後方にいた列が前方に出てくる。隊列を組み直したらまた前方に来て、前方で戦っていた列と交代する。その繰り返しでエラシス軍に突破されることをしぶとく防いでいたのだ。他の隊よりもノシェラン隊の動きは無駄がなく、統制がとれていた。
「敵ながら見事だ。これほど洗練された動きをする兵たちは今まで見たことがない。
こやつらの将はなかなかのものとみえる。」
エラシスは一種の感動を覚えた。
「…すごい!レスカー帝国軍の進撃を止めた!」
レンズがそう驚いていると、
「だから言ったであろう。敵の進撃は止まるとな。」
と、ノシェランがニヤリと笑いながら言うのであった。
《現在の戦況》
・兵数
ノシェラン軍13万8000
vs
エラシス軍13万600
・指揮官
ノシェラン他将軍6名 vs 皇帝と将軍4名
※エラシス、ノシェラン軍の陣形について
○エラシス軍
エラシス軍が今回使ったのは、「偃月」と呼ばれる陣形です。大将を先頭として∧型に軍を展開する陣形で、高い士気や攻撃力を誇る一方で、大将が早期に死傷するリスクが高い諸刃の剣の陣形です。小規模の部隊や練度が低い軍を直接指揮するときに使われます。今回のエラシス軍は早急に集められた兵なので軍の練度が低かったのもエラシスが偃月を使った理由の一つです。
○ノシェラン軍
ノシェラン軍は「方陣」と呼ばれる陣形でエラシス軍に対抗しました。この方陣とは正方形の陣形で、防御に特化した陣形となっています。ノシェラン軍の方陣は従来の陣形と少し違っていて、横に長い長方形となっています。
※副官とは
副官とは、各将軍に連れ添う将軍見習い的な人たちです。1人の将軍につき副官は0~6人程度います。副官は将軍のそばで経験を積み上げることで将軍として必要な要素を培っていきます。また、将軍に意見を求められたり、兵糧の管理を任せられたりと将軍をサポートする役目もあります。ちなみに、レオは正式な副官ではないですが、エラシスに副官がいないので実質上の副官となっています。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売しています!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる