レスカー帝国物語

海野 入鹿

文字の大きさ
上 下
6 / 27
プロローグ

 牢屋での日々

しおりを挟む

俺は気づくと、鎖で手足を繋がれていた。
牢屋に俺は囚われているようだった。

「目が覚めたか。」

前を見ると、エラシスが仁王立ちして立っていた。

「一応貴様に聞いておこう。貴様、私の奴隷になる気はないか?」

「笑わせるぜ!
俺はお前のような民を大切にしない、
くそ野郎の奴隷になる気はねえ!」

「まあそうだろうな。
ではお前たち、こやつを拷問しろ!
くれぐれも殺すなよ。」

すると、複数の覆面の屈強な男たちが俺の牢の中へ入ってきた。

「俺は絶対に屈しねえ!」

「その態度がいつまで続くか、見物だな。」

エラシスはそう言うと、牢屋から去っていった。


それからというもの、拷問を受ける日々が始まった。

―鞭打ち―

覆面の男は革でできた鞭を取り出すと、俺をその鞭で打つ。腕や太股、下腹部など至る所が鞭で打たれた跡が刻まれていく。じんじんと痛みがじわじわときたが、俺はその痛みに耐えた。俺は一日中鞭で打たれた。

―水責め―

とある日、覆面の男は水の入った水槽を持ってきた。すると、覆面の男は俺の頭をその水槽の中に漬けた。
俺は、水中から頭を上げようとするが、男の力が強く顔を上げられない。
死ぬ…!と思った瞬間、男は俺の頭を水中から上げる。

「ゴホッゴホッ!…ゼーゼー…」

と息をつこうとすると、再び男は俺の頭を水に漬ける。それが永遠のように繰り返された。

―毒―

またある日には、小瓶に入った液体を強制的に飲まされた。その液体を飲んだ瞬間、全身に激痛が走り、血を吐いた。

「ぐっああああ!死ぬ!死ぬ!ああああ!」

その後、三日間痛みが走り続けた。

これらの他にも死ぬような思いをした拷問をレオは受けた。最初こそ強気だったレオだが、そんな日々が二十日も続き、レオは極限状態に陥っていた。そして、レオが拷問を受けてから二十一日目の朝、

「…てください。」

「ああ?聞こえねえなあ?」

「もうやめてください…何でもしますので…」

俺は、虚ろな目で懇願した。

「つまり、おめえは皇帝陛下の奴隷になることを認めたってことだな?」

「はい…」

すると、覆面の男たちの中の1人が牢屋から出て行き、エラシスを連れて牢屋へ戻ってきた。

「鎖を外してやれ。」

「はっ」

覆面の男が俺の鎖を外した。

「私に土下座して懇願しろ。私の奴隷になりたいとな。」

俺は土下座した。体が小刻みに震える。
俺はわずかに残っていた人間としてのプライドでなかなか言い出せなかった。

「どうした?まだ拷問が足りなかったか?」

エラシスがそう言うと、
覆面の男たちが俺を再び鎖につなごうとする。

もうあんな目に会いたくない!

俺はわずかに残っていたプライドも捨てた。

「お、俺を…皇帝陛下の奴隷にしてください!」

「…よかろう。
お前ら、こいつに奴隷印を。」

覆面の男たちが俺の腕に奴隷印を押した。ジュウウと肉の焼ける音がした。
これで俺は正真正銘の奴隷となった。

「アハハハハハハハハ!」

俺は笑い出す。

アレクを裏切ることになること、自分の命ほしさに帝国に屈することに俺の心は耐えきれなかった。笑い終わると、

「う…おえ、げええええ」

俺は罪悪感と自分への嫌悪感で、
その場で吐いた。

俺は、こうして牢屋から解放された。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

追い出された万能職に新しい人生が始まりました

東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」 その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。 『万能職』は冒険者の最底辺職だ。 冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。 『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。 口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。 要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。 その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

処理中です...