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プロローグ
牢屋での日々
しおりを挟む俺は気づくと、鎖で手足を繋がれていた。
牢屋に俺は囚われているようだった。
「目が覚めたか。」
前を見ると、エラシスが仁王立ちして立っていた。
「一応貴様に聞いておこう。貴様、私の奴隷になる気はないか?」
「笑わせるぜ!
俺はお前のような民を大切にしない、
くそ野郎の奴隷になる気はねえ!」
「まあそうだろうな。
ではお前たち、こやつを拷問しろ!
くれぐれも殺すなよ。」
すると、複数の覆面の屈強な男たちが俺の牢の中へ入ってきた。
「俺は絶対に屈しねえ!」
「その態度がいつまで続くか、見物だな。」
エラシスはそう言うと、牢屋から去っていった。
それからというもの、拷問を受ける日々が始まった。
―鞭打ち―
覆面の男は革でできた鞭を取り出すと、俺をその鞭で打つ。腕や太股、下腹部など至る所が鞭で打たれた跡が刻まれていく。じんじんと痛みがじわじわときたが、俺はその痛みに耐えた。俺は一日中鞭で打たれた。
―水責め―
とある日、覆面の男は水の入った水槽を持ってきた。すると、覆面の男は俺の頭をその水槽の中に漬けた。
俺は、水中から頭を上げようとするが、男の力が強く顔を上げられない。
死ぬ…!と思った瞬間、男は俺の頭を水中から上げる。
「ゴホッゴホッ!…ゼーゼー…」
と息をつこうとすると、再び男は俺の頭を水に漬ける。それが永遠のように繰り返された。
―毒―
またある日には、小瓶に入った液体を強制的に飲まされた。その液体を飲んだ瞬間、全身に激痛が走り、血を吐いた。
「ぐっああああ!死ぬ!死ぬ!ああああ!」
その後、三日間痛みが走り続けた。
これらの他にも死ぬような思いをした拷問をレオは受けた。最初こそ強気だったレオだが、そんな日々が二十日も続き、レオは極限状態に陥っていた。そして、レオが拷問を受けてから二十一日目の朝、
「…てください。」
「ああ?聞こえねえなあ?」
「もうやめてください…何でもしますので…」
俺は、虚ろな目で懇願した。
「つまり、おめえは皇帝陛下の奴隷になることを認めたってことだな?」
「はい…」
すると、覆面の男たちの中の1人が牢屋から出て行き、エラシスを連れて牢屋へ戻ってきた。
「鎖を外してやれ。」
「はっ」
覆面の男が俺の鎖を外した。
「私に土下座して懇願しろ。私の奴隷になりたいとな。」
俺は土下座した。体が小刻みに震える。
俺はわずかに残っていた人間としてのプライドでなかなか言い出せなかった。
「どうした?まだ拷問が足りなかったか?」
エラシスがそう言うと、
覆面の男たちが俺を再び鎖につなごうとする。
もうあんな目に会いたくない!
俺はわずかに残っていたプライドも捨てた。
「お、俺を…皇帝陛下の奴隷にしてください!」
「…よかろう。
お前ら、こいつに奴隷印を。」
覆面の男たちが俺の腕に奴隷印を押した。ジュウウと肉の焼ける音がした。
これで俺は正真正銘の奴隷となった。
「アハハハハハハハハ!」
俺は笑い出す。
アレクを裏切ることになること、自分の命ほしさに帝国に屈することに俺の心は耐えきれなかった。笑い終わると、
「う…おえ、げええええ」
俺は罪悪感と自分への嫌悪感で、
その場で吐いた。
俺は、こうして牢屋から解放された。
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