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第61話「俺の財産」

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 服を急いで着替えると、シャドウ国の城内に仕えていた年配のバビさんがすぐに駆けつけてくれ、俺の吹いてしまった液をマジマジと見つめては「心配ございませんよ!」と声を出して告げた。


「心配ないとは……?」

 半信半疑のレイにバビさんは「フフフ」と微笑みながら答える。


「これは潮ですよ。この潮の正体は、スキーン腺液とも呼ばれております。尿のように味が濃いわけでもなく、快感の頂点に達すると吹くとも言われておりますが、妊娠の可能性を引き上げてくれるとも言われていたりしますので、お体を開発されることは良いことだと思います」


 バビさんはタオルで床を掃除しながら俺達に説明してくれた。

 潮……って、女性が吹くって言われているアレのことか? 俺、男なのに……


 ハチミツも様子を見に来てくれ、

「ソウル様、何事もなくよかったですね! ハチミツめ安心しました! では、お食事と致しましょう! それと、お薬お渡ししときますね」

 ルンルンで発情を抑える薬を渡してくれたため、念の為に服用する。


「……ハチミツ、せめて発情する数日前にくれないか」

 そうお願いするとハチミツは「でも、もう必要ないのでは?」と、レイを見て首を傾げた。レイはそんなハチミツに、

「いや、これからも渡してあげてくれ」

 と、言ってくれたため、俺の意見も大切にしてくれるんだなと身にしみて伝わった。


 俺達に子が宿らなかったとしても『私は貴様といれたらそれだけで十分満足だが?」と言ってくれたことは生涯の、俺の財産だ。


 レイと一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入り、寝る前はレイが一番好きだオススメしてくれた本を手に取り、ベッドに潜ったあとはお互いにぴったりくっついて本を広げる。


「…………やっぱり文字が読めねぇ!!」

 案の定、文字が読めなくてガッカリする。

「そうカリカリするな。私が読んでやろうか?」

 優しさで言っているのか、からかって言っているのか。なんとなく、後者のような気がするので、「いや、いい」と意地になって言ってみる。


「だいたい、俺、頑張ればできるヤツなんだよ。勉強して大学もちゃんと行ったし。まあ、就活は失敗したけどさ……だから、ゲームに明け暮れて、レイのことを知ることができたから、まあ、オールオッケーだけど!」

「そうか。私はエダのことがもっと知りたい。エダが前にいたところはどういうところだったのか、どういう環境で育ったのか聞かせてくれるか?」


 レイが初めて俺の前世の記憶に興味を抱いてくれた。嬉しくて、どういう風に育ったかなど、家族構成や俺の人生を事細かに話す。その中でもやはり舞の話は面白くて、舞は残念ながらリリック推しだと言うことを伝える。


 「やはり、家族というものはいいものだな」と、家族に対しての想いを綴った後に、俺はずっと心に引っかかっていたことを口にした。


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