【完結】悪役に転生した俺、推しに愛を伝えたら(体を)溺愛されるようになりました。

神代シン

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第53話「死の瀬戸際」

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「心配しなくてもずっと一緒にいてやる」


 ……え、そ、それって。
 サラッと嬉しいことを言うレイを見て、「よかったですねぇ、ソウル様」と、肩をツンツンと突いてくるハチミツ。ヤバい、嬉しい。こんな状況だというのにニヤニヤが止まらない。


 例えレイの想いが恋愛感情じゃなくても、俺を必要としてくれていることだけで、やっぱりこんなにも嬉しい。


 ◆


 ポルニア国民の前でレイは今後のことを告げた。その内容はこれからのポルニア国はレイ以外の人物が引っ張っていく次期王は追々ここに残る人達で決めるというもので、ポルニア国から出てレイと一緒にシャドウ国へ行くものは午後5時までにポルニア国の門に集うということになった。


 案の定、国民からレイに批判の嵐が溢れかえる。結局午後5時までに集まった者は俺とレイとハチミツを除いて、御者、ユーデルのみだった。ポルニア国にいる全ての国民がミケの方についてしまった。


 俺はレイが幸せならそれでいいと思っていたけど、レイは今何を思っているのだろう。「予想通りだな」と微笑むレイに言葉を掛けられなかった。


「では、シャドウ国にテレポートします! 皆さん、急いで輪の中へ入ってください」


 ハチミツがテレポートを準備してくれ皆で輪の中へ入ると、【殺す、殺してやる、この国から出て行っただけでは済ませれない。死んで償え】嫌な言葉が俺の脳裏に過った。


 確かにレイを殺したいと思ってしまう人がいるかもしれないことは想定していたけれど、ここまで脳裏にハッキリと聞こえてくるなんて。いったい俺の頭はどうなってしまったんだ。聞き覚えがあるその声に誰だか思い出してみる。


 ーーマゼンダだ。

 【レイは自分の傷の治癒はできない。この位置から後ろから刺せば心臓を突き破って即死だ。ここで死んでもらう!】

 マゼンダはレイの命を今この瞬間狙っている。俺はレイの背後に素早く立ち、胸に刺さるような激痛を背後から受けた。

 ぐ……やべぇ、膝から崩れ落ちるように地面に倒れる。「おい、ソウル!」と俺の名前を呼ぶレイと、ハチミツのテンパった声が聞こえてきた。


「ハチミツ、いいから貴様はテレポートで私たちをシャドウ国に連れ出せ! 私はソウルの治療にとりかかる!」


 焦りながらも支持を出すレイのおかげで、俺達の身体はふと軽くなりシャドウ国の敷地内へとテレポートできたようだった。最後にレイを守って死ねてよかった。もう目を覚ますこともないだろう、そんなことを思いながら意識が遠のいた。


 ーーもう、レイの声を聞くことも、レイの顔を見ることもできないはずだった。なのに、【ソウル、起きろ。もう治療は済んだ。私と一緒にいると言っただろう、早く元気になって私にその身体をおもいっきり愛させろ】と、泣きそうな、強い言葉が脳内にレイの声で響いてきた。


 ーーえ、あ……愛?


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