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第47話「隠された能力」

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 ユーデルは感極まって泣きそうな表情をしていた。


「…………そうですね、おっしゃる通りです。思えば王父が亡くなられてから、どことなく、城内と城外どちらとも、国民含め雰囲気が変わったように思います。以前はもう少し賑やかだったような……痛ッ!?」


 過去の話を始めるとユーデルは頭を痛がり始めた。

『ポルニア国の民には愛が芽生えない呪いにかかっておりますため、一部の記憶が書き換えられております。レイ王の父である王父がかけた呪いです。王父は愛する人に裏切られたことで能力を使って国に呪いをかけました。もちろん、その呪いは禁術でありました為に、王父は死に至ることとなりました。後にポルニア国全員、私も含め『愛』というものは分からなくなってしまいました』

 御車はこう俺に話してくれた。ユーデルとレイの今の会話は御車の話と通じるものがありそうだ。


 レイはユーデルの額に指を当て、擦っている。


「……っ、王。ありがとうございます。痛みが和らぎました」

「それならよかった。あまり無理はするなよ」

「私なんかのために、能力を使わせてしまって申し訳ございません」


 涙ながらに感謝するユーデルの言葉を俺は聞き逃さなかった。一旦調理するのをやめ、レイの元へ向かう。


「レイ、能力がないんじゃなかったのか!?」

「……まあ、表向きはそういうことになっているが、貴様には話しておこう。私の能力はケガ人や病を治すことができる能力だ。私を産んでくれた方の能力もそうだった。その方は今はひっそりと違う人生を歩んでいるみたいだが。公にしてしまえば私の力を利用する者も出てくるために、私に近しい人間、それこそユーデル、マゼンダ、リリック、ミケ、御車にしか知らせていない」


 その近しい人間はレイの命を狙っていた、もしくは狙っていると考えるとなんだか納得できないが、レイはケガや病気を治せると知らせたのはずっと前なのかもしれない。


 『まあ、さすがに死人を生き返らせることはできないがな』と、和む口ぶりで話すレイ。


 『産んでくれた方』の能力を、レイは引き継いでいる。ケガや病気を治す力。そして王父は呪いを掛けられる能力。なんとも真反対な能力なんだろう。


 ――まるで、俺達を表しているようで、俺とレイはあいいれない関係だと言われているようだ。だとしたら、俺が側にいるとレイは苦しんでしまうだろうか。


 レイも逃げ出したくなるときが来てしまうんだろうか。


 俺は本当にレイの側にいていいんだろうか。


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