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第33話「レイの嫉妬①」
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「こちらはレイ様の寝巻でこちらはソウル様の寝巻でございます」
レイの部屋へ戻るとミケがいつものように俺達の寝巻を準備してくれていた。それぞれの寝巻をミケから受け取る。俺とミケを交互に見て、俺の耳にこそっと問いかけてきた。
「部屋の空きはございますのでソウル様の部屋は準備できますが……いつまでご一緒に寝られるおつもりですか?」
そんなミケに俺も小声で返す。
「護衛だし、一緒に寝るのは当たり前だ。一応確認で聞くけど、この部屋の音は外に聞こえないか?」
「あなた様……また、レイ様に変なことをするおつもりですか? このお部屋は防音室というわけではございませんので、外に漏れる可能性が十分にあります。物音やお声はお控えくださいませ」
「……我慢できたらな」
ボソッと言い返すと、ミケは顔を真っ赤にして部屋から出て行った。
やっとレイと二人きりになれたというのに、レイは俺に話しかけようとしてこない。それどころか着替えもせずにベッドに横になってしまった。
「おい、大丈夫か? 疲れたか?」
そう声を掛けるとレイは眠そうに「ん」と返事をした。
疲れるのも無理はない。俺達は1日以上も馬車に乗って移動していたんだ。
ベッドの横にインテリア代わりに御者から貰った水晶を置く。すると、
「……おい」
眠そうな声色のまま、レイが俺に静かに話しかけてきた。
「やっぱ邪魔だったか?」
水晶をそっと持ち上げるとレイは「そうじゃない」と否定した。
「何故ミケと一緒に食事を摂らせた。貴様がミケと仲良さ気に話していたのも気に食わん。なにを企んでいる」
なんか知らないけどめちゃめちゃ怒ってる。そんなにミケに食事を摂らせたことがいけないことだったのだろうか。
「わ、悪い。いや、アイツの料理が不味すぎて……」
「それは分かっている。聞きたいことはそうじゃない。なんで親しそうにしていた。貴様、ミケが嫌いだとか言ってなかったか?」
「ああ、うん……いや、今も好きではないけど、でも少し見方が変わったっていうか……」
御者からいろんな話を聞いて、俺の主観だけで見ていたことが一変した。ミケのことも殺したいほど憎んでいたはずなのに、今はそんな風にみていないからか、ソウルを使ってレイを殺したことは目を瞑っている状態だ。
「見方が変わったとは……なんだ? やはり貴様もミケがいいのか?」
……ん? なんだこれ。レイは何に対して怒ってるんだ? ただ単にミケに甘さを見せるなという意味で不機嫌なのかとばかり思っていたけどなんか違う……まるで、ミケに嫉妬しているような……
……嫉妬? レイが?
俺のことが気になっているということか?
レイの部屋へ戻るとミケがいつものように俺達の寝巻を準備してくれていた。それぞれの寝巻をミケから受け取る。俺とミケを交互に見て、俺の耳にこそっと問いかけてきた。
「部屋の空きはございますのでソウル様の部屋は準備できますが……いつまでご一緒に寝られるおつもりですか?」
そんなミケに俺も小声で返す。
「護衛だし、一緒に寝るのは当たり前だ。一応確認で聞くけど、この部屋の音は外に聞こえないか?」
「あなた様……また、レイ様に変なことをするおつもりですか? このお部屋は防音室というわけではございませんので、外に漏れる可能性が十分にあります。物音やお声はお控えくださいませ」
「……我慢できたらな」
ボソッと言い返すと、ミケは顔を真っ赤にして部屋から出て行った。
やっとレイと二人きりになれたというのに、レイは俺に話しかけようとしてこない。それどころか着替えもせずにベッドに横になってしまった。
「おい、大丈夫か? 疲れたか?」
そう声を掛けるとレイは眠そうに「ん」と返事をした。
疲れるのも無理はない。俺達は1日以上も馬車に乗って移動していたんだ。
ベッドの横にインテリア代わりに御者から貰った水晶を置く。すると、
「……おい」
眠そうな声色のまま、レイが俺に静かに話しかけてきた。
「やっぱ邪魔だったか?」
水晶をそっと持ち上げるとレイは「そうじゃない」と否定した。
「何故ミケと一緒に食事を摂らせた。貴様がミケと仲良さ気に話していたのも気に食わん。なにを企んでいる」
なんか知らないけどめちゃめちゃ怒ってる。そんなにミケに食事を摂らせたことがいけないことだったのだろうか。
「わ、悪い。いや、アイツの料理が不味すぎて……」
「それは分かっている。聞きたいことはそうじゃない。なんで親しそうにしていた。貴様、ミケが嫌いだとか言ってなかったか?」
「ああ、うん……いや、今も好きではないけど、でも少し見方が変わったっていうか……」
御者からいろんな話を聞いて、俺の主観だけで見ていたことが一変した。ミケのことも殺したいほど憎んでいたはずなのに、今はそんな風にみていないからか、ソウルを使ってレイを殺したことは目を瞑っている状態だ。
「見方が変わったとは……なんだ? やはり貴様もミケがいいのか?」
……ん? なんだこれ。レイは何に対して怒ってるんだ? ただ単にミケに甘さを見せるなという意味で不機嫌なのかとばかり思っていたけどなんか違う……まるで、ミケに嫉妬しているような……
……嫉妬? レイが?
俺のことが気になっているということか?
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