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第32話「食べてもらう嬉しさ」
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けど、俺はレイの世話を手取り足取りする気はねぇ! そんなことしてたらいちいち反応してしまうし、俺の股間が休む暇ねぇんだよ。
◆
「…………な、なんだこれは?」
「なにって、カレーだよ。カレー粉が調味料で売られてたから買ってみた。ほら」
「食べてみろ」と言わんばかりに、レイにスプーンを手渡すがなかなか口をつけようとしない。俺とレイのやり取りを見ていたミケが「僕が毒見を!」と、スプーンを手に取り口をつけた。
……毒見って、失礼だな。
「んぐっ!? こ、これは……し、舌がピリピリします! やはり毒薬なのでは!?」
舌をベェと出すミケを見てレイは表情が青ざめていた。
「辛子は入れてるけど毒薬じゃねぇ! うめぇだろ!」
ミケに「男だったら黙って言わずに食べろ!」と、念を押しレイの口の中にもカレーを突っ込んだ。すると以外にもレイの舌に合っていたようで俺のカレーを残さず食べてくれた。さすがレイだ。
「レイ様、お体に何かあっては大変です!」」
ミケは俺が作ったカレーを危険な食材みたいに言う。ふざけんな! そこまで言うほど辛くねぇ!
二口目をなかなか食しないミケを見ながら自分の分のカレーを食べる。
「うめぇ! 少しピリピリって舌にくる感じがたまんねぇだろ!? カレーはな、この一皿に野菜も肉も入ってて栄養たくさん摂れるんだぞ!」
誰も口に出して褒めてくれないので自分で褒めちぎる。レイはカレーを全て完食していたがミケはやはり食べてくれていなかった。今まで味がない物を食べていたから戸惑う気持ちも分かるが、絶対正義のカレーだけは残されたくない。レイならともかく、相手はミケだ。時間かけて作った物を残されたらさすがに腹が立つ。
「おいミケ、ガキじゃあるまいし残すんじゃねぇよ。王様は全部食べたぞ?」
「で、ですが……」
「レイは今までおまえが出す味がない料理をずっと食べてくれてたんだぞ。おまえもちったあ頑張れよ」
「ーーは、はい……」
ミケは目を瞑りながらカレーを一口一口と口に入れていた。だが、途中から味が舌に馴染んできたのが、「食べるのが苦ではなくなってきました」と、パクパクと食べておかわりまでしてくれた。なんともいえない、ほっこりとした気持ちになる。嫌いなものを好きになってくれる嬉しさってこういうことなのかもしれない。
レイにお茶を出し、ミケと一緒に食器を洗う。そのときにミケにカレーの作り方をざっくりと教えると、「全て手作業なのですか……」と、作る前から気持ちが滅入ってしまっていた。
ここの世界の奴らはなんでもかんでも能力能力って、甘えすぎている。
「手作業だから愛がこもるんだよ。美味しいって言って食べてもらいたくもなる! 残されたら腹も立つ! ミケはそういう感情にならなかったろ?」
そう質問すると、ミケは「ええ、そうですね……」と頷いた。
よし、今度ミケと一緒にカレーを作ろう。
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「…………な、なんだこれは?」
「なにって、カレーだよ。カレー粉が調味料で売られてたから買ってみた。ほら」
「食べてみろ」と言わんばかりに、レイにスプーンを手渡すがなかなか口をつけようとしない。俺とレイのやり取りを見ていたミケが「僕が毒見を!」と、スプーンを手に取り口をつけた。
……毒見って、失礼だな。
「んぐっ!? こ、これは……し、舌がピリピリします! やはり毒薬なのでは!?」
舌をベェと出すミケを見てレイは表情が青ざめていた。
「辛子は入れてるけど毒薬じゃねぇ! うめぇだろ!」
ミケに「男だったら黙って言わずに食べろ!」と、念を押しレイの口の中にもカレーを突っ込んだ。すると以外にもレイの舌に合っていたようで俺のカレーを残さず食べてくれた。さすがレイだ。
「レイ様、お体に何かあっては大変です!」」
ミケは俺が作ったカレーを危険な食材みたいに言う。ふざけんな! そこまで言うほど辛くねぇ!
二口目をなかなか食しないミケを見ながら自分の分のカレーを食べる。
「うめぇ! 少しピリピリって舌にくる感じがたまんねぇだろ!? カレーはな、この一皿に野菜も肉も入ってて栄養たくさん摂れるんだぞ!」
誰も口に出して褒めてくれないので自分で褒めちぎる。レイはカレーを全て完食していたがミケはやはり食べてくれていなかった。今まで味がない物を食べていたから戸惑う気持ちも分かるが、絶対正義のカレーだけは残されたくない。レイならともかく、相手はミケだ。時間かけて作った物を残されたらさすがに腹が立つ。
「おいミケ、ガキじゃあるまいし残すんじゃねぇよ。王様は全部食べたぞ?」
「で、ですが……」
「レイは今までおまえが出す味がない料理をずっと食べてくれてたんだぞ。おまえもちったあ頑張れよ」
「ーーは、はい……」
ミケは目を瞑りながらカレーを一口一口と口に入れていた。だが、途中から味が舌に馴染んできたのが、「食べるのが苦ではなくなってきました」と、パクパクと食べておかわりまでしてくれた。なんともいえない、ほっこりとした気持ちになる。嫌いなものを好きになってくれる嬉しさってこういうことなのかもしれない。
レイにお茶を出し、ミケと一緒に食器を洗う。そのときにミケにカレーの作り方をざっくりと教えると、「全て手作業なのですか……」と、作る前から気持ちが滅入ってしまっていた。
ここの世界の奴らはなんでもかんでも能力能力って、甘えすぎている。
「手作業だから愛がこもるんだよ。美味しいって言って食べてもらいたくもなる! 残されたら腹も立つ! ミケはそういう感情にならなかったろ?」
そう質問すると、ミケは「ええ、そうですね……」と頷いた。
よし、今度ミケと一緒にカレーを作ろう。
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