【完結】悪役に転生した俺、推しに愛を伝えたら(体を)溺愛されるようになりました。

神代シン

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第20話「歯止めが効かない行為」

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 布を下げて薄暗くした後、


「……で、貴様は何をしたいんだ?」


 レイは興味深く俺に顔を近づけてきた。
 そんなに顔を近づけられると、押し倒してグチャグチャにしたくなる。キスだけじゃ満足できなくなる。


「……その、キスがしたい」


 そう言うとレイは「ん」と、目を瞑った。先程まで「婚礼式が」と言っていたのに、良いのだろうか。レイが初めての可能性も十分にあるのに。俺そう思う反面、目を瞑っていても美しいレイの顔面に見惚れてしまう。


「レイ……キスしても良いのか?」

「ああ、早くしろ」


 レイがして良いって言っているんだ。初めてだろうがなんだろうがこれ以上の理由はない。


 ……唇と唇を重ねれば良いんだ。


 深く深呼吸をし、レイの肩をそっと掴んで顔を近づける。俺自身キスが初めてというわけではないが、まるで初めて体験するかのような感覚に陥る。


 レイの唇に俺の唇を重ねると、ひんやりとした感触が俺の口に伝った。薄くて、噛みちぎってしまいたくなるような唇をしている。レイの唇は隙だらけで俺の舌をもすんなり侵入を許してしまった。


「ーーあ、は、っ……!」


 レイの声が漏れる。その声も愛おしくて俺の興奮を更に掻き立てる。キスをし慣れていないレイが可愛い。息継ぎをどうしたら良いのか分からなくて苦しそうな声を出すのも可愛い。レイの全部が俺の興奮材料へと変化されていく。


 舌をぬるっと絡めるとレイは身体を震わせた。


 レイと今こんなことをしているのがまるで夢のようで、夢だったら覚めてほしくないと願いながらもレイの口の中を隅々まで味わう。口の中全部を舐めまわし終えた俺はレイの舌を勢いよく吸った。


「んぐっ!?」


 レイの息遣いが荒々しくなってきているのが分かる。感じてくれていると思うともっともっとしたくなる。


 正直、前世の時は身体を重ねるのも面倒くさいと思っていた。俺自身が奉仕するなんて正直ダルかったし、前戯なんてなくても良いとさえ思っていた。誰か一人をこんなに考えることになるなんて想像もしていなかったし、キスがこんなに心地いいなんてレイとキスをするまで知らなかった。


 寝ても覚めても考えてしまうの人物はレイが最初で最後だ。

 重ねていた唇をそっと離すと、俺とレイの唾液が糸として絡まっているのが見えた。当のレイは顔を真っ赤にして瞳は涙を滲ませていた。


 潤ませながら俺を見るレイに、俺はもう歯止めが効かなくなってしまっていた。


「レイ、もっとキスしたい」

「……ふざけるな。こんなのはキスでもなんでもない……なんで舌なんか……」


 ウブで鈍感なレイ。全部俺の色に染まってほしい。返事をしないまま俺は一方的に、今度は触れるだけのキスを繰り返す。


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