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第15話「攻略対象の三人に恨まれる俺」
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コンコンと部屋のドアが数回ノックされた。
「ミケです。レイ様、お食事の準備が整いました。ソウル様の分もございます」
――ミケ。全然姿を見せないと思ったら食事の準備をしていたのか。ミケが食事の準備……失礼かもしれないけれど疑ってしまう。もしかしたら毒薬とか入っていたりしないだろうか。レイを確実に殺すために何か別の作戦を練っているかもしれない。
「分かった、今行く。ソウル、貴様も来い。一緒に食べよう。いい機会だから貴様のことを紹介しておく」
レイから無理やり腕を引っ張られ、そのまま食卓まで強制的に連れ出された。席に着いているも人達は限られた人数で、丸いテーブルには既に豪華な料理がずらりと並んでいる。
その人物達は物語の攻略対象主要人物達だった。
レイの席から見て右側に座っているのが赤紙のマゼンダ。髪は短く、性格は多少荒々しかったように思える。
正面に座っているのはリリック。確か前世の妹舞が好きだった人物で、青髪の眼鏡を掛けている物静かそうな優等生人物だ。
最後は緑髪のユーデル。おっとりした性格でとても優しそうな雰囲気を醸し出している。
そんな三人の目に映っている人物は俺なわけで、当然良く思われていないことは見てとれる。
俺の席はレイのすぐ隣で、レイは「待たせて悪かった。こちらは皆知っての通り、シャドウ国の王、ソウルだ。わざわざ訪問してくれてね。いい機会だし、一緒に食事をしよう。あ、力は出さないよう言ってあるから安心していい」と、俺のことをここにいる数名に紹介した。
「…………よろしく」
一応挨拶はしてみたけれど、やはり皆俺に対してニコリともしない。三人とも今すぐ俺を殺してしまいそうなほどの目力で睨みつけている。
なにが「よろしく」だよ。自分で言っておいて鼻でわらってしまった。ここにいる奴ら全員、王の座を狙っているものばかりだ。レイに死んでほしくて仕方ないんだろ。そんなヤツらによろしくできるわけない。
「レイ、俺が毒見する。スープ貸して」
レイの元にあったスープが入っている皿を俺の方へ移動させ、スプーンを手に取り、スープを口に含もうとした際、赤髪のマゼンダが口を開いた。
「……ミケさんの食事に何かご不満でも? それとも、なんですか? 王の物を先に食べるだなんて、意地汚いですね」
俺をバカにしたセリフを並べる。
「何言ってんだよ、毒見だ」
「毒見……? ミケさんが王の皿に毒を盛っていると!?」
「ミケだけじゃない。もちろん、ここにいる全員を疑ってるけどな」
「……っ、ふざけやがって!」
マゼンダは唇を噛みしめて俺を睨んだ。そして、何か弱みを見つけたような目をして「噂、上がってんですよ。アンタがレイ様に欲情してるって」昨日のことと思われることを口にした。
どうしても俺の弱みにつけこみたいらしい。
マゼンダの言葉を遮るように、レイが言葉を被せた。
「おい、マゼンダ。こいつがいくら私に欲情していたとしても、私はコイツに欲情したりしない。…………ミケに対してもそういう感情が沸かないことくらい、ここの者一同、皆、知っているだろう?」
「で、ですが…………レイ様が欲情されずとも、その気になればコイツに容易く仕留められてしまわないか心配です。ただでさえ、近づくのも危険なほどの能力を持っているというのに……」
マゼンダに続いてリリックやユーデルも強く頷いた。俺はそんな三人を見ながらレイのスープに口をつける。毒は大丈夫そうだが味がしない。美味しいとも思えないし、なんなら味がしなさ過ぎて不味いまである。
俺の舌がバグってんのか?
レイに毒は大丈夫なことを伝え、自分の食器に盛られている料理に口をつける。……やっぱり味がしない。
「………………おい、レイ。この料理味がしねぇぞ」
レイに味がしないことを伝えると、
「味、だと? 味はいつもこの味だが」
不思議そうに俺を見た。
「全部の料理がこの味なのか? ……味しないけど」
試しに他の料理にも口をつけるけれど、全部味がしない。
『不味くね?』的な顔をしていると、それが三人の気に障ったらしく、「いやなら食べなければいいだろう、部外者が」と、またマゼンダに睨まれた。
『嫌なら食べない』レベルではない。
そりゃあこんな味ないもん食べさせられてりゃ性欲もわかねぇよな。
「ミケです。レイ様、お食事の準備が整いました。ソウル様の分もございます」
――ミケ。全然姿を見せないと思ったら食事の準備をしていたのか。ミケが食事の準備……失礼かもしれないけれど疑ってしまう。もしかしたら毒薬とか入っていたりしないだろうか。レイを確実に殺すために何か別の作戦を練っているかもしれない。
「分かった、今行く。ソウル、貴様も来い。一緒に食べよう。いい機会だから貴様のことを紹介しておく」
レイから無理やり腕を引っ張られ、そのまま食卓まで強制的に連れ出された。席に着いているも人達は限られた人数で、丸いテーブルには既に豪華な料理がずらりと並んでいる。
その人物達は物語の攻略対象主要人物達だった。
レイの席から見て右側に座っているのが赤紙のマゼンダ。髪は短く、性格は多少荒々しかったように思える。
正面に座っているのはリリック。確か前世の妹舞が好きだった人物で、青髪の眼鏡を掛けている物静かそうな優等生人物だ。
最後は緑髪のユーデル。おっとりした性格でとても優しそうな雰囲気を醸し出している。
そんな三人の目に映っている人物は俺なわけで、当然良く思われていないことは見てとれる。
俺の席はレイのすぐ隣で、レイは「待たせて悪かった。こちらは皆知っての通り、シャドウ国の王、ソウルだ。わざわざ訪問してくれてね。いい機会だし、一緒に食事をしよう。あ、力は出さないよう言ってあるから安心していい」と、俺のことをここにいる数名に紹介した。
「…………よろしく」
一応挨拶はしてみたけれど、やはり皆俺に対してニコリともしない。三人とも今すぐ俺を殺してしまいそうなほどの目力で睨みつけている。
なにが「よろしく」だよ。自分で言っておいて鼻でわらってしまった。ここにいる奴ら全員、王の座を狙っているものばかりだ。レイに死んでほしくて仕方ないんだろ。そんなヤツらによろしくできるわけない。
「レイ、俺が毒見する。スープ貸して」
レイの元にあったスープが入っている皿を俺の方へ移動させ、スプーンを手に取り、スープを口に含もうとした際、赤髪のマゼンダが口を開いた。
「……ミケさんの食事に何かご不満でも? それとも、なんですか? 王の物を先に食べるだなんて、意地汚いですね」
俺をバカにしたセリフを並べる。
「何言ってんだよ、毒見だ」
「毒見……? ミケさんが王の皿に毒を盛っていると!?」
「ミケだけじゃない。もちろん、ここにいる全員を疑ってるけどな」
「……っ、ふざけやがって!」
マゼンダは唇を噛みしめて俺を睨んだ。そして、何か弱みを見つけたような目をして「噂、上がってんですよ。アンタがレイ様に欲情してるって」昨日のことと思われることを口にした。
どうしても俺の弱みにつけこみたいらしい。
マゼンダの言葉を遮るように、レイが言葉を被せた。
「おい、マゼンダ。こいつがいくら私に欲情していたとしても、私はコイツに欲情したりしない。…………ミケに対してもそういう感情が沸かないことくらい、ここの者一同、皆、知っているだろう?」
「で、ですが…………レイ様が欲情されずとも、その気になればコイツに容易く仕留められてしまわないか心配です。ただでさえ、近づくのも危険なほどの能力を持っているというのに……」
マゼンダに続いてリリックやユーデルも強く頷いた。俺はそんな三人を見ながらレイのスープに口をつける。毒は大丈夫そうだが味がしない。美味しいとも思えないし、なんなら味がしなさ過ぎて不味いまである。
俺の舌がバグってんのか?
レイに毒は大丈夫なことを伝え、自分の食器に盛られている料理に口をつける。……やっぱり味がしない。
「………………おい、レイ。この料理味がしねぇぞ」
レイに味がしないことを伝えると、
「味、だと? 味はいつもこの味だが」
不思議そうに俺を見た。
「全部の料理がこの味なのか? ……味しないけど」
試しに他の料理にも口をつけるけれど、全部味がしない。
『不味くね?』的な顔をしていると、それが三人の気に障ったらしく、「いやなら食べなければいいだろう、部外者が」と、またマゼンダに睨まれた。
『嫌なら食べない』レベルではない。
そりゃあこんな味ないもん食べさせられてりゃ性欲もわかねぇよな。
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