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第14話「決意」
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「…………レイが言ったんだろ、逃げるなって。だから起きるのを待ってたんだ」
レイは俺の言うことに耳を澄ましていた。そして「ほぉ」と、興味深く頷いた。
「私に別れを言うためか? 律儀だな」
「……違う。おまえ、俺が逃げるんなら俺を殺すんじゃなかったのかよ。そうじゃなくて、俺と一緒にここを出てくれ。俺達の城に来てほしい」
「……シャドウ国に? あんな薄気味悪い国に行くわけないだろう。貴様はバカか」
「昔は薄気味悪かっただろうけど今は違う! シャドウ国の奴隷制度も無くしたし、子も宿すことができるようにしたし、ポルニア国からの支援金のおかげだけど、平民にも1日三食食べられる飯を配ってる! 後は頑張って国を豊にしていきたい、良い国なんだ!」
「平民にも平等に接しているのか、それは凄いな。なかなかできることではない。でも無理だ。私はこの国から出る気はもうとうない」
シャドウ国が褒められて気分を良くしたハチミツが「ハチミツめも、微々たる力ですが、発展に努めております!」と鼻を鳴らした。
けれど、そうだなよな。レイはポルニア国の王だ。いくら頭をひねらせても納得してもらえる理由が簡単に出てくるはずはなく、俺より先にレイが口を開いた。
「少し豊かになったとはいえ、貴様の国に着いたら私は間違いなく殺されるだろ。殺したいなら今ここで殺せばいい」
「そもそもレイは俺の国に殺されることは何もしてないだろ!」
「だが、私も貴様の部下を何人も殺めたぞ。まあ、それはそちらが先に手出しをしてきたからだが」
「……だからって殺させないし、おまえを守るって言ったろ! シャドウ国の奴らにも今までの過ちは俺のせいだって頭を下げたら考え方を改めてくれた。お願いだ! 俺の国はここよりずっと平和だから来てほしい!」
必死でお願いするも、レイは頑なに「うん」とは言ってくれなかった。
「守るなら、この城で私を守れ。ここで私に尽くしていればいいだろう」
「ここが安全じゃないからこの城から出ようって言ってんだよ」
「さっきから何を言っている。ふざけるのも大概にしろ」
言い返す言葉も見つからない。
それにレイが言った言葉も一理ある。
以前よりだいぶ豊かになったとはいえ、俺の城に帰っても俺以外がレイの命を狙う可能性だって十分にある。それならレイの言う通りここでレイの命を守った方が良いような気もする。ハチミツだけでも元の場所に返してやりたい。
「俺は大丈夫だからおまえは帰ってくれ」
ハチミツにそう伝えるとハチミツは大きく首を横に振った。
「だ、だめです! ハチミツめ、ソウル様を残して帰れません!」
「……大丈夫だ。心配するな」
「で、ですが今のソウル様は……その、能力が……」
ハチミツは俺に能力は使えないことを心配してくれていた。どう言えばハチミツを安心させてやることができるか悩んでいると、レイはハチミツに、
「ソウルにどういう心境の変化があったのかは分からないが、私の命を狙っていないのならば話は別だ。コイツが裏切らない限り私も殺さないから安心しろ」
言葉を聞いたハチミツは戸惑った表情で頷き「ハチミツめ、また来ます」とだけ言い、テレポートで帰っていった。ハチミツがいなくなってしまったことで、俺は今日からレイと二人で行動を共にするということになるが、脳裏にはミケがチラつく。
きっとレイはミケを手放すことはしないだろう。俺は近くにあったイスに腰掛ける。そんな俺にレイは真っ直ぐに見つめている。
こんな時にまでドキドキするなんて、本能は残酷だ。
「……能力がなくても、貴様は私を気持ちよくしてくれたらそれでいい」
……俺はあくまでも性処理か。
ミケの目的は王の子を産むこと。レイにはミケの誘惑は効かないけど、このままいけばミケの子を産ませることだってできてしまうかもしれない。
ーーそんなのは絶対に嫌だ。俺はミケを許するもりもないし、この先何があっても一生アイツを赦せない。
レイは俺の言うことに耳を澄ましていた。そして「ほぉ」と、興味深く頷いた。
「私に別れを言うためか? 律儀だな」
「……違う。おまえ、俺が逃げるんなら俺を殺すんじゃなかったのかよ。そうじゃなくて、俺と一緒にここを出てくれ。俺達の城に来てほしい」
「……シャドウ国に? あんな薄気味悪い国に行くわけないだろう。貴様はバカか」
「昔は薄気味悪かっただろうけど今は違う! シャドウ国の奴隷制度も無くしたし、子も宿すことができるようにしたし、ポルニア国からの支援金のおかげだけど、平民にも1日三食食べられる飯を配ってる! 後は頑張って国を豊にしていきたい、良い国なんだ!」
「平民にも平等に接しているのか、それは凄いな。なかなかできることではない。でも無理だ。私はこの国から出る気はもうとうない」
シャドウ国が褒められて気分を良くしたハチミツが「ハチミツめも、微々たる力ですが、発展に努めております!」と鼻を鳴らした。
けれど、そうだなよな。レイはポルニア国の王だ。いくら頭をひねらせても納得してもらえる理由が簡単に出てくるはずはなく、俺より先にレイが口を開いた。
「少し豊かになったとはいえ、貴様の国に着いたら私は間違いなく殺されるだろ。殺したいなら今ここで殺せばいい」
「そもそもレイは俺の国に殺されることは何もしてないだろ!」
「だが、私も貴様の部下を何人も殺めたぞ。まあ、それはそちらが先に手出しをしてきたからだが」
「……だからって殺させないし、おまえを守るって言ったろ! シャドウ国の奴らにも今までの過ちは俺のせいだって頭を下げたら考え方を改めてくれた。お願いだ! 俺の国はここよりずっと平和だから来てほしい!」
必死でお願いするも、レイは頑なに「うん」とは言ってくれなかった。
「守るなら、この城で私を守れ。ここで私に尽くしていればいいだろう」
「ここが安全じゃないからこの城から出ようって言ってんだよ」
「さっきから何を言っている。ふざけるのも大概にしろ」
言い返す言葉も見つからない。
それにレイが言った言葉も一理ある。
以前よりだいぶ豊かになったとはいえ、俺の城に帰っても俺以外がレイの命を狙う可能性だって十分にある。それならレイの言う通りここでレイの命を守った方が良いような気もする。ハチミツだけでも元の場所に返してやりたい。
「俺は大丈夫だからおまえは帰ってくれ」
ハチミツにそう伝えるとハチミツは大きく首を横に振った。
「だ、だめです! ハチミツめ、ソウル様を残して帰れません!」
「……大丈夫だ。心配するな」
「で、ですが今のソウル様は……その、能力が……」
ハチミツは俺に能力は使えないことを心配してくれていた。どう言えばハチミツを安心させてやることができるか悩んでいると、レイはハチミツに、
「ソウルにどういう心境の変化があったのかは分からないが、私の命を狙っていないのならば話は別だ。コイツが裏切らない限り私も殺さないから安心しろ」
言葉を聞いたハチミツは戸惑った表情で頷き「ハチミツめ、また来ます」とだけ言い、テレポートで帰っていった。ハチミツがいなくなってしまったことで、俺は今日からレイと二人で行動を共にするということになるが、脳裏にはミケがチラつく。
きっとレイはミケを手放すことはしないだろう。俺は近くにあったイスに腰掛ける。そんな俺にレイは真っ直ぐに見つめている。
こんな時にまでドキドキするなんて、本能は残酷だ。
「……能力がなくても、貴様は私を気持ちよくしてくれたらそれでいい」
……俺はあくまでも性処理か。
ミケの目的は王の子を産むこと。レイにはミケの誘惑は効かないけど、このままいけばミケの子を産ませることだってできてしまうかもしれない。
ーーそんなのは絶対に嫌だ。俺はミケを許するもりもないし、この先何があっても一生アイツを赦せない。
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