85 / 97
83.未来の義弟
しおりを挟む
ミシェルと一緒に豊に挨拶してから食堂に向かう事にした。
婚約者以外の男に自ら親しくするのは誤解を生むかなと思ったけど、ミシェルも豊と一緒に居た庶民の皆も対して気にしてなかった。
ジョセフが卒業するまで豊を連れ回していたからのもあるかと思うし、信頼のおける側近候補のお兄様やメイヴィス様も豊を認めていたし、一年の時にシアやミシェルも含め勉強会もしていたことは周知の事実。
そのせいか、周りは豊を王太子殿下が溺愛してる俺の従者候補の存在として認識してるようで、俺が豊を連れ歩いてても周りの反応は然程酷くはない訳だ。
貴族の中には優秀な庶民を従者にして連れてる人もいるから、そんな感じと思われてるのかもしれない……
他の貴族も学年首位の豊を狙ってる奴は多かったようだしな。
まあ自分より頭の良い庶民を従者にするには流石にプライドが邪魔してたようだが……躊躇ってるうちにジョセフが目をかけたから、手が出せなくなったみたいだし。
王太子が庶民を従者にするには眉を寄せる人もいるだろうが、婚約者と言えど俺はまだ辺境伯令嬢だから問題ない。
そのお陰で俺は豊と一緒に居ても然して気に留められない訳だ。
でも豊は従者じゃなくて友達!そこは譲らねぇからな!
他の庶民の男子学友達と心配そうな顔の豊に見送られ、俺とミシェルと共に食堂に向かう前にルナクラスを覗いた。
レティーツィアとエミリーも誘おうと思ったけど、ルナクラス方が終わるのが早かったみたいで、二人は既に帰った後だった。
残念に思いながらも一階に降りると、また朝みたいに人だかりが出来ていた。
嫌な予感がします。
見なかった事にしてミシェルを食堂に急かす。
「あ、アンジェリカ嬢!」
聞こえません!何も聞こえません!
「アンジェリカ嬢!」
空耳だ!これは空耳なんだ!
「アンジェ……呼ばれてますわよ?」
ミシェルううう!空気読んでえええええて!!!
キョトンとした顔で小首を傾げているミシェルに曖昧に笑う。
観念して少し引きつった顔で振り返ると見馴れた顔にそっくりの美少年が此方に向かってきていた。
あんなキラキラした笑顔で駆け寄ってくるなんて、ジョセフにソックリ……
そんな婚約者様より少し濃いめの金髪を煌めかせながら傍まで来たレオナルド殿下に淑女の礼をとった。
レオナルド殿下と気づいたミシェルも礼をとる。
「レオナルド殿下、直ぐに気付かずご足労おかけして申し訳ございません」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽にしてください」
言われて頭をあげるとニッコリ微笑まれた。
ジョセフに顔が似てる分、この笑顔には弱い。
「それにしても会えてよかった。貴女を待っていたんです」
ナンデスト!?
驚いて固まっている俺に不思議そうに首を傾げながらミシェルを見た。
「可笑しな事ですか?」
「い、いえ、その様なことは御座いません」
慌てて否定しながらミシェルは固まってる俺をチラリと見た。
漸く再起動した俺は曖昧に微笑んだ。
「僕はただ、未来の義姉上と仲良くしたいだけなのです。学年が違うので、意識しないと中々会えたりしないかと思って……」
まだ俺とジョセフは結婚した訳じゃないからレオナルド殿下とはまだ義姉弟じゃないけど、その言葉に少し嬉しく思う。
とは言うものの、彼が俺と同じ転生者なのでそれを理由に話せる機会を増やしてるだけかも知れないけど……
「義姉上、この後お時間はありますか?良ければ是非お話がしたいのです」
「えっと……」
王族の誘いを断る訳にはいかないが、先に約束してるのはミシェルだ。
しかも俺から誘ってるのに反故にするのは良くないとミシェルに目線を送るとミシェルは苦笑いを浮かべながら「わたくしなら大丈夫です」と許してくれた。
ミシェルからすれば王族に情けをかけてもらった身として異を唱える事は出来ないのだろう。
あっさりレオナルド殿下に挨拶をして、俺にもまた明日と挨拶をしてから帰ってしまった。
二人きりになってしまったが、周りにいたレオナルド殿下を狙ってるハイエナ……失敬、ご令嬢達の鋭い視線を受けてる。
本当、視線で人殺せたら俺死んでるわー。
このままだと、落ち着いて話をする事も出来ないし移動することにした。
良かったぜ。本当にあの空間怖かった。
流石王族なだけあってレオナルド殿下はスマートにエスコートしようとしてくれたけど、丁寧にお断りした。
ジョセフにバレると怖いんで察してください。すみません。
嫉妬深い婚約者を持つと苦労しますな……
察してくれたレオナルド殿下は苦笑いをしながら先行してくれたので俺は数歩後ろから付いて行った。
婚約者以外の男に自ら親しくするのは誤解を生むかなと思ったけど、ミシェルも豊と一緒に居た庶民の皆も対して気にしてなかった。
ジョセフが卒業するまで豊を連れ回していたからのもあるかと思うし、信頼のおける側近候補のお兄様やメイヴィス様も豊を認めていたし、一年の時にシアやミシェルも含め勉強会もしていたことは周知の事実。
そのせいか、周りは豊を王太子殿下が溺愛してる俺の従者候補の存在として認識してるようで、俺が豊を連れ歩いてても周りの反応は然程酷くはない訳だ。
貴族の中には優秀な庶民を従者にして連れてる人もいるから、そんな感じと思われてるのかもしれない……
他の貴族も学年首位の豊を狙ってる奴は多かったようだしな。
まあ自分より頭の良い庶民を従者にするには流石にプライドが邪魔してたようだが……躊躇ってるうちにジョセフが目をかけたから、手が出せなくなったみたいだし。
王太子が庶民を従者にするには眉を寄せる人もいるだろうが、婚約者と言えど俺はまだ辺境伯令嬢だから問題ない。
そのお陰で俺は豊と一緒に居ても然して気に留められない訳だ。
でも豊は従者じゃなくて友達!そこは譲らねぇからな!
他の庶民の男子学友達と心配そうな顔の豊に見送られ、俺とミシェルと共に食堂に向かう前にルナクラスを覗いた。
レティーツィアとエミリーも誘おうと思ったけど、ルナクラス方が終わるのが早かったみたいで、二人は既に帰った後だった。
残念に思いながらも一階に降りると、また朝みたいに人だかりが出来ていた。
嫌な予感がします。
見なかった事にしてミシェルを食堂に急かす。
「あ、アンジェリカ嬢!」
聞こえません!何も聞こえません!
「アンジェリカ嬢!」
空耳だ!これは空耳なんだ!
「アンジェ……呼ばれてますわよ?」
ミシェルううう!空気読んでえええええて!!!
キョトンとした顔で小首を傾げているミシェルに曖昧に笑う。
観念して少し引きつった顔で振り返ると見馴れた顔にそっくりの美少年が此方に向かってきていた。
あんなキラキラした笑顔で駆け寄ってくるなんて、ジョセフにソックリ……
そんな婚約者様より少し濃いめの金髪を煌めかせながら傍まで来たレオナルド殿下に淑女の礼をとった。
レオナルド殿下と気づいたミシェルも礼をとる。
「レオナルド殿下、直ぐに気付かずご足労おかけして申し訳ございません」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽にしてください」
言われて頭をあげるとニッコリ微笑まれた。
ジョセフに顔が似てる分、この笑顔には弱い。
「それにしても会えてよかった。貴女を待っていたんです」
ナンデスト!?
驚いて固まっている俺に不思議そうに首を傾げながらミシェルを見た。
「可笑しな事ですか?」
「い、いえ、その様なことは御座いません」
慌てて否定しながらミシェルは固まってる俺をチラリと見た。
漸く再起動した俺は曖昧に微笑んだ。
「僕はただ、未来の義姉上と仲良くしたいだけなのです。学年が違うので、意識しないと中々会えたりしないかと思って……」
まだ俺とジョセフは結婚した訳じゃないからレオナルド殿下とはまだ義姉弟じゃないけど、その言葉に少し嬉しく思う。
とは言うものの、彼が俺と同じ転生者なのでそれを理由に話せる機会を増やしてるだけかも知れないけど……
「義姉上、この後お時間はありますか?良ければ是非お話がしたいのです」
「えっと……」
王族の誘いを断る訳にはいかないが、先に約束してるのはミシェルだ。
しかも俺から誘ってるのに反故にするのは良くないとミシェルに目線を送るとミシェルは苦笑いを浮かべながら「わたくしなら大丈夫です」と許してくれた。
ミシェルからすれば王族に情けをかけてもらった身として異を唱える事は出来ないのだろう。
あっさりレオナルド殿下に挨拶をして、俺にもまた明日と挨拶をしてから帰ってしまった。
二人きりになってしまったが、周りにいたレオナルド殿下を狙ってるハイエナ……失敬、ご令嬢達の鋭い視線を受けてる。
本当、視線で人殺せたら俺死んでるわー。
このままだと、落ち着いて話をする事も出来ないし移動することにした。
良かったぜ。本当にあの空間怖かった。
流石王族なだけあってレオナルド殿下はスマートにエスコートしようとしてくれたけど、丁寧にお断りした。
ジョセフにバレると怖いんで察してください。すみません。
嫉妬深い婚約者を持つと苦労しますな……
察してくれたレオナルド殿下は苦笑いをしながら先行してくれたので俺は数歩後ろから付いて行った。
0
お気に入りに追加
2,276
あなたにおすすめの小説
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
呪われ愛らしさを極めた悪役令嬢ちゃんと、猫ちゃんな彼女を分かりにくく溺愛するクールなお兄様の日常。~ついでに負かされるヒロイン~
猫野コロ
恋愛
勉強が大嫌いな悪役令嬢ちゃんは、肉球でノートを叩きながら、にゃーんにゃーんと鳴いた――。
【簡単なあらすじ】外見は美少女だが行動がクソガキな悪役令嬢ハナちゃんが、もこもこした生き物になったり、クールなお兄様に髪を巻いてもらったり、お着替えをさせてもらったり、おやつをねだったり、我がままがすぎると叱られたり、にゃーんにゃーんと鳴いたり、許されたり、にっくきヒロインの顔を見ながらオアーと鳴いたりするお話。
【ふんわり全体像】魔法も術も使える和洋折衷な乙女ゲームにそっくりな世界で暮らす悪役令嬢、千代鶴〈チヨヅル〉華〈ハナ〉の、おこちゃまで猫ちゃまな日常。
【猫的人物像】人間のときは超美少女、猫っぽい生き物のときは三頭身未満の猫のぬいぐるみにお嬢様風のかつらを被らせたような愛くるしい外見の、いずれにせよ可愛い悪役令嬢ハナちゃん。
【恋愛要素!】毎日クールなお兄様にお世話をしてもらっている。が、当然手が離せないときもある。そしてそんな日は、心の距離が果てしない俺様幼馴染様に預けられてしまう。 意外と心の広い俺様との距離が、物理的に縮まってゆく。心の距離がどうなるのかは不明である。
【学園要素!】もこもこになってしまった悪役令嬢ちゃんのまったりドキドキな日々と、人間でも猫っぽい生き物でも、どちらにしろ可愛すぎて叱りにくいとまことしやかに言われている彼女の、『強欲系美少女なヒロインをおさえつけ、動物的な可愛さでじわじわと学園のイケメン達を悪役令嬢ちゃん陣営に引き込んでゆく』さまを描いた、清く正しくはないお話。
【溺愛、過保護、イケメン、ヤンデレ、幼女系悪役令嬢、猫、もふもふ】
【タイトル変更しました! 変更前。呪われ愛らしさを極めた悪役令嬢ちゃんと、行動がクソガキな彼女をしつけるクールなお兄様の日常。~ついでに負かされるヒロイン~】
≪なろう、カクヨムにも掲載中です!≫
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
完全無欠なライバル令嬢に転生できたので男を手玉に取りたいと思います
藍原美音
恋愛
ルリアーノ・アルランデはある日、自分が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生していると気付いた。しかしルリアーノはヒロインではなくライバル令嬢だ。ストーリーがたとえハッピーエンドになろうがバッドエンドになろうがルリアーノは断罪エンドを迎えることになっている。
「まあ、そんなことはどうでもいいわ」
しかし普通だったら断罪エンドを回避しようと奮闘するところだが、退屈だった人生に辟易していたルリアーノはとある面白いことを思い付く。
「折角絶世の美女に転生できたことだし、思いっきり楽しんでもいいわよね? とりあえず攻略対象達でも手玉に取ってみようかしら」
そして最後は華麗に散ってみせる──と思っていたルリアーノだが、いつまで経っても断罪される気配がない。
それどころか段々攻略対象達の愛がエスカレートしていって──。
「待って、ここまでは望んでない!!」
男女比が偏っている異世界に転移して逆ハーレムを築いた、その後の話
やなぎ怜
恋愛
花嫁探しのために異世界から集団で拉致されてきた少女たちのひとりであるユーリ。それがハルの妻である。色々あって学生結婚し、ハルより年上のユーリはすでに学園を卒業している。この世界は著しく男女比が偏っているから、ユーリには他にも夫がいる。ならば負けないようにストレートに好意を示すべきだが、スラム育ちで口が悪いハルは素直な感情表現を苦手としており、そのことをもどかしく思っていた。そんな中でも、妊娠適正年齢の始まりとして定められている二〇歳の誕生日――有り体に言ってしまえば「子作り解禁日」をユーリが迎える日は近づく。それとは別に、ユーリたち拉致被害者が元の世界に帰れるかもしれないという噂も立ち……。
順風満帆に見えた一家に、ささやかな波風が立つ二日間のお話。
※作品の性質上、露骨に性的な話題が出てきます。
前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!
Akila
ファンタジー
旧題:前世持ち貧乏公爵令嬢のワクワク領地改革!私、イイ事思いついちゃったぁ〜!
【第2章スタート】【第1章完結約30万字】
王都から馬車で約10日かかる、東北の超田舎街「ロンテーヌ公爵領」。
主人公の公爵令嬢ジェシカ(14歳)は両親の死をきっかけに『異なる世界の記憶』が頭に流れ込む。
それは、54歳主婦の記憶だった。
その前世?の記憶を頼りに、自分の生活をより便利にするため、みんなを巻き込んであーでもないこーでもないと思いつきを次々と形にしていく。はずが。。。
異なる世界の記憶=前世の知識はどこまで通じるのか?知識チート?なのか、はたまたただの雑学なのか。
領地改革とちょっとラブと、友情と、涙と。。。『脱☆貧乏』をスローガンに奮闘する貧乏公爵令嬢のお話です。
1章「ロンテーヌ兄妹」 妹のジェシカが前世あるある知識チートをして領地経営に奮闘します!
2章「魔法使いとストッカー」 ジェシカは貴族学校へ。癖のある?仲間と学校生活を満喫します。乞うご期待。←イマココ
恐らく長編作になるかと思いますが、最後までよろしくお願いします。
<<おいおい、何番煎じだよ!ってごもっとも。しかし、暖かく見守って下さると嬉しいです。>>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる