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第2章
18話
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しばらく進んでいくと、魔の森へたどり着く。
「さすがは魔境ですね。魔素が濃いです」
ヴィオはそういうなり、1人頷いている。
しかし、リリィはそう言われても違いがわからないのか、首を傾げる。
「そんなに違いますか?」
「ええ、かなり違いますよ。そうですね、普段私たちが住んでいる場所を1とするなら、この森は見える範囲で3か4くらいはあります。中心部ですと、どれほどの濃さになっていることやらわかりませんよ」
「そんなに、違うんですか!?」
「魔素が濃い場所が空気が違う。それくらいは嬢ちゃんでもわかるんじゃねぇか?」
「空気が、ですか?そう言われると、なんだか少し呼吸がしづらいような?」
リリィがいうように、空気の質が違う。
とはいえ、リリィが断言出来ていないようにほんの僅かな違いではある。
知らない者であれば、気づかない可能性は高かった。
「まあ、慣れていなければわからない程度だから、嬢ちゃんが気づかないのも無理はないさ。そんなことより、中に入るぞ」
ジェフがそう締めて森の中へと入っていく。
先頭に立つのは、魔狼のリル。
狼系なだけあり、人族よりも気配察知に優れているためである。
次に歩いているのが弓使いで、その次がリリィとヴィオ。
最後にジェフと、先程アンリと呼ばれていた槍使いの女性だ。
上から見れば、弓使いとジェフ・アンリが三角形となり、中にリリィとヴィオがいることがわかる。
そのような陣形で、しばらく進んでいるとリルが立ち止まり、右前方を警戒する。
リルの様子から、そちらの方に何かがいることを察し、全員武器を手にして備える。
「さて、何が出てくると思う?」
「ギルドの情報が正しければ、この辺りではゴブリンやコボルトといった魔物のはずですが」
「それくらいなら、嬢ちゃんとリルに任せてるか」
「……そうですね。私たちはサポートするだけに留めておきましょう」
「私たちだけで、ですか?」
「ああ、そうだ。今後のことを考えれば、少しでも経験を積んでおいたほうがいい」
「わかりました。リル」
リリィが呼びかけると、リルは身を屈み、いつでも飛び出せる体勢となる。
しばらくして、木の茂みから出てきたのは、予想通りゴブリンであった。
しかも数は1匹だけ。
リルは、リリィたちを見て驚き立ち止まっているゴブリンに向かって飛びかかる。
ゴブリンは慌てて、手に持っている木の棒で防ぐが、飛び書かれた勢いに負け、後ろに倒れこんでしまう。
そこへ、リリィが走り込み、倒れたゴブリンの頭めがけ、手にしている剣を振り下ろす。
ゴブリンはそのことに気づくと、木の棒で防ごうと思うが、木の棒にはリルが噛み付いていて動かせなかった。
そうなれば、リリィが振り下ろした剣は、まともにゴブリンへ当たる。
剣は、ゴブリンの目に突き刺さり、悲鳴をあげて木の棒から手を放し、目に刺さった剣を掴む。
そんなことをすれば、リルが自由になり、加えていた木の棒を放し、喉元へ噛み付く。
すると、ゴブリンは足をバタバタとさせるが、状況は変わらない。
リリィは、剣に体重を乗せてより深く突き刺そうとし、リルは、顎に力を入れて牙をめり込ませていく。
どちらがとどめとなったのか、不意にゴブリンの動きが弱まる。
リリィとリルは、しばらくそのまま様子を見ていたが、ゴブリンの動きが止まり、完全に死んだことを確かめてから、ようやく離れた。
「このゴブリンはどうしますか?」
「魔石だけとって、放っておけばいい」
「わかりました」
リリィは、剣をしまうと代わりにナイフを取り出し、ゴブリンの胸に突き刺す。
胸を切り開くと、次に心臓を切り裂き、中から魔石を取り出す。
すると、取り出した魔石に水をかけ、ゴブリンの血を洗い落としてローブで拭く。
「この魔石は、どうしますか?」
「いらんいらん。お前たちが倒したんだから、お前たちのもんだ」
「そうですか。リル」
リリィは、リルに呼びかけると魔石を差し出す。
リルは、魔石を咥え飲み込む。
今更ではあるが、魔物の強さを下からG・F・E・D・C・B・A・Sの8段階で分けている。
Gはスライムなどのほぼ害のない魔物を指しており、子供でも倒せるレベルである。
ゴブリンの強さは、下から二番目のFランクで、魔物としては弱い部類だ。
そんなゴブリンの魔石では大した効果はないが、塵も積もれば山となる、という諺があるように、リルを強くする為に与えている。
リルが魔石を食べ終えた事を確認すると、再び森の中へと足を進める。
しばらく進むと、今度はホーンラビットと呼ばれる、角が生えたウサギ型の魔物が1匹現れる。
こいつもゴブリンと同じFランクであり、大した強さではない。
ホーンラビットを見つけると、またもリリィたちだけで倒すことにした。
そう決まると、リリィはリルに指示を出して移動させると、音を出してホーンラビットの前に出る。
ホーンラビットは、リリィに気づくと、勝てると判断したのか自分から向かって来る。
後ろ足で、ぴょんぴょんと跳んで向かって来るが、その動きは普通のウサギとほとんど変わらない。
リリィが迎え撃つかのように剣を構え、ホーンラビットを待ち構えている。
そして、ホーンラビットがある位置に来ると、リルが側面から飛びかかる。
慌ててホーンラビットは逃げようとするが、そうすると、リリィが剣を突き出し注意を引く。
ホーンラビットは、どちらに対応すればいいのか判断に迷い動きが鈍る。
リルは、それを見逃さず、一気に距離を縮め、ホーンラビットの首に噛み付く。
そうなってしまえば、ホーンラビットにはなす術があるはずがなく、リルは首の骨を噛み砕く。
「よし、仕留めたか。ホーンラビットの身は美味いからな、さっさと処理をしよう。ビリー、任せた」
すると、ビリーと言われた弓使いが「任せろ」とホーンラビットを解体していく。
ビリーは、あっという間に解体していく。
リリィは、淀みなく解体されていく様に感心する。
ビリーは、解体が終わると、ホーンラビットの肉に近くの草を葉を巻きつけ袋にしまい込む。
その後もしばらく進んでいき、時折魔物と遭遇するが、ゴブリンやホーンラビットといったFランクばかりで、数が多くない限りはリリィとリルで倒していった。
「さすがは魔境ですね。魔素が濃いです」
ヴィオはそういうなり、1人頷いている。
しかし、リリィはそう言われても違いがわからないのか、首を傾げる。
「そんなに違いますか?」
「ええ、かなり違いますよ。そうですね、普段私たちが住んでいる場所を1とするなら、この森は見える範囲で3か4くらいはあります。中心部ですと、どれほどの濃さになっていることやらわかりませんよ」
「そんなに、違うんですか!?」
「魔素が濃い場所が空気が違う。それくらいは嬢ちゃんでもわかるんじゃねぇか?」
「空気が、ですか?そう言われると、なんだか少し呼吸がしづらいような?」
リリィがいうように、空気の質が違う。
とはいえ、リリィが断言出来ていないようにほんの僅かな違いではある。
知らない者であれば、気づかない可能性は高かった。
「まあ、慣れていなければわからない程度だから、嬢ちゃんが気づかないのも無理はないさ。そんなことより、中に入るぞ」
ジェフがそう締めて森の中へと入っていく。
先頭に立つのは、魔狼のリル。
狼系なだけあり、人族よりも気配察知に優れているためである。
次に歩いているのが弓使いで、その次がリリィとヴィオ。
最後にジェフと、先程アンリと呼ばれていた槍使いの女性だ。
上から見れば、弓使いとジェフ・アンリが三角形となり、中にリリィとヴィオがいることがわかる。
そのような陣形で、しばらく進んでいるとリルが立ち止まり、右前方を警戒する。
リルの様子から、そちらの方に何かがいることを察し、全員武器を手にして備える。
「さて、何が出てくると思う?」
「ギルドの情報が正しければ、この辺りではゴブリンやコボルトといった魔物のはずですが」
「それくらいなら、嬢ちゃんとリルに任せてるか」
「……そうですね。私たちはサポートするだけに留めておきましょう」
「私たちだけで、ですか?」
「ああ、そうだ。今後のことを考えれば、少しでも経験を積んでおいたほうがいい」
「わかりました。リル」
リリィが呼びかけると、リルは身を屈み、いつでも飛び出せる体勢となる。
しばらくして、木の茂みから出てきたのは、予想通りゴブリンであった。
しかも数は1匹だけ。
リルは、リリィたちを見て驚き立ち止まっているゴブリンに向かって飛びかかる。
ゴブリンは慌てて、手に持っている木の棒で防ぐが、飛び書かれた勢いに負け、後ろに倒れこんでしまう。
そこへ、リリィが走り込み、倒れたゴブリンの頭めがけ、手にしている剣を振り下ろす。
ゴブリンはそのことに気づくと、木の棒で防ごうと思うが、木の棒にはリルが噛み付いていて動かせなかった。
そうなれば、リリィが振り下ろした剣は、まともにゴブリンへ当たる。
剣は、ゴブリンの目に突き刺さり、悲鳴をあげて木の棒から手を放し、目に刺さった剣を掴む。
そんなことをすれば、リルが自由になり、加えていた木の棒を放し、喉元へ噛み付く。
すると、ゴブリンは足をバタバタとさせるが、状況は変わらない。
リリィは、剣に体重を乗せてより深く突き刺そうとし、リルは、顎に力を入れて牙をめり込ませていく。
どちらがとどめとなったのか、不意にゴブリンの動きが弱まる。
リリィとリルは、しばらくそのまま様子を見ていたが、ゴブリンの動きが止まり、完全に死んだことを確かめてから、ようやく離れた。
「このゴブリンはどうしますか?」
「魔石だけとって、放っておけばいい」
「わかりました」
リリィは、剣をしまうと代わりにナイフを取り出し、ゴブリンの胸に突き刺す。
胸を切り開くと、次に心臓を切り裂き、中から魔石を取り出す。
すると、取り出した魔石に水をかけ、ゴブリンの血を洗い落としてローブで拭く。
「この魔石は、どうしますか?」
「いらんいらん。お前たちが倒したんだから、お前たちのもんだ」
「そうですか。リル」
リリィは、リルに呼びかけると魔石を差し出す。
リルは、魔石を咥え飲み込む。
今更ではあるが、魔物の強さを下からG・F・E・D・C・B・A・Sの8段階で分けている。
Gはスライムなどのほぼ害のない魔物を指しており、子供でも倒せるレベルである。
ゴブリンの強さは、下から二番目のFランクで、魔物としては弱い部類だ。
そんなゴブリンの魔石では大した効果はないが、塵も積もれば山となる、という諺があるように、リルを強くする為に与えている。
リルが魔石を食べ終えた事を確認すると、再び森の中へと足を進める。
しばらく進むと、今度はホーンラビットと呼ばれる、角が生えたウサギ型の魔物が1匹現れる。
こいつもゴブリンと同じFランクであり、大した強さではない。
ホーンラビットを見つけると、またもリリィたちだけで倒すことにした。
そう決まると、リリィはリルに指示を出して移動させると、音を出してホーンラビットの前に出る。
ホーンラビットは、リリィに気づくと、勝てると判断したのか自分から向かって来る。
後ろ足で、ぴょんぴょんと跳んで向かって来るが、その動きは普通のウサギとほとんど変わらない。
リリィが迎え撃つかのように剣を構え、ホーンラビットを待ち構えている。
そして、ホーンラビットがある位置に来ると、リルが側面から飛びかかる。
慌ててホーンラビットは逃げようとするが、そうすると、リリィが剣を突き出し注意を引く。
ホーンラビットは、どちらに対応すればいいのか判断に迷い動きが鈍る。
リルは、それを見逃さず、一気に距離を縮め、ホーンラビットの首に噛み付く。
そうなってしまえば、ホーンラビットにはなす術があるはずがなく、リルは首の骨を噛み砕く。
「よし、仕留めたか。ホーンラビットの身は美味いからな、さっさと処理をしよう。ビリー、任せた」
すると、ビリーと言われた弓使いが「任せろ」とホーンラビットを解体していく。
ビリーは、あっという間に解体していく。
リリィは、淀みなく解体されていく様に感心する。
ビリーは、解体が終わると、ホーンラビットの肉に近くの草を葉を巻きつけ袋にしまい込む。
その後もしばらく進んでいき、時折魔物と遭遇するが、ゴブリンやホーンラビットといったFランクばかりで、数が多くない限りはリリィとリルで倒していった。
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