16 / 20
TV出演
しおりを挟む
可能な限り早く行いたいという双方の意見が一致した結果、取材は翌日には行われることになった。
清美と伊吹は、事務所で取材の対応を行い、水沢がTV局でのインタビューを受けることとなった。
ネットTV局の控室に入った水沢のところに、壮年の男が入ってきて、気安い様子で話しかけてくる。
「やあ、私がインタビューの相手をさせてもらうネットTVの社長の川崎だ。あなたが、ダンジョンズギルドの社長さんかな?」
「はい、私がダンジョンズギルド社長の水沢と申します。TV局の社長自らの出迎えとは驚きました」
「なに、お互いに社長なんだ気を使うことはないさ。しかし、思ったよりも若いんだね」
「これでも、65歳ですよ」
「ほう、それが今日インタビューするする若返りの成果というわけか……。大したものだね」
「幸運にもダンジョンが自宅にできたおかげですよ。この幸運を社会全体に広めるのが、私たちの使命というわけです」
「なるほど。会社というものは、自社の利益だけでなく、社会貢献を考えることも重要だからね」
インタビュー番組では、川崎氏自らが司会を務めていた。
「みなさんもご存じのように、今月の初めに世界各地に門とよばれる建築物が突如現れました。また、門の内部には三次元的には存在不可能なダンジョンと呼ばれる空間が広がっています」
「門およびダンジョンは、我々人類の科学力を超える技術によって、何者かがもたらしたとの説があります」
「今回、その超科学の性質の一端を解明し、その知識をもって社会に貢献するため会社を設立した方がいます」
「ご紹介します。ダンジョンズ ギルド株式会社の社長の水沢健司さんです」
その言葉を合図として、水沢が入場してきた。
「初めまして、社長を務めております水沢と申します」
着席した水沢に、司会の川崎が話しかける。
「それで、水沢さんたちが発見した知識とはどのようなものでしょうか?」
「はい、ダンジョンの内部にいる小動物、私たちはモンスターと呼んでしますが、これを倒すことであたかもゲームのように経験値を得ることができます」
「経験値を一定量貯めると、レベルが上がりステータスを上げることができます」
「それも、ゲームそのものですね」
「ええ、まさしくその通りです」
「どのくらいの数のモンスターを倒す必要があるのでしょうか」
「私たちのダンジョンの場合、レベル1になるには一人当たり1匹を倒す必要があります。それ以降のレベルに上げるのに必要な数は、倍々ゲームで増えてゆきいます」
「ネットなどでは、レベルを上げても大して強くならないという情報が出回っていますが、その点はどうなのでしょう」
「確かに、超人的な能力を得るのは不可能です。相当レベルを上げてもオリンピック級がせいぜいです」
「ただし、逆に成人の平均的な能力まで上げるのは、比較的簡単になっています」
「ほう、しかし、平均的な能力では意味がないのではありませんか?」
「確かに若い人にとっては、その通りでしょうね。ですが、体の衰えた老人にとっては意味が異なります」
「老人とって最も苦しいのは何か、それは日常生活を自分独りで行えなくなることです」
「筋力が衰え、自分一人では満足に歩くこともできなくなる」
「体力が衰え、毎日を病院で過ごさなければならなくなる」
「体の動きが衰え、日常生活もままならなくなる」
「それが、平均的な若者と同じように、日常生活が行えるまで回復できるとしたらどうですか」
「ちょっと待ってください。それでは、老化を止める、いや逆転して若返ることができると言っているように聞こえますが」
「その通りです。私の年齢はいくつか分かりますか?」
「20代ですよね。まさか……」
「ええ、今あなたが予想した通りです。私は65歳。本来初老と言っていい歳です」
「いや、驚きました。念のために言っておきますが、これはジョークニュースではありません。正真正銘本物の若返りです」
「それでは、実際の若返り処置を受けた方の感想をお聞きして見たいと思います」
その声と同時に画面が切り替わり、事務所とそこに集まる顧客たちの様子が映し出される。
レポーターが、一人の老婆にマイクを向け感想を聞く。
「若返りの効果はどうですか」
「最高。腰の痛みがすっかり良くなった」
「腰の痛み以外はどうですか」
「まあ、この年になると化粧もなにもないもんだけど、若くなれるならまたしてみるかねえ」
レポーターが、清美にマイクを向ける。
「外見が若返るには、どのくらい時間がかかるのでしょうか」
「人にもよりますが、1日から2日ほどかかるようです。なお、体力など外見以外については処置後すぐに効果が出ます」
ちなみに、そう答える清美の外見は10代に見えた。
ふたたび、画面がスタジオに切り替わり、川崎が水沢に質問をする。
「それで、水沢さんはどうして、若返りの情報をこの場で発表しようと考えたのですか? 自分たちで独占しておいても良いと思うのですが、情報を公開すると他社が参入してくるとは考えなかったのですか?」
「参入してきても構わないと考えています」
「これまで人間は老化という不治の病に悩まされてきました。ダンジョンはその不治の病の治療法なのです」
「しかし、治療法が発見されたとはいえ、私たちだけで病に苦しむ高齢者全員を救うことはできません。若返りの技術は全世界で取り組むべき、人類共通の病の治療法なのです」
「大変結構な話ですが、御社は技術を広めるために何ができますか?」
「若返り業務に取り組もうと考えている方には、フランチャイズという形で私たちの持つノウハウを提供することができます」
「また、自分の所有地内にダンジョンが発生したが、自分では事業を行う余裕がない場合には、我々がダンジョンを借り受けて若返り業務を代行することが可能です」
「よく分かりました。自分の所有地内にダンジョンが発生した方で興味を持たれた方は、ダンジョンズギルドまでご連絡をお願いします」
インタビューの収録後、川崎が水沢に話しかける。
「やあ、お疲れさん。……それで、これからのことなんだが、この若返り事業は、単に成長の見込みがあるだけでなく、社会的意義のある事業だと思う。それで、もしよろしければ、私も一口加えさせてもらえないかね」
「我が社には、大企業の経営をした経験のある者がいません。川崎さんのような方が加わってくれると心強いですよ。もし、よろしければ社外取締役として協力いただけませんか?」
「決まりだな。これからよろしく頼むよ」
そう言って二人は握手をするのであった。
清美と伊吹は、事務所で取材の対応を行い、水沢がTV局でのインタビューを受けることとなった。
ネットTV局の控室に入った水沢のところに、壮年の男が入ってきて、気安い様子で話しかけてくる。
「やあ、私がインタビューの相手をさせてもらうネットTVの社長の川崎だ。あなたが、ダンジョンズギルドの社長さんかな?」
「はい、私がダンジョンズギルド社長の水沢と申します。TV局の社長自らの出迎えとは驚きました」
「なに、お互いに社長なんだ気を使うことはないさ。しかし、思ったよりも若いんだね」
「これでも、65歳ですよ」
「ほう、それが今日インタビューするする若返りの成果というわけか……。大したものだね」
「幸運にもダンジョンが自宅にできたおかげですよ。この幸運を社会全体に広めるのが、私たちの使命というわけです」
「なるほど。会社というものは、自社の利益だけでなく、社会貢献を考えることも重要だからね」
インタビュー番組では、川崎氏自らが司会を務めていた。
「みなさんもご存じのように、今月の初めに世界各地に門とよばれる建築物が突如現れました。また、門の内部には三次元的には存在不可能なダンジョンと呼ばれる空間が広がっています」
「門およびダンジョンは、我々人類の科学力を超える技術によって、何者かがもたらしたとの説があります」
「今回、その超科学の性質の一端を解明し、その知識をもって社会に貢献するため会社を設立した方がいます」
「ご紹介します。ダンジョンズ ギルド株式会社の社長の水沢健司さんです」
その言葉を合図として、水沢が入場してきた。
「初めまして、社長を務めております水沢と申します」
着席した水沢に、司会の川崎が話しかける。
「それで、水沢さんたちが発見した知識とはどのようなものでしょうか?」
「はい、ダンジョンの内部にいる小動物、私たちはモンスターと呼んでしますが、これを倒すことであたかもゲームのように経験値を得ることができます」
「経験値を一定量貯めると、レベルが上がりステータスを上げることができます」
「それも、ゲームそのものですね」
「ええ、まさしくその通りです」
「どのくらいの数のモンスターを倒す必要があるのでしょうか」
「私たちのダンジョンの場合、レベル1になるには一人当たり1匹を倒す必要があります。それ以降のレベルに上げるのに必要な数は、倍々ゲームで増えてゆきいます」
「ネットなどでは、レベルを上げても大して強くならないという情報が出回っていますが、その点はどうなのでしょう」
「確かに、超人的な能力を得るのは不可能です。相当レベルを上げてもオリンピック級がせいぜいです」
「ただし、逆に成人の平均的な能力まで上げるのは、比較的簡単になっています」
「ほう、しかし、平均的な能力では意味がないのではありませんか?」
「確かに若い人にとっては、その通りでしょうね。ですが、体の衰えた老人にとっては意味が異なります」
「老人とって最も苦しいのは何か、それは日常生活を自分独りで行えなくなることです」
「筋力が衰え、自分一人では満足に歩くこともできなくなる」
「体力が衰え、毎日を病院で過ごさなければならなくなる」
「体の動きが衰え、日常生活もままならなくなる」
「それが、平均的な若者と同じように、日常生活が行えるまで回復できるとしたらどうですか」
「ちょっと待ってください。それでは、老化を止める、いや逆転して若返ることができると言っているように聞こえますが」
「その通りです。私の年齢はいくつか分かりますか?」
「20代ですよね。まさか……」
「ええ、今あなたが予想した通りです。私は65歳。本来初老と言っていい歳です」
「いや、驚きました。念のために言っておきますが、これはジョークニュースではありません。正真正銘本物の若返りです」
「それでは、実際の若返り処置を受けた方の感想をお聞きして見たいと思います」
その声と同時に画面が切り替わり、事務所とそこに集まる顧客たちの様子が映し出される。
レポーターが、一人の老婆にマイクを向け感想を聞く。
「若返りの効果はどうですか」
「最高。腰の痛みがすっかり良くなった」
「腰の痛み以外はどうですか」
「まあ、この年になると化粧もなにもないもんだけど、若くなれるならまたしてみるかねえ」
レポーターが、清美にマイクを向ける。
「外見が若返るには、どのくらい時間がかかるのでしょうか」
「人にもよりますが、1日から2日ほどかかるようです。なお、体力など外見以外については処置後すぐに効果が出ます」
ちなみに、そう答える清美の外見は10代に見えた。
ふたたび、画面がスタジオに切り替わり、川崎が水沢に質問をする。
「それで、水沢さんはどうして、若返りの情報をこの場で発表しようと考えたのですか? 自分たちで独占しておいても良いと思うのですが、情報を公開すると他社が参入してくるとは考えなかったのですか?」
「参入してきても構わないと考えています」
「これまで人間は老化という不治の病に悩まされてきました。ダンジョンはその不治の病の治療法なのです」
「しかし、治療法が発見されたとはいえ、私たちだけで病に苦しむ高齢者全員を救うことはできません。若返りの技術は全世界で取り組むべき、人類共通の病の治療法なのです」
「大変結構な話ですが、御社は技術を広めるために何ができますか?」
「若返り業務に取り組もうと考えている方には、フランチャイズという形で私たちの持つノウハウを提供することができます」
「また、自分の所有地内にダンジョンが発生したが、自分では事業を行う余裕がない場合には、我々がダンジョンを借り受けて若返り業務を代行することが可能です」
「よく分かりました。自分の所有地内にダンジョンが発生した方で興味を持たれた方は、ダンジョンズギルドまでご連絡をお願いします」
インタビューの収録後、川崎が水沢に話しかける。
「やあ、お疲れさん。……それで、これからのことなんだが、この若返り事業は、単に成長の見込みがあるだけでなく、社会的意義のある事業だと思う。それで、もしよろしければ、私も一口加えさせてもらえないかね」
「我が社には、大企業の経営をした経験のある者がいません。川崎さんのような方が加わってくれると心強いですよ。もし、よろしければ社外取締役として協力いただけませんか?」
「決まりだな。これからよろしく頼むよ」
そう言って二人は握手をするのであった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる