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ダンジョンの現れた日
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●5月初旬 日本
水沢が住んでいるのは、都市の郊外にある田園地帯に立つ築35年の一軒家である。
この家を買った当時は、この土地であっても、東京のベッドタウンとしての需要が見込まれるとの触れ込みであった。
しかし、その後の不景気でベッドタウンとしての需要もなくなり、東京までなんとか遠距離通勤ができなくもないというだけの不便な田舎のままとなってしまった。
とは言え、人生の半分以上をこの地で暮らしてきたわけで、それなりに愛着のある土地でもある。
前の職場を定年退職してからは、毎朝付近を散歩することにしている。
仕事に追われていたころには気づかなかったこの町の自然と触れ合うのは、良い気晴らしになっていた。
だが、精神的な気分のよさとは、別に最近の体力の衰えは隠せない。
日常生活に支障をきたすほどではないが、体の動きも若いころとは比べ物にはならない。
特にひどいのが息切れで、若いころの喫煙が悪影響を及ぼしている。
さすがに、最近は禁煙をしているが、長年の喫煙の結果患うことになったCOPDとかいう肺の病
の影響はどうにもならず、少し坂道を登っただけで息切れがするほどだ。
医師からは、無理のない範囲で運動をすることで、病気の進行を遅らせることができると言われているため、日課の散歩は続けている。
しかし、若い頃の不摂生が原因、自業自得とは言え、すぐに疲れるこの体が嫌になる。
◇◇◇
日課の朝の散歩を終え、自宅に戻って来る途中で、近所の老人会に所属している2人と出合った。
「これは橋口さんと伊吹さん、こんにちは」
水沢がそう挨拶をすると、背筋のピンと伸びた白髪の老婦人が答えた。
「嫌ですよ、健司さん、橋口さんなんて愛想のない呼び方は。清美で良いといつも言っているじゃありませんか」
「おやそうでしたかね。では、清美さんに吾郎さん、こんにちは」
そう水沢が答えると、禿頭の老人はぶっきらぼうに答えた。
「伊吹でいい」
「おや、それは失礼」
これも、いつものあいさつのようなやり取りだ。
「それで、清美さんは、いつもの道場の帰りですか?」
伊吹は実家で剣術と護身術の道場をやっている。清美の専門は薙刀だが、家が近いこともあって道場を間借りして稽古をすることがよくあるのだ。
「ええ、吾郎さんところの道場を使わせて頂いた帰りですよ」
「わしのほうは、家と道場にこもってばかりでは良くないと、息子夫婦がうるさいでな。こうして散歩にでてきたんじゃ」
「それで健司さんの方は、いつもの朝の散歩ですか?」
「ええ、そうです」
「そうだ。よろしければ家でお茶でも召し上がっていきませんか」
「それじゃあ。少しお邪魔させてもらおうか」
◇◇◇
水沢の家を訪れた3人であったが、リビングまできて立ち尽くすことになった。
そのリビングには、明らかに不釣り合いな代物、ギリシャ建築のような装飾が施された立派な門が鎮座していたからであった。
「……おい、なんじゃこれは?」
伊吹が、リビングに鎮座する巨大なオブジェを見て声を上げる。
水沢も戸惑ったように首をかしげ、その門を見上げながら答える。
「何だと言われても、私にもさっぱりです……。1時間ほど前に家を出た時には、こんなものはありませんでしたが……」
清美が、目元をこすりながら呟く。
「何だか、これを見ていると遠近感がおかしくなりそう」
「リビングに収まっているのだから、高さはせいぜい2メートル強のはずなのに……。まるで、10メートル以上の高さのあるものを見上げている気がしてくるわ……」
水沢も、清美の意見に同意する。
「幅の方も明らかにおかしいですね。何というか、次元が歪んでいるとでも言いますか……」
門の中を覗き込みながら、伊吹が呟く。
「奥に続く通路があるみたいじゃな……」
それを聞いて、清美がはしゃいだ声を上げる。
「ねえ、これってダンジョンってやつじゃない?」
「ダンジョン? 何じゃそれは?」
伊吹の問いに対して、清美が答える。
「ダンジョンっていうのはね、モンスターがいる地下の洞窟とかのことよ。モンスターを倒して、そこを攻略すると財宝が手に入るという訳よ」
「もしかして、ゲームか何かの話か?」
「そうよ。孫に勧められて始めたのだけれど、最近はまってしまってるのよ」
「馬鹿々々しい。ゲームと現実を一緒にするな」
伊吹の意見に、水沢が反論する・
「いや、そうとも限りません」
「何?」
「門の意匠などを見る限り、この門は自然現象ではなく、何者かの意図的な現象と考えられます」
「その門に通路があるとなれば、通路の先に我々が進むことを、 門を作った者は期待していると考えられます」
「であれば、通路を進む動機付けのために、何らかの報酬を準備している可能性があります」
伊吹はまだ疑わしそうに話す。
「門を作った者とやらは何者じゃ? 宇宙人か?」
しかし、水沢はその質問に大真面目に答える。
「何者かは現時点では不明です。それこそ宇宙人や異世界人である可能性もあります」
「しかし、彼らが我々より進んだ技術、あるいは、異質な技術を持っているのは間違いないでしょう」
「そうでなければ、このような門を造り出せるはずがないからです」
「じゃとしても、わしらが調査しなければならんという訳でもあるまい。どんな危険があるとも限らんのじゃからの」
「こういうことは、専門家に任せるのが一番じゃ」
その言葉に、清美が不満をこぼす。
「それじゃあ、つまらないわよ」
感覚的な清美の言葉にやや苦笑しながらも、水沢がそれに同意する。
「そうですね。私もそれには同感です」
「どうも私は年をとっても、物分かりのいい大人には成りそこなったようです。未知の現象を前にして、子供っぽい冒険心を抑えきれません」
「それに、この機会を逃せば、後は老いて行く一方です。そうなれば、日常生活にも不自由するようになり、冒険どころではなくなるでしょう」
「これまでの人生では冒険などとは無縁な生活を送ってきました。それが、人生最後にチャンスが訪れたのです。私には、この機会を逃すことなどできそうにありません」
「幸いと言って良いのか、私には面倒を見なければいけない家族もいません。万が一のことがあっても気楽なものですよ」
普段は、どちらかというと理論的な話し方をする水沢の、情熱的な言葉を聞いて、伊吹はあきらめたようにため息をついた。
「ふたりとも、そういうのなら仕方ないのう」
「これ以上、止めても二人だけで行ってしまいそうじゃ。心配だし、わしもついて行くことにしよう」
「じゃが、準備だけはしっかりとやっとくようにな」
清美が首をかしげながら、伊吹に問いかける。
「準備といっても具体的に何をするの?」
「もし、本当に怪物が出るのなら武器と防具がいるじゃろ?」
「わしは昔、警備会社を経営しとった。今は経営は息子に譲っておるがの……。その警備会社の備品から、使えそうな防具を見繕ってくるわい」
「後は試技用の真剣も取ってくるかのう」
清美も頷いて
「それなら私も試技用の薙刀を持ってくるわ」
水沢も二人に頷きながら、
「では、私はアウトドアグッズの中から使えそうなものがないか探してみます」
水沢が住んでいるのは、都市の郊外にある田園地帯に立つ築35年の一軒家である。
この家を買った当時は、この土地であっても、東京のベッドタウンとしての需要が見込まれるとの触れ込みであった。
しかし、その後の不景気でベッドタウンとしての需要もなくなり、東京までなんとか遠距離通勤ができなくもないというだけの不便な田舎のままとなってしまった。
とは言え、人生の半分以上をこの地で暮らしてきたわけで、それなりに愛着のある土地でもある。
前の職場を定年退職してからは、毎朝付近を散歩することにしている。
仕事に追われていたころには気づかなかったこの町の自然と触れ合うのは、良い気晴らしになっていた。
だが、精神的な気分のよさとは、別に最近の体力の衰えは隠せない。
日常生活に支障をきたすほどではないが、体の動きも若いころとは比べ物にはならない。
特にひどいのが息切れで、若いころの喫煙が悪影響を及ぼしている。
さすがに、最近は禁煙をしているが、長年の喫煙の結果患うことになったCOPDとかいう肺の病
の影響はどうにもならず、少し坂道を登っただけで息切れがするほどだ。
医師からは、無理のない範囲で運動をすることで、病気の進行を遅らせることができると言われているため、日課の散歩は続けている。
しかし、若い頃の不摂生が原因、自業自得とは言え、すぐに疲れるこの体が嫌になる。
◇◇◇
日課の朝の散歩を終え、自宅に戻って来る途中で、近所の老人会に所属している2人と出合った。
「これは橋口さんと伊吹さん、こんにちは」
水沢がそう挨拶をすると、背筋のピンと伸びた白髪の老婦人が答えた。
「嫌ですよ、健司さん、橋口さんなんて愛想のない呼び方は。清美で良いといつも言っているじゃありませんか」
「おやそうでしたかね。では、清美さんに吾郎さん、こんにちは」
そう水沢が答えると、禿頭の老人はぶっきらぼうに答えた。
「伊吹でいい」
「おや、それは失礼」
これも、いつものあいさつのようなやり取りだ。
「それで、清美さんは、いつもの道場の帰りですか?」
伊吹は実家で剣術と護身術の道場をやっている。清美の専門は薙刀だが、家が近いこともあって道場を間借りして稽古をすることがよくあるのだ。
「ええ、吾郎さんところの道場を使わせて頂いた帰りですよ」
「わしのほうは、家と道場にこもってばかりでは良くないと、息子夫婦がうるさいでな。こうして散歩にでてきたんじゃ」
「それで健司さんの方は、いつもの朝の散歩ですか?」
「ええ、そうです」
「そうだ。よろしければ家でお茶でも召し上がっていきませんか」
「それじゃあ。少しお邪魔させてもらおうか」
◇◇◇
水沢の家を訪れた3人であったが、リビングまできて立ち尽くすことになった。
そのリビングには、明らかに不釣り合いな代物、ギリシャ建築のような装飾が施された立派な門が鎮座していたからであった。
「……おい、なんじゃこれは?」
伊吹が、リビングに鎮座する巨大なオブジェを見て声を上げる。
水沢も戸惑ったように首をかしげ、その門を見上げながら答える。
「何だと言われても、私にもさっぱりです……。1時間ほど前に家を出た時には、こんなものはありませんでしたが……」
清美が、目元をこすりながら呟く。
「何だか、これを見ていると遠近感がおかしくなりそう」
「リビングに収まっているのだから、高さはせいぜい2メートル強のはずなのに……。まるで、10メートル以上の高さのあるものを見上げている気がしてくるわ……」
水沢も、清美の意見に同意する。
「幅の方も明らかにおかしいですね。何というか、次元が歪んでいるとでも言いますか……」
門の中を覗き込みながら、伊吹が呟く。
「奥に続く通路があるみたいじゃな……」
それを聞いて、清美がはしゃいだ声を上げる。
「ねえ、これってダンジョンってやつじゃない?」
「ダンジョン? 何じゃそれは?」
伊吹の問いに対して、清美が答える。
「ダンジョンっていうのはね、モンスターがいる地下の洞窟とかのことよ。モンスターを倒して、そこを攻略すると財宝が手に入るという訳よ」
「もしかして、ゲームか何かの話か?」
「そうよ。孫に勧められて始めたのだけれど、最近はまってしまってるのよ」
「馬鹿々々しい。ゲームと現実を一緒にするな」
伊吹の意見に、水沢が反論する・
「いや、そうとも限りません」
「何?」
「門の意匠などを見る限り、この門は自然現象ではなく、何者かの意図的な現象と考えられます」
「その門に通路があるとなれば、通路の先に我々が進むことを、 門を作った者は期待していると考えられます」
「であれば、通路を進む動機付けのために、何らかの報酬を準備している可能性があります」
伊吹はまだ疑わしそうに話す。
「門を作った者とやらは何者じゃ? 宇宙人か?」
しかし、水沢はその質問に大真面目に答える。
「何者かは現時点では不明です。それこそ宇宙人や異世界人である可能性もあります」
「しかし、彼らが我々より進んだ技術、あるいは、異質な技術を持っているのは間違いないでしょう」
「そうでなければ、このような門を造り出せるはずがないからです」
「じゃとしても、わしらが調査しなければならんという訳でもあるまい。どんな危険があるとも限らんのじゃからの」
「こういうことは、専門家に任せるのが一番じゃ」
その言葉に、清美が不満をこぼす。
「それじゃあ、つまらないわよ」
感覚的な清美の言葉にやや苦笑しながらも、水沢がそれに同意する。
「そうですね。私もそれには同感です」
「どうも私は年をとっても、物分かりのいい大人には成りそこなったようです。未知の現象を前にして、子供っぽい冒険心を抑えきれません」
「それに、この機会を逃せば、後は老いて行く一方です。そうなれば、日常生活にも不自由するようになり、冒険どころではなくなるでしょう」
「これまでの人生では冒険などとは無縁な生活を送ってきました。それが、人生最後にチャンスが訪れたのです。私には、この機会を逃すことなどできそうにありません」
「幸いと言って良いのか、私には面倒を見なければいけない家族もいません。万が一のことがあっても気楽なものですよ」
普段は、どちらかというと理論的な話し方をする水沢の、情熱的な言葉を聞いて、伊吹はあきらめたようにため息をついた。
「ふたりとも、そういうのなら仕方ないのう」
「これ以上、止めても二人だけで行ってしまいそうじゃ。心配だし、わしもついて行くことにしよう」
「じゃが、準備だけはしっかりとやっとくようにな」
清美が首をかしげながら、伊吹に問いかける。
「準備といっても具体的に何をするの?」
「もし、本当に怪物が出るのなら武器と防具がいるじゃろ?」
「わしは昔、警備会社を経営しとった。今は経営は息子に譲っておるがの……。その警備会社の備品から、使えそうな防具を見繕ってくるわい」
「後は試技用の真剣も取ってくるかのう」
清美も頷いて
「それなら私も試技用の薙刀を持ってくるわ」
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