29 / 30
柏木マオの場合
side:柏木マオ クリスマス②
しおりを挟む
終業式も終わり、クリスマス当日。
約束をしたカラオケボックスに到着した。
「マーオーちゃーん」
ボタンちゃんが大きく手を振っている。
私も振り返す。
「モミジさんは?」
「まだ来てないよ。それより…」
「よっ!」
ボタンちゃんの後ろから兎川くんが出てきた。
「兎川くん!?」
「暇なのでお呼ばれしました」
「ごめん!言ってなかったよね」
「大丈夫だよ。びっくりしただけ」
言ってくれればプレゼント用意したんだけどな…
「今日は6人でクリスマスパーティー楽しもうな!」
「6人!?」
「うん、せっかくだし、と思って誘っちゃった」
ボタンちゃんが「驚かせてごめん」と謝ってくる。
人数が多い方が楽しいから…いっか。
「遅くなっちゃったかしら」
モミジさんが到着………
お兄ちゃんもいる!
「お誘い頂きありがとうございます」
「リョウ、挨拶堅すぎでしょ」
お兄ちゃんの横には水無月くんがいた。
「ども」
「文化祭のチームメンバー全員に声かけたんだけど
やっぱ無理な人もいてさ。今日はこの6人!」
「長谷川さん、あざっす!クラスでの打ち上げなかったもんな」
「兎川くんが提案しないからだと思うけど?」
「俺ぇ!?」
「はいはい。人数揃ってるんだから受付するわよ」
モミジさんが率先して受付に向かう。
「柏木さん、話すの久々だね」
「水無月くん!確かに全然話してないかも」
「あとでちょっと話したいことあるんだけど…」
「はーい、206号室~!行くわよ~」
モミジさんから号令がかかった。
「いいけど、みんなで楽しんでからにしようか…?」
「だなー。今日は何食わそうかなー」
「わっ、また餌付けしようとしてるよ!」
水無月くんと会話しながら部屋に移動した。
それぞれ席に座り、店員さんが飲み物とスナック菓子を持ってくるまで会話を楽しんだ。
兎川くんから順番に歌うことになったのだが、みんな歌上手過ぎて驚きを隠しきれない私がいた。
次はお兄ちゃんの番だけど…なに歌うのかな………
元ビジュアル系のソロアーティストの曲!?
低音ボイスからのハイトーンボイス………上手すぎる………
普通に格好いい………
そう思い、目頭を押さえる私………
こんなハイレベルの中で……何を歌えば良いのやら………
と言うわけで、一旦、誰でも知っているキッズアニメソングをチョイス。
上手いも下手もないものを歌うことにした。
私はタイミングを見て、席を立ち、お手洗いに向かった。
女性用トイレは別の階だったのでちょっと移動に時間がかかってしまった。
部屋に戻るタイミングで水無月くんが外の椅子に腰掛けていた。
「どうしたの?気分でも悪い?」
そう話しかけると「柏木さんを待ってた」と言われた。
「前に俺の好きな人のこと話したの…覚えてる?」
私も水無月くんの隣に腰掛ける。
「覚えてるよ」
「フラれたらしいんだ、桜井に」
幼馴染ちゃん、告白したんだ!
「それで、まあ…俺は色々あったんだけど。そいつと付き合うことになった」
「え!?お、おめでとう!」
水無月くんは照れながら笑っている。
「ってか、彼女いるのにこんな所で油売ってていいの?」
「残念。彼女とは昨日一緒だったので問題ないのです。今日は家族と過ごすって」
水無月くんはダブルピースをかましてくる。
「なんか、イラッとするけど、おめでとう」
「柏木さんにしか話してなかったし、報告したくて。今日話したかったのは、これ」
「そっか。律儀にありがとうございます」
「いいクリスマスプレゼントでしょ?」
「人の惚気話がクリスマスプレゼントなの?要らないのでお返ししますね」
「めっちゃ言うのな。そういうとこ好きだわー、話しやすい」
そう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
「え、子供扱い?馬鹿にされてるような……」
そのとき、誰かが駆け寄って水無月くんの手を掴んだ。
見上げるとお兄ちゃんがいた。
「帰ってこないと思ったら何してんだよ」
低い声でお兄ちゃんが水無月くんに言う。
「あー…ごめんごめん。サトミに良くやってるから癖で」
………ん??
「女子にこういうことすんのやめろよ、セクハラだぞ」
「え、でも、食べ物で餌付けしてるから大丈夫かな、って」
「私をなんだと思ってんのよ!猫や犬じゃないからね!」
水無月くんは、ははは…と笑いながら部屋に戻って行った。
いや、それよりも気になることがある………
「柏木さんも、戻るよ」
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと怒ってない?」
声がずっと低い。
「なんで俺が怒るの?」
やっぱり声が低い。
「いやぁ…、そうなのかな…って」
「戻るよ」
お兄ちゃんの後ろをついて部屋に戻った。
最近、あんまり話せてなかったから……今日は会えて嬉しかったんだけどな………
気持ちが落ち込んでいることに気づきながらも次に歌う曲を探した。
約束をしたカラオケボックスに到着した。
「マーオーちゃーん」
ボタンちゃんが大きく手を振っている。
私も振り返す。
「モミジさんは?」
「まだ来てないよ。それより…」
「よっ!」
ボタンちゃんの後ろから兎川くんが出てきた。
「兎川くん!?」
「暇なのでお呼ばれしました」
「ごめん!言ってなかったよね」
「大丈夫だよ。びっくりしただけ」
言ってくれればプレゼント用意したんだけどな…
「今日は6人でクリスマスパーティー楽しもうな!」
「6人!?」
「うん、せっかくだし、と思って誘っちゃった」
ボタンちゃんが「驚かせてごめん」と謝ってくる。
人数が多い方が楽しいから…いっか。
「遅くなっちゃったかしら」
モミジさんが到着………
お兄ちゃんもいる!
「お誘い頂きありがとうございます」
「リョウ、挨拶堅すぎでしょ」
お兄ちゃんの横には水無月くんがいた。
「ども」
「文化祭のチームメンバー全員に声かけたんだけど
やっぱ無理な人もいてさ。今日はこの6人!」
「長谷川さん、あざっす!クラスでの打ち上げなかったもんな」
「兎川くんが提案しないからだと思うけど?」
「俺ぇ!?」
「はいはい。人数揃ってるんだから受付するわよ」
モミジさんが率先して受付に向かう。
「柏木さん、話すの久々だね」
「水無月くん!確かに全然話してないかも」
「あとでちょっと話したいことあるんだけど…」
「はーい、206号室~!行くわよ~」
モミジさんから号令がかかった。
「いいけど、みんなで楽しんでからにしようか…?」
「だなー。今日は何食わそうかなー」
「わっ、また餌付けしようとしてるよ!」
水無月くんと会話しながら部屋に移動した。
それぞれ席に座り、店員さんが飲み物とスナック菓子を持ってくるまで会話を楽しんだ。
兎川くんから順番に歌うことになったのだが、みんな歌上手過ぎて驚きを隠しきれない私がいた。
次はお兄ちゃんの番だけど…なに歌うのかな………
元ビジュアル系のソロアーティストの曲!?
低音ボイスからのハイトーンボイス………上手すぎる………
普通に格好いい………
そう思い、目頭を押さえる私………
こんなハイレベルの中で……何を歌えば良いのやら………
と言うわけで、一旦、誰でも知っているキッズアニメソングをチョイス。
上手いも下手もないものを歌うことにした。
私はタイミングを見て、席を立ち、お手洗いに向かった。
女性用トイレは別の階だったのでちょっと移動に時間がかかってしまった。
部屋に戻るタイミングで水無月くんが外の椅子に腰掛けていた。
「どうしたの?気分でも悪い?」
そう話しかけると「柏木さんを待ってた」と言われた。
「前に俺の好きな人のこと話したの…覚えてる?」
私も水無月くんの隣に腰掛ける。
「覚えてるよ」
「フラれたらしいんだ、桜井に」
幼馴染ちゃん、告白したんだ!
「それで、まあ…俺は色々あったんだけど。そいつと付き合うことになった」
「え!?お、おめでとう!」
水無月くんは照れながら笑っている。
「ってか、彼女いるのにこんな所で油売ってていいの?」
「残念。彼女とは昨日一緒だったので問題ないのです。今日は家族と過ごすって」
水無月くんはダブルピースをかましてくる。
「なんか、イラッとするけど、おめでとう」
「柏木さんにしか話してなかったし、報告したくて。今日話したかったのは、これ」
「そっか。律儀にありがとうございます」
「いいクリスマスプレゼントでしょ?」
「人の惚気話がクリスマスプレゼントなの?要らないのでお返ししますね」
「めっちゃ言うのな。そういうとこ好きだわー、話しやすい」
そう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
「え、子供扱い?馬鹿にされてるような……」
そのとき、誰かが駆け寄って水無月くんの手を掴んだ。
見上げるとお兄ちゃんがいた。
「帰ってこないと思ったら何してんだよ」
低い声でお兄ちゃんが水無月くんに言う。
「あー…ごめんごめん。サトミに良くやってるから癖で」
………ん??
「女子にこういうことすんのやめろよ、セクハラだぞ」
「え、でも、食べ物で餌付けしてるから大丈夫かな、って」
「私をなんだと思ってんのよ!猫や犬じゃないからね!」
水無月くんは、ははは…と笑いながら部屋に戻って行った。
いや、それよりも気になることがある………
「柏木さんも、戻るよ」
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと怒ってない?」
声がずっと低い。
「なんで俺が怒るの?」
やっぱり声が低い。
「いやぁ…、そうなのかな…って」
「戻るよ」
お兄ちゃんの後ろをついて部屋に戻った。
最近、あんまり話せてなかったから……今日は会えて嬉しかったんだけどな………
気持ちが落ち込んでいることに気づきながらも次に歌う曲を探した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
美少女の秘密を知って付き合うことになった僕に彼女達はなぜかパンツを見せてくれるようになった
釧路太郎
青春
【不定期土曜18時以降更新予定】
僕の彼女の愛ちゃんはクラスの中心人物で学校内でも人気のある女の子だ。
愛ちゃんの彼氏である僕はクラスでも目立たない存在であり、オカルト研究会に所属する性格も暗く見た目も冴えない男子である。
そんな僕が愛ちゃんに告白されて付き合えるようになったのは、誰も知らない彼女の秘密を知ってしまったからなのだ。
そして、なぜか彼女である愛ちゃんは誰もいないところで僕にだけパンツを見せてくれるという謎の行動をとるのであった。
誰にも言えない秘密をもった美少女愛ちゃんとその秘密を知った冴えない僕が送る、爽やかでちょっとだけエッチな青春物語
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています
女子高生が、納屋から発掘したR32に乗る話
エクシモ爺
青春
高校3年生になった舞華は、念願の免許を取って車通学の許可も取得するが、母から一言「車は、お兄ちゃんが置いていったやつ使いなさい」と言われて愕然とする。
納屋の奥で埃を被っていた、レッドパールのR32型スカイラインGTS-tタイプMと、クルマ知識まったくゼロの舞華が織りなすハートフル(?)なカーライフストーリー。
・エアフロってどんなお風呂?
・本に書いてある方法じゃ、プラグ交換できないんですけどー。
・このHICASってランプなに~? マジクソハンドル重いんですけどー。
など、R32あるあるによって、ずぶの素人が、悪い道へと染められるのであった。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
優等生の美少女に弱みを握られた最恐ヤンキーが生徒会にカチコミ決めるんでそこんとこ夜露死苦ぅ!!
M・K
青春
久我山颯空。十六歳。
市販の安いブリーチで染め上げた片側ツーブロックの髪型。これ見よがしに耳につけられた銀のピアス。腰まで下ろしたズボン、踵が潰れた上履き。誰もが認めるヤンキー男。
学力は下の下。喧嘩の強さは上の上。目つきも態度も立ち振る舞いまでもが悪い彼が通うのは、言わずと知れた名門・清新学園高等学校。
品行方正、博学卓識な者達ばかりが集まる学校には似つかわしくない存在。それは自他ともに持っている共通認識だった。
ならば、彼はなぜこの学校を選んだのか? それには理由……いや、秘密があった。
渚美琴。十六歳。
颯空と同じ清新学園に通い、クラスまでもが一緒の少女。ただ、その在り方は真逆のものだった。
成績はトップクラス。超が付くほどの美少女。その上、生徒会にまで所属しているという絵にかいたような優等生。
彼女の目標は清新学園の生徒会長になる事。そのため"取り締まり"という名の点数稼ぎに日々勤しんでいた。
交わる事などありえなかった陰と陽の二人。
ひょんな事から、美琴が颯空の秘密を知ってしまった時、物語が動き出す。
私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜
赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。
これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。
友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる