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第四十二話・繋がる命
しおりを挟む「ここか? ここは我々の中。星の内部と言っていい場所だ」
ここが星の内部? この青白い何もない空間が?
「随分と殺風景なんだな。それにお前達の中だというのに、なんでいまだに木の姿なんだ?」
「それはお前達の目がいまだに何も視えていないからだ。よく目を凝らせ、真実から目を背けるな、逃げるな、我を視よ」
星の使徒は試すように俺達に語りかける。俺はそれを聞いて目を瞑る。
俺達が逃げている? そんなはずがない。真実から目を背けてはいない。直視してきたじゃないか。だから今こうやって制星教会から逃げて……逃げて……あれ? 俺と真姫は制星教会から逃げ出した。確かに俺達は星の使徒を追ってきた。それは間違いない。だけどその行動の裏に、少しでも逃げたいという気持ちは無かったのか? 星の使徒が遠く離れた田舎の山の中に向かうと知って、内心喜んではいなかったか?
そう思うと自信がない。俺と真姫は自分の過去に向き合い、それによって生じる人の死を直視してきた。それは事実だ。しかし人類が何人死ぬか、崩壊が進行した未来を真面目に考えていたかと問われると、答えはNOだ。
俺は向き合おう。俺達のエゴのせいで一億人もの人が崩壊病で死ぬ。亡くなる。崩れていく。そして人類から敵と認定されるだろう。その規模まで崩壊病の被害が拡大すれば、制星教会の存在は勿論、俺達の存在も明るみになるだろう。
俺達が生きる未来は棘の道だ。逃げ続ける道だ。追われる道だ。
それを踏まえてもう一度目を開くと、周囲の風景は一変した。
さっきまで木の姿をしていた星の使徒が、俺達のよく知っている姿に変わっていた。そして周囲には青白い空間ではなく、まるで色鉛筆全ての色を使ったような、なんとも形容しがたい暖色系の空間に様変わりしている。そこには様々な時代の様々な光景があちらこちらから飛来しては去っていく。そこに規則性は無く、完全にランダムにみえた。
「この空間では時間の概念はない」
そう言う星の使徒の視線の先には、あの日の教室で泣き叫んでいる俺の映像が流れている。その他にも過去に飛ばされる前に見た、ひとけの無い岬町の光景や、キノコ状に膨れ上がった爆炎の映像。何かの爆発だろうか? あれは一体……
「それで、どうして私達をここに導いたの?」
真姫はさっそく切り出した。
「お前達に話しておくことができた」
「なんだよ。いまさら」
俺は若干不機嫌な態度をとる。だってそうだろう? こいつらが俺達に話をする時なんて、大抵碌な事じゃないからだ。
「他の変異種数名は生きることを選んだ。これは彼らが自分で選んだ選択だ。我々もその選択に口出しはしない」
一瞬なんのことか分からなくなったが、確か真姫以外の変異種は自殺を選ぶだろうと言っていなかったか? そんな彼らが、星の予想を裏切って生きることを選択した。そういうことか。勿論そうなるだろうと俺は内心思っていた。なぜなら人間とは、生物とはそういうものだから。自身の生存に全力になるのが生物の本能だから。
そして以前星の使徒が言っていた。真姫以外の変異種が全員死んだ場合でも、一億人は崩壊病によって消えていくと。
「それって……じゃあ崩壊病で亡くなる人数は一体何人になるんだ?」
俺は恐る恐る尋ねる。嫌な予感がする。というよりも半分分かっている。真姫以外の変異種が全員死んで一億人だぞ?
「分からない。ただおよそ人類の数は半分を切るだろう」
星の使徒のオリジナルは簡単そうに告げた。
「半分!? 半分って言ったか!?」
今の地球の人口はおよそ七十六億人。それの半分ということは、約三十八億人が崩壊病で消える? そんなこと……
「それをわざわざ言いに来たのか?」
それでもう一度俺達に選択させようということか? お前達が死ねば、被害者は億単位で減ると。そう言いたいのか?
「ああ言いに来た。しかしお前達に選択を委ねるつもりはない。今回は勧誘だ」
「勧誘?」
どういうつもりだろうか? 星の使徒が俺達を勧誘? 何に? 勧誘なんて怪しげな宗教か保険ぐらいしか思いつかないが、星の使徒が提示する勧誘とは一体なんだろう?
「こちら側につかないか?」
「こちら側?」
「こちら側」
真姫がオウム返しで聞き返しても、向こうもそのまま返してきた。
「こちら側ってどういう意味だ?」
こちら側というのは星側に立てということか? 意味が分からない。
「そもそもここに集まっている星の使徒達は、もともと人間だった者達だ」
「もともと人間? 何を言っている? それにここには別にお前以外の星の使徒なんて……」
そこまで言ってから気がついた。周囲に人の気配がする。人の気配……人? 辺りを見渡すと、その空間の至る所に星の使徒が発生していた。その数は数えきれないほど。ぱっと見でも百体は下らない数だ。
「これはどういうわけだ? もともと人間なわけ無いだろ! 人をおちょくるのもいい加減にしろ!」
俺は力強く咆える。まるで俺達を、崩壊病で死んでいった者達を侮辱するようなもの言いに我慢できなかった。もしも星の使徒が元人間だとするなら、崩壊病の被害者達は人の手によって殺されたことになる。
「信じられないだろうな」
そう言って星の使徒が合図をすると、俺達の右斜め後方にいた星の使徒が一体、俺達の前に移動してきた。
「この個体がどうだっていうんだ? それに前にお前が自分で言っていたじゃないか! 俺達が生きることを選んだ瞬間から星の使徒は増え始めたって! どうしてそれが元人間になるんだ!」
「ここにいる星の使徒は、制星教会の中で星野厳正を崩壊病にした個体だ。そしてそのままお前達をここまで誘導してきた」
「だから何だって言うんだ!」
「分からないか? よく目を凝らして視てみろ」
俺は言われるがままじっくりと正面の星の使徒を観察する。となりで真姫も俺の真似をして観察しているが、よくわからないと言いたげに首を横に振る。
いくら目を凝らしたって何も変わるはず……
そう思ってもう一度目を細めると、一瞬星の使徒の姿が濁った。まるで絵具をパレットの上で混ぜたような色に、一瞬だけ変化した。
「なんだ?」
もう一度集中して目の前の個体を凝視すると、徐々に人の形に変わってきた。どんどん星の使徒としての姿は薄れていき、人の姿へ……俺とあまり変わらない男性の姿が目に映る。俺は知っている。彼を知っている。
「……正人?」
俺が無意識に口にしたのは、俺の先輩兼相棒だった男の名前だった。
「正人さん!?」
真姫は驚いてもう一度星の使徒に視線を向けるが、やがて首を横に振る。やはり彼女には見えていないらしい。
「お前には視えているだろう? 親しかった人にしか元の姿として認識されないからな」
星の使徒は無機質な声でそう説明してくれた。
ああ。そういうことか……理解した。
ずっと不思議だったんだ。どうして崩壊病に罹った者達はあんなに穏やかな表情を浮かべてたのだろうって。それがようやく分かった。
「崩壊病のターゲットにされた人間に送られる星の使徒は、その人間の親しかった故人ってことか?」
俺はそう結論付けた。だってそうだろう? 星の使徒に追いつめられた者達が、あんな穏やかな表情を浮かべるわけがない。もっと狂気に身を焦がすか、泣き叫ぶほうが自然な反応だ。
俺は正人の母親が崩壊病に罹ってしまった時を思い出していた。確かあの時、彼女は「正人、正人、正人……ごめんね。私もついて行くから……」そう言っていた。
ついて行くから。
会いに行くならまだ分かるが、ついて行く。まるで目の前に正人がいるみたいではないか。
最初に正人がやられた時だって、正人は穏やかな表情をしてたっけ? もしかしたら正人の死んだ父親が星の使徒として来ていたのかも知れない。母親と正人二人に共通する親しかった故人なんてそれしか浮かばない。しかし……
「なんでわざわざ故人を派遣する?」
ここが星の内部? この青白い何もない空間が?
「随分と殺風景なんだな。それにお前達の中だというのに、なんでいまだに木の姿なんだ?」
「それはお前達の目がいまだに何も視えていないからだ。よく目を凝らせ、真実から目を背けるな、逃げるな、我を視よ」
星の使徒は試すように俺達に語りかける。俺はそれを聞いて目を瞑る。
俺達が逃げている? そんなはずがない。真実から目を背けてはいない。直視してきたじゃないか。だから今こうやって制星教会から逃げて……逃げて……あれ? 俺と真姫は制星教会から逃げ出した。確かに俺達は星の使徒を追ってきた。それは間違いない。だけどその行動の裏に、少しでも逃げたいという気持ちは無かったのか? 星の使徒が遠く離れた田舎の山の中に向かうと知って、内心喜んではいなかったか?
そう思うと自信がない。俺と真姫は自分の過去に向き合い、それによって生じる人の死を直視してきた。それは事実だ。しかし人類が何人死ぬか、崩壊が進行した未来を真面目に考えていたかと問われると、答えはNOだ。
俺は向き合おう。俺達のエゴのせいで一億人もの人が崩壊病で死ぬ。亡くなる。崩れていく。そして人類から敵と認定されるだろう。その規模まで崩壊病の被害が拡大すれば、制星教会の存在は勿論、俺達の存在も明るみになるだろう。
俺達が生きる未来は棘の道だ。逃げ続ける道だ。追われる道だ。
それを踏まえてもう一度目を開くと、周囲の風景は一変した。
さっきまで木の姿をしていた星の使徒が、俺達のよく知っている姿に変わっていた。そして周囲には青白い空間ではなく、まるで色鉛筆全ての色を使ったような、なんとも形容しがたい暖色系の空間に様変わりしている。そこには様々な時代の様々な光景があちらこちらから飛来しては去っていく。そこに規則性は無く、完全にランダムにみえた。
「この空間では時間の概念はない」
そう言う星の使徒の視線の先には、あの日の教室で泣き叫んでいる俺の映像が流れている。その他にも過去に飛ばされる前に見た、ひとけの無い岬町の光景や、キノコ状に膨れ上がった爆炎の映像。何かの爆発だろうか? あれは一体……
「それで、どうして私達をここに導いたの?」
真姫はさっそく切り出した。
「お前達に話しておくことができた」
「なんだよ。いまさら」
俺は若干不機嫌な態度をとる。だってそうだろう? こいつらが俺達に話をする時なんて、大抵碌な事じゃないからだ。
「他の変異種数名は生きることを選んだ。これは彼らが自分で選んだ選択だ。我々もその選択に口出しはしない」
一瞬なんのことか分からなくなったが、確か真姫以外の変異種は自殺を選ぶだろうと言っていなかったか? そんな彼らが、星の予想を裏切って生きることを選択した。そういうことか。勿論そうなるだろうと俺は内心思っていた。なぜなら人間とは、生物とはそういうものだから。自身の生存に全力になるのが生物の本能だから。
そして以前星の使徒が言っていた。真姫以外の変異種が全員死んだ場合でも、一億人は崩壊病によって消えていくと。
「それって……じゃあ崩壊病で亡くなる人数は一体何人になるんだ?」
俺は恐る恐る尋ねる。嫌な予感がする。というよりも半分分かっている。真姫以外の変異種が全員死んで一億人だぞ?
「分からない。ただおよそ人類の数は半分を切るだろう」
星の使徒のオリジナルは簡単そうに告げた。
「半分!? 半分って言ったか!?」
今の地球の人口はおよそ七十六億人。それの半分ということは、約三十八億人が崩壊病で消える? そんなこと……
「それをわざわざ言いに来たのか?」
それでもう一度俺達に選択させようということか? お前達が死ねば、被害者は億単位で減ると。そう言いたいのか?
「ああ言いに来た。しかしお前達に選択を委ねるつもりはない。今回は勧誘だ」
「勧誘?」
どういうつもりだろうか? 星の使徒が俺達を勧誘? 何に? 勧誘なんて怪しげな宗教か保険ぐらいしか思いつかないが、星の使徒が提示する勧誘とは一体なんだろう?
「こちら側につかないか?」
「こちら側?」
「こちら側」
真姫がオウム返しで聞き返しても、向こうもそのまま返してきた。
「こちら側ってどういう意味だ?」
こちら側というのは星側に立てということか? 意味が分からない。
「そもそもここに集まっている星の使徒達は、もともと人間だった者達だ」
「もともと人間? 何を言っている? それにここには別にお前以外の星の使徒なんて……」
そこまで言ってから気がついた。周囲に人の気配がする。人の気配……人? 辺りを見渡すと、その空間の至る所に星の使徒が発生していた。その数は数えきれないほど。ぱっと見でも百体は下らない数だ。
「これはどういうわけだ? もともと人間なわけ無いだろ! 人をおちょくるのもいい加減にしろ!」
俺は力強く咆える。まるで俺達を、崩壊病で死んでいった者達を侮辱するようなもの言いに我慢できなかった。もしも星の使徒が元人間だとするなら、崩壊病の被害者達は人の手によって殺されたことになる。
「信じられないだろうな」
そう言って星の使徒が合図をすると、俺達の右斜め後方にいた星の使徒が一体、俺達の前に移動してきた。
「この個体がどうだっていうんだ? それに前にお前が自分で言っていたじゃないか! 俺達が生きることを選んだ瞬間から星の使徒は増え始めたって! どうしてそれが元人間になるんだ!」
「ここにいる星の使徒は、制星教会の中で星野厳正を崩壊病にした個体だ。そしてそのままお前達をここまで誘導してきた」
「だから何だって言うんだ!」
「分からないか? よく目を凝らして視てみろ」
俺は言われるがままじっくりと正面の星の使徒を観察する。となりで真姫も俺の真似をして観察しているが、よくわからないと言いたげに首を横に振る。
いくら目を凝らしたって何も変わるはず……
そう思ってもう一度目を細めると、一瞬星の使徒の姿が濁った。まるで絵具をパレットの上で混ぜたような色に、一瞬だけ変化した。
「なんだ?」
もう一度集中して目の前の個体を凝視すると、徐々に人の形に変わってきた。どんどん星の使徒としての姿は薄れていき、人の姿へ……俺とあまり変わらない男性の姿が目に映る。俺は知っている。彼を知っている。
「……正人?」
俺が無意識に口にしたのは、俺の先輩兼相棒だった男の名前だった。
「正人さん!?」
真姫は驚いてもう一度星の使徒に視線を向けるが、やがて首を横に振る。やはり彼女には見えていないらしい。
「お前には視えているだろう? 親しかった人にしか元の姿として認識されないからな」
星の使徒は無機質な声でそう説明してくれた。
ああ。そういうことか……理解した。
ずっと不思議だったんだ。どうして崩壊病に罹った者達はあんなに穏やかな表情を浮かべてたのだろうって。それがようやく分かった。
「崩壊病のターゲットにされた人間に送られる星の使徒は、その人間の親しかった故人ってことか?」
俺はそう結論付けた。だってそうだろう? 星の使徒に追いつめられた者達が、あんな穏やかな表情を浮かべるわけがない。もっと狂気に身を焦がすか、泣き叫ぶほうが自然な反応だ。
俺は正人の母親が崩壊病に罹ってしまった時を思い出していた。確かあの時、彼女は「正人、正人、正人……ごめんね。私もついて行くから……」そう言っていた。
ついて行くから。
会いに行くならまだ分かるが、ついて行く。まるで目の前に正人がいるみたいではないか。
最初に正人がやられた時だって、正人は穏やかな表情をしてたっけ? もしかしたら正人の死んだ父親が星の使徒として来ていたのかも知れない。母親と正人二人に共通する親しかった故人なんてそれしか浮かばない。しかし……
「なんでわざわざ故人を派遣する?」
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