守ってあげます!!

吉野ゆき

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「本当だよ。どっちがというか、私、そういう感情自体が分かんないの」


ひろかは思いがけない返答に首を傾げた。

『もちろん凌に決まってるじゃない』などと返ってくると思っていたのだ。

ひろかの目には、凌はもちろん、姫乃の方にも気持ちがあるように見えていたから。


「うーん、特別に『好き』っていう感情が分からないってこと?」


「だって、その『好き』って、家族の『好き』より上なんだよね?
知り合いにもいたけど、その人のためなら死ねるっていうほど好きだったはずなのに、つきあい始めたらすぐ別れたり。
私にはよくわからない」


「う~ん、まぁそういう人もいるけど…」

ひろかは納得できないようで難しい顔をしている。


「凌のことは好きだし、本当に大切よ。 
もう家族のようなものだもん。
だからわざわざ別れの可能性のあるそんな位置につけたくない」

「…本当に好きなら、家族じゃいられないよ」

「え?」

小さく呟いたひろかの言葉は風に消されてしまって、姫乃の耳には届かなかった。


「ん~ん、なんでもない。
じゃあリョウくんともなんでもないのかぁ」

「もちろんよ。
確かに強いのは認めるけど、あんな軽いの問題外だわ!」

姫乃はフンと鼻をならす。
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