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翌日の昼休み。
屋上へ続く階段を、凌とひろかが並んで歩いている。
二人が後ろを振り返ると、十メートルほど離れた所に姫乃の姿を捉えた。
昨日の一件でお昼を二人と一緒に取ることに決めた姫乃だったが、周りを警戒し、朝はあいさつだけであとはだんまり、こうして歩くのにも距離をとっている。
「もうっ!一緒にお昼を食べるのに、今だけ離れて歩いたって何の意味もないと思うよ?」
ひろかはそう言ってグイと姫乃の腕を引き寄せた。
「でも本当に大丈夫かな…。特にひろかは女の子だし何かあってからじゃ」
「その件なら、ひろかは絶対大丈夫」
ひろかは心配ないと絶対の自信を持った様子で笑った。
「なんで?」
と姫乃が聞くと
「今はまだ内緒。そのうちわかるよ」
と言って楽しそうに鼻歌を歌いながら廊下を進んでいく。
残された姫乃と凌は不思議そうに顔を見合わせた。
それから何事もなく日々は過ぎていき、姫乃も安心したのかだんだんと離れていた距離が近づいていき、二週間経った今では普通に隣を歩くようになっていた。
ひろかはその様子を見て「野良犬が懐いたみたい」と言って笑った。
屋上へ続く階段を、凌とひろかが並んで歩いている。
二人が後ろを振り返ると、十メートルほど離れた所に姫乃の姿を捉えた。
昨日の一件でお昼を二人と一緒に取ることに決めた姫乃だったが、周りを警戒し、朝はあいさつだけであとはだんまり、こうして歩くのにも距離をとっている。
「もうっ!一緒にお昼を食べるのに、今だけ離れて歩いたって何の意味もないと思うよ?」
ひろかはそう言ってグイと姫乃の腕を引き寄せた。
「でも本当に大丈夫かな…。特にひろかは女の子だし何かあってからじゃ」
「その件なら、ひろかは絶対大丈夫」
ひろかは心配ないと絶対の自信を持った様子で笑った。
「なんで?」
と姫乃が聞くと
「今はまだ内緒。そのうちわかるよ」
と言って楽しそうに鼻歌を歌いながら廊下を進んでいく。
残された姫乃と凌は不思議そうに顔を見合わせた。
それから何事もなく日々は過ぎていき、姫乃も安心したのかだんだんと離れていた距離が近づいていき、二週間経った今では普通に隣を歩くようになっていた。
ひろかはその様子を見て「野良犬が懐いたみたい」と言って笑った。
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