死神ドロップス-神のキャンディー-

屈辱

尻餅をついて見上げると、男の顔が息のかかりそうなくらい近くにあった。


相手はいかにも喧嘩慣れしていそうで、人数的にも分が悪い。

「どうもすいませんでした」

さっさと謝って帰ったほうが得策だ。


膝に手を置き立ち上がり、するりと男の横を通り過ぎようとした瞬間、また肩を掴まれた。


「全然謝ってるように見えねぇんだよ、お前の態度は」

そう言って俺の顔をジロリと睨みつける。


謝ってんだろうが、暇人。
俺に構っている暇があるならもっと他の事しろよ。

社会のクズが。


助かったと思い、切れた口元を拭ってると、その男と目が合った。


「どうせ社会に相手にされなかった人間だろ？
真昼間に一人でこんなところにいるんだからな」


…なんだと？


「それもそうだな。見るからに友達もいなそうだしな！
可哀相な人間をそんなに苛めちゃいけないかぁー」


完璧に俺を見下した目で、もう一発腹に蹴りを入れ、ギャハハと笑いながら通りのほうへ消えていった。


「いっ…てぇ」

立ち上がろうとしても、中々足に力が入らない。


「許さない…」

このとき、俺は憎悪の炎に燃えていた。