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願いの結末
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その顔には表情がなかった。
「な、なんだよ」
いつもは気味悪いくらいに作り笑いをしているくせに。
「貴方の願いを叶えに来たんですよ」
表情を変えずに、口だけを淡々と動かす。
それがいっそう不気味さを演出していた。
「願いを叶えに…?」
顔を内容が合っていない気がして、俺は少し戸惑う。
でも、コイツは『神の使い』で、俺の『願いを叶えに』来たんだ。
「やった…ついに!早く、早くしてくれよ!!誰も俺には逆らえない、そんな世界に!!
俺が世界で一番偉い!もう誰かの下につくなんてまっぴらだ。俺は上に立つべき人間なんだ!!」
「…幸さんはいいんですか?」
すこし間をおいた後、そいつは言った。
それまで無表情だったそいつは、そのとき一瞬だけ悲しみを帯びた瞳をした。
「多少の犠牲はしょうがない。あいつも俺の役に立ててきっと喜んでる」
それは、願いの取り消しはしないというハッキリとした意思表示。
「さぁ、早く」
急かす俺に、そいつは深いため息をついた。
「そうですか。では…」
その言葉と同時に、男の周りから光が発せられた。
「!?」
俺はあまりの眩しさに目を閉じた。
それでも、状況を確認しようと目を細めて開ける。
神々と輝く光の中から浮かびあがってきたのは…
とても大きな鎌だった。
「な、なんだよ」
いつもは気味悪いくらいに作り笑いをしているくせに。
「貴方の願いを叶えに来たんですよ」
表情を変えずに、口だけを淡々と動かす。
それがいっそう不気味さを演出していた。
「願いを叶えに…?」
顔を内容が合っていない気がして、俺は少し戸惑う。
でも、コイツは『神の使い』で、俺の『願いを叶えに』来たんだ。
「やった…ついに!早く、早くしてくれよ!!誰も俺には逆らえない、そんな世界に!!
俺が世界で一番偉い!もう誰かの下につくなんてまっぴらだ。俺は上に立つべき人間なんだ!!」
「…幸さんはいいんですか?」
すこし間をおいた後、そいつは言った。
それまで無表情だったそいつは、そのとき一瞬だけ悲しみを帯びた瞳をした。
「多少の犠牲はしょうがない。あいつも俺の役に立ててきっと喜んでる」
それは、願いの取り消しはしないというハッキリとした意思表示。
「さぁ、早く」
急かす俺に、そいつは深いため息をついた。
「そうですか。では…」
その言葉と同時に、男の周りから光が発せられた。
「!?」
俺はあまりの眩しさに目を閉じた。
それでも、状況を確認しようと目を細めて開ける。
神々と輝く光の中から浮かびあがってきたのは…
とても大きな鎌だった。
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