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決意

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理由なんて探せば山ほどある。


本当の理由なんてたったひとつ、振られるのが怖いだけなのに。




俺は大倉達とは違う。
真由とはなんの接点もない。
もし振られて、それ以降顔を出そうものならただのストーカーだ。


ずっと真由との再会だけを希望にこれまでやってきたんだ。
振られたら俺の人生の意味は?
生きていられるのか?
俺を形成しているのは真由なのに。

だったら今のままのほうがいいんじゃないか?

少なくとも、希望を抱いて生きていられる。



結局いつでもそうなるんだ…

俺は弱くて、ずるいから。


翌日、俺は珍しくギリギリの時間に教室へ入り講義へ出た。

大倉も一緒に取っている講義だったため、なんとなく話しづらかったからだ。

大倉はいつもの後ろの席にいて、隣にはすでに人が座っていた。


教室内を軽く見渡して、大倉と一番距離のある空いていた前の席に静かに腰をかけた。

さっき見た大倉は心なしか少し不機嫌そうな顔をしていた。


あぁ俺、こんなところでも逃げてるんだな。


授業が終わると俺は急いで教室を出る準備をした。

大倉に捕まる前に教室を出たい。
今はまだ話をしたくないから。


ガシャンッ

急ぎすぎたのがアダになった。

隣の女の子の机の上にあった筆記用具を引っ掛けて落としてしまった。


「ごめん!」

俺は急いで転がったペンや消しゴムを拾い集める。

「これで全部ある?本当にごめん」

「ううん、気にしないで。ありがとう」

じゃあ、と踵を返すと、目の前にはすでに大倉の姿があった。

ニッコリ微笑んで肩に手を置かれた。

「よぉ、色男。
ちょっと来い」
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