素直になれなくて-吉哉の場合-

揺らぎ

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でも謝らない。
早くこんな俺から離れればいい。




なのに、なんでいるんだ。


俺の質問には答えずに、ジロジロと俺の観察をしている。

「なんだよ」


俺の言葉を無視して、一通り観察すると

「遊びに行きましょう！」

と俺の腕を引っ張った。


訳がわからない。
一体なんなんだ？


「俺は勉強があるから帰るよ」

遊びたい気分でもないし。
なのに、

「勉強なんてもう十分したでしょ？
１日くらいいいじゃないですか！」

そう言って強引に引っ張って歩く。


ほんとに相変わらずだな。
この間のことはなんとも思ってないのだろうか？

どうせ向こうが折れることはないだろうし、時間のムダなので俺は黙ってついていくことにした。



しばらく歩いて、たどり着いたのは、寂れたバッティングセンターだった。


なんでバッティングセンター？

少し疑問に思いながらも中へ入る。

経営は大丈夫なのかと心配したくなるほどお客さんはいなかった。


鈴原はやっと俺の手を離し、球の速度が一番遅いＢＯＸへと入っていった。


仕方ないから俺も続けて中に入る。

チャリン、チャリンとお金を入れると、ウィーンと機械が鈍い音を立てて動き出した。