素直になれなくて-吉哉の場合-

光

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「なんで？」

あまり、彼女とお金が結びつかなかったから聞いてみた。
いかにもケーキ屋さんやお花屋さんて答えそうな子に見えたから。


「うち、びんぼーだから。
わたしがお金もちになって、お父さんとお母さんにらくさせてあげるの！」

なんだか、すごく納得した。
なんて親思いでいい子なんだろう。

そして思った。
これはチャンスだ！

「じゃあ、大きくなったら僕と結婚しよう！？
僕、必ずえらくなるから。
絶対お金持ちになってみせるから！」

彼女はもともと大きい目をもっと大きく開いて驚いていた。
…僕も自分で自分にびっくりだ。

でも、嘘はない。
これが僕の本心。



この子が好きだ。



「…いいよ。
あなたのおなまえは？」

「吉哉。ありはら よしや」

「よしやくん。じゃあ、やくそくね」

笑いながらそう言って小指を出された。


ゆびきりげんまん
ウソついたら
はりせんぼんのーます、
ゆびきった


僕と彼女の、約束。



「すぐもどるから」

そう言ってお父さんを迎えに行った彼女の背中を見送って、強く誓った。


僕は絶対、父の会社を継いで、お金持ちになる。