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2日目
第19話 衝撃的な世界
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「今はいません」
簡潔明瞭にそう告げられる。本当は、どうしてティナの側にいないのかという、単純な理由を聞いたつもりであったが、こう……さらっと答えられてしまうと、聞き返しづらい。
「そう……」
なので、ぽつりと俺は返した。ティナちゃんの方を見遣ると、手持ち無沙汰であるからか、妙に落ち着かずそわそわしている様子になっている。
「クリームパン、美味しかったけど……昨日の夕食はどうしてフランスパンだけだったんだ?」
徐に気になり質問を投げかけてみる。今回小さな食膳に出された昼食は今までに出された料理の量、手間共に雲泥の差があるはず。
この洋館はこの部屋しか知らないので、ティナ達が普段からどのような生活を営んでいるのかは、聴取する外に知る術が無い。
そうは言っても、これ迄の差があるとなれば作為的な悪巧みが有るのを想起してしまうのだが、下らない思い違いだろうか。
「それは、昨日の夜は、颯太さんの分……それしかなかったのです。ごめんなさい」
「そうなんだ」
……やっぱり行き過ぎた思い違いであったらしい。ティナちゃんが虚偽の報告をしている可能性も考察できるが……。
不自由な身である俺が、めちゃくちゃ情報が不足し、また情報の取得手段も乏しい現状で今の状況を把握するのは、困難な仕事である。
それでも頭を渾身の力でフル回転させ、ここからの脱出を模索していると、ティナちゃんがおずおずとしながら、緊張の面持ちで前触れもなく発言してきた。
「あの……颯太さん」
「ティナちゃん……どうかしたの?」
俺はティナちゃん側から尋ねてくる未来を予期しておらず、少し吃驚する。
「その、昨日の夜と、今朝のは辛かったです……よね?」
「いや……それは、まあ……辛かったというか……」
「ごめんなさい!本当に、颯太さんには悪いことをしてしまったと思ってます」
一体全体どういうつもりだろう。辛かったかと聞かれれば、ほぼ強制的に性的な被害を受けたのだ。
多少……いや、かなり俺も欲情しかけた場面はあるが、それは関係無い。疑いの余地なく辛い仕打ちを受けたと言って何ら問題無いだろう。
それとは別に、手錠とか足枷であるとか部屋に監禁されているので、そっちの方が俺の精神的苦痛は大きい気がするけれども……。
閑話休題、現実社会で年端も行かない女の子達に性的暴行を受けましたと言って証拠等大義名分を持って被害届を出したところで世間からコケにされるだろう。
それどころか、軽蔑、侮蔑の対象、最悪被害届を出した俺自身がお縄になりそうである。
「はぁ~……」
溜息を吐いて思考をリセットした。
ふと、ティナの姿を改めて観察してみる。大きな2つの蒼眼……銀色に煌めくストレートロングの髪……そして……どう見ても小学生くらいの体躯。更には今朝のあられもない姿が脳裏を過るって何を考えているんだ俺は!?
慌てて頭を振るいティナちゃんの淫行を脳内データから消去するのを試みる。
今までの行動は、子供だから仕方ないで済ませるべきなのだろうか。しかし……ティナちゃんという女の子……いや、生物は子供だとはとても考えられない立ち振る舞いだとも思う。余りにも無茶苦茶だ。
未だにこれが、俺の夢、妄想なのではないかとさえ疑ってしまう。全てが幻覚、幻聴の産物だとしたらどれだけ喜ばしいことだろうか。
俺の妄想でないなら、ティナ達は一体何の目的で俺をこんな目に遭わせているのか。その質問は口から何の躊躇いもなく出てきた。
「それじゃ、聞いてもいい?した理由について」
「はい、良いですよ!今度は意地悪せず、教えてあげます」
笑顔のお手本とも言えるくらいにっこりとした表情でそう返答するティナちゃんからは、全ての邪気を祓えそうな後光が差しているように見えた。
今までのは意地悪だったのかよ、と思わず心の中で突っ込みを入れる。だが、ようやく知ることができる。彼女達がなぜ、どう言った狙いでこんなことをしているのか。
そう思うと、もやもやとして重くなっていた心が、少しだけ軽くなった気がした。
だが、ティナちゃんの衝撃的な口述により微かな晴れ間が見えそうだという希望は無惨にも砕かれる。
「えーっと……まず、男性がもうとっくにいないのは知っています……よね?」
時計の針は漸進的になり……
軈て世界の時間が静止した。
脳が理解を拒む。男性がいない?
いない、というのはこの周辺にいないという意味だろうか。
「は……?」
俺は間抜けな声をあげて、只々茫然自失とする。
幼い童女の声帯より産み出された日本語の文章を……その怪々奇々な内容を……ゆっくりと噛み砕いていくしかなかった。
簡潔明瞭にそう告げられる。本当は、どうしてティナの側にいないのかという、単純な理由を聞いたつもりであったが、こう……さらっと答えられてしまうと、聞き返しづらい。
「そう……」
なので、ぽつりと俺は返した。ティナちゃんの方を見遣ると、手持ち無沙汰であるからか、妙に落ち着かずそわそわしている様子になっている。
「クリームパン、美味しかったけど……昨日の夕食はどうしてフランスパンだけだったんだ?」
徐に気になり質問を投げかけてみる。今回小さな食膳に出された昼食は今までに出された料理の量、手間共に雲泥の差があるはず。
この洋館はこの部屋しか知らないので、ティナ達が普段からどのような生活を営んでいるのかは、聴取する外に知る術が無い。
そうは言っても、これ迄の差があるとなれば作為的な悪巧みが有るのを想起してしまうのだが、下らない思い違いだろうか。
「それは、昨日の夜は、颯太さんの分……それしかなかったのです。ごめんなさい」
「そうなんだ」
……やっぱり行き過ぎた思い違いであったらしい。ティナちゃんが虚偽の報告をしている可能性も考察できるが……。
不自由な身である俺が、めちゃくちゃ情報が不足し、また情報の取得手段も乏しい現状で今の状況を把握するのは、困難な仕事である。
それでも頭を渾身の力でフル回転させ、ここからの脱出を模索していると、ティナちゃんがおずおずとしながら、緊張の面持ちで前触れもなく発言してきた。
「あの……颯太さん」
「ティナちゃん……どうかしたの?」
俺はティナちゃん側から尋ねてくる未来を予期しておらず、少し吃驚する。
「その、昨日の夜と、今朝のは辛かったです……よね?」
「いや……それは、まあ……辛かったというか……」
「ごめんなさい!本当に、颯太さんには悪いことをしてしまったと思ってます」
一体全体どういうつもりだろう。辛かったかと聞かれれば、ほぼ強制的に性的な被害を受けたのだ。
多少……いや、かなり俺も欲情しかけた場面はあるが、それは関係無い。疑いの余地なく辛い仕打ちを受けたと言って何ら問題無いだろう。
それとは別に、手錠とか足枷であるとか部屋に監禁されているので、そっちの方が俺の精神的苦痛は大きい気がするけれども……。
閑話休題、現実社会で年端も行かない女の子達に性的暴行を受けましたと言って証拠等大義名分を持って被害届を出したところで世間からコケにされるだろう。
それどころか、軽蔑、侮蔑の対象、最悪被害届を出した俺自身がお縄になりそうである。
「はぁ~……」
溜息を吐いて思考をリセットした。
ふと、ティナの姿を改めて観察してみる。大きな2つの蒼眼……銀色に煌めくストレートロングの髪……そして……どう見ても小学生くらいの体躯。更には今朝のあられもない姿が脳裏を過るって何を考えているんだ俺は!?
慌てて頭を振るいティナちゃんの淫行を脳内データから消去するのを試みる。
今までの行動は、子供だから仕方ないで済ませるべきなのだろうか。しかし……ティナちゃんという女の子……いや、生物は子供だとはとても考えられない立ち振る舞いだとも思う。余りにも無茶苦茶だ。
未だにこれが、俺の夢、妄想なのではないかとさえ疑ってしまう。全てが幻覚、幻聴の産物だとしたらどれだけ喜ばしいことだろうか。
俺の妄想でないなら、ティナ達は一体何の目的で俺をこんな目に遭わせているのか。その質問は口から何の躊躇いもなく出てきた。
「それじゃ、聞いてもいい?した理由について」
「はい、良いですよ!今度は意地悪せず、教えてあげます」
笑顔のお手本とも言えるくらいにっこりとした表情でそう返答するティナちゃんからは、全ての邪気を祓えそうな後光が差しているように見えた。
今までのは意地悪だったのかよ、と思わず心の中で突っ込みを入れる。だが、ようやく知ることができる。彼女達がなぜ、どう言った狙いでこんなことをしているのか。
そう思うと、もやもやとして重くなっていた心が、少しだけ軽くなった気がした。
だが、ティナちゃんの衝撃的な口述により微かな晴れ間が見えそうだという希望は無惨にも砕かれる。
「えーっと……まず、男性がもうとっくにいないのは知っています……よね?」
時計の針は漸進的になり……
軈て世界の時間が静止した。
脳が理解を拒む。男性がいない?
いない、というのはこの周辺にいないという意味だろうか。
「は……?」
俺は間抜けな声をあげて、只々茫然自失とする。
幼い童女の声帯より産み出された日本語の文章を……その怪々奇々な内容を……ゆっくりと噛み砕いていくしかなかった。
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