2 / 2
罪は重い。
しおりを挟む
「絵衣。こんな変な所に呼び出して、何の用?」
放課後。
私の呼び出しに応じた椎子が、体育館裏に現れた。
「此処って…立入禁止よぉ」
後ろめたいからこそ、そんな所に呼ばれても、ホイホイ来たに違いない。
「─ 私の美伊を誘惑した罪は、重いからね。」
「は…?!」
椎子が、虚を突かれた声を出す。
「言ってる事がぁ、良く解らないんだけどぉ」
「今朝だって…私が来る前の教室で、腕を組んでベタベタしてたでしょ!」
「そう言う事は、美伊に言ってよぉ」
人差し指で、椎子は自分の髪の毛の先を弄ぶ。
「何かと言うと、私に纏わり付いて来るのは む・こ・う。」
「嘘言わないで!!」
「腕だって…向こうから絡められたから、仕方なく組んだだけ だしぃ」
聞くに値しない言い訳。
制服のポケットに手を伸ばた私は、 <呪符> を取り出した。
「…?」
唖然としている椎子の眼の前に かざす。
─ 喰っても良いのか? ─
上方から響いてくる声に、私は命じる。
「ええ、食べて頂戴。」
その瞬間、虚空から湧き出してきた <ノモマ> に、椎子は取り込まれていった。。。
----------
<あの件について お話があります。放課後に体育館の裏まで来て下さい>
翌朝。
私の下駄箱に入っていた封書には、これだけが書かれていた。
(もしかして、目撃された?!)
いや、そんな事は あり得ない。
人よけの結界は、張っていた。
しかし、もしも 見られていたとしたら…
─ <ノモマ> を、他の人間の目に触れさせる事は禁忌だ。
約定で、そう決められている。
もしも、見られた場合には──
放課後に体育館の裏で行うべき事を、私は決断した。
----------
「絵衣さん。」
その日の放課後。
体育館裏で私を待っていたのは、隣クラスの女子、和井だった。
「来てもらえて、嬉しです♡」
笑顔で駆け寄って来る和井。
その眼前に、私は便箋を突き付けた。
「あなた…何を知ってるの?」
「えーとぉ それはぁ…」
和井が、恥ずかしそうに 目を伏せる。
「デ、デタラメなんですぅ」
「─ え?!」
「ごめんなさいぃ。どうしても絵衣さんと ふたりきりになりたくてぇ…」
私の両手が、和井の肩に伸びる。
「嘘言わないで!」
「ほ、ホントです!!」
激しく肩を揺らされた和井は、涙目で訴えた。
この子は、本当の事を言っているのかも知れない。
しかし、万が一と言う事がある。
約定は、墨守されなければいけないのだ。
掴んでいた肩を、私は強く突き放した。
「痛い」
尻もちを付いた和井の目前に、呪符を差し出す。
─ 喰っても良いのか? ─
頭上からの確認に、私は許可を出した。
「…ええ、食べて頂戴」
背後の空間から染み出してきた <ノモマ> に、和井は飲み込まれていった。。。
----------
「…絵衣ちゃん?」
背中からの声に、私は固まる。
(何故、こんな所に美伊が?!)
「今…隣のクラスの和井さんが……」
(い、いつから!?)
「…黒い 何かに?!」
(ひ、人よけの結界を…張り忘れた──)
<ノモマ> 存在を、他の人間に知られる事は禁忌だ。
それが約定。
私は、ゆっくりと振り向く。
「どうしたの絵衣ちゃん?! 何で泣いてるの!? 」
数歩下がって、呪符をかざした。
─ 喰っても良いのか? ─
頭上からの問い掛けに、私は かすれる声で答えた。
「…え、ええ ……た、食べて頂戴──」
放課後。
私の呼び出しに応じた椎子が、体育館裏に現れた。
「此処って…立入禁止よぉ」
後ろめたいからこそ、そんな所に呼ばれても、ホイホイ来たに違いない。
「─ 私の美伊を誘惑した罪は、重いからね。」
「は…?!」
椎子が、虚を突かれた声を出す。
「言ってる事がぁ、良く解らないんだけどぉ」
「今朝だって…私が来る前の教室で、腕を組んでベタベタしてたでしょ!」
「そう言う事は、美伊に言ってよぉ」
人差し指で、椎子は自分の髪の毛の先を弄ぶ。
「何かと言うと、私に纏わり付いて来るのは む・こ・う。」
「嘘言わないで!!」
「腕だって…向こうから絡められたから、仕方なく組んだだけ だしぃ」
聞くに値しない言い訳。
制服のポケットに手を伸ばた私は、 <呪符> を取り出した。
「…?」
唖然としている椎子の眼の前に かざす。
─ 喰っても良いのか? ─
上方から響いてくる声に、私は命じる。
「ええ、食べて頂戴。」
その瞬間、虚空から湧き出してきた <ノモマ> に、椎子は取り込まれていった。。。
----------
<あの件について お話があります。放課後に体育館の裏まで来て下さい>
翌朝。
私の下駄箱に入っていた封書には、これだけが書かれていた。
(もしかして、目撃された?!)
いや、そんな事は あり得ない。
人よけの結界は、張っていた。
しかし、もしも 見られていたとしたら…
─ <ノモマ> を、他の人間の目に触れさせる事は禁忌だ。
約定で、そう決められている。
もしも、見られた場合には──
放課後に体育館の裏で行うべき事を、私は決断した。
----------
「絵衣さん。」
その日の放課後。
体育館裏で私を待っていたのは、隣クラスの女子、和井だった。
「来てもらえて、嬉しです♡」
笑顔で駆け寄って来る和井。
その眼前に、私は便箋を突き付けた。
「あなた…何を知ってるの?」
「えーとぉ それはぁ…」
和井が、恥ずかしそうに 目を伏せる。
「デ、デタラメなんですぅ」
「─ え?!」
「ごめんなさいぃ。どうしても絵衣さんと ふたりきりになりたくてぇ…」
私の両手が、和井の肩に伸びる。
「嘘言わないで!」
「ほ、ホントです!!」
激しく肩を揺らされた和井は、涙目で訴えた。
この子は、本当の事を言っているのかも知れない。
しかし、万が一と言う事がある。
約定は、墨守されなければいけないのだ。
掴んでいた肩を、私は強く突き放した。
「痛い」
尻もちを付いた和井の目前に、呪符を差し出す。
─ 喰っても良いのか? ─
頭上からの確認に、私は許可を出した。
「…ええ、食べて頂戴」
背後の空間から染み出してきた <ノモマ> に、和井は飲み込まれていった。。。
----------
「…絵衣ちゃん?」
背中からの声に、私は固まる。
(何故、こんな所に美伊が?!)
「今…隣のクラスの和井さんが……」
(い、いつから!?)
「…黒い 何かに?!」
(ひ、人よけの結界を…張り忘れた──)
<ノモマ> 存在を、他の人間に知られる事は禁忌だ。
それが約定。
私は、ゆっくりと振り向く。
「どうしたの絵衣ちゃん?! 何で泣いてるの!? 」
数歩下がって、呪符をかざした。
─ 喰っても良いのか? ─
頭上からの問い掛けに、私は かすれる声で答えた。
「…え、ええ ……た、食べて頂戴──」
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
手帳!
紀之介
ライト文芸
手帳の予定に関するお話
1.週末空いてる?
スケジュール管理は手帳で?
(二葉さんと美卯さんのお話)
2.何かあるの?
植木市に行く理由
(文月さんと睦月さんのお話)
3.スケジュール。
予定されてない行動は一切取らない
だいえっと
紀之介
ライト文芸
するなら…しても……
1.迂闊に量ったら…
不用意に他人をダイエットに誘うと…
(初音さんと二葉さんのお話)
2.まだ続けるの?
目標体重になってもダイエット? (如月さんと睦月さんのお話)
喫茶店奇話
紀之介
ライト文芸
喫茶店での出来事
1.2人連れの客…
2人連れの客に店主は?
2.裏通りの喫茶店。
1人で入った店で…
3.行きつけの喫茶店…
1人のテーブルに置かれた、2人分の水とおしぼり
4.カップ半分だけ…
初見の客が注文したのは、カップ半分のコーヒー
真銀さんとラブレター
紀之介
ライト文芸
ラブレターを出したら…
(真銀さんと野上君のお話)
*始まりのお話
秘密の。。。
放課後に野上君が、下駄箱付近をウロウロしていた訳
*パラレルな後日談
その1:大きな花丸
- 行くの?行かないの? -
その2 :赤いスタンプ
- 一緒に、何処に行く? -
その3:どうかした?
- 人生初ラブレターだから、大事に仕舞っておく♡ -
めもあやに
紀之介
キャラ文芸
綾さんのお話
1.お腹が空いた!
- 勝手に人の鞄を漁ったら駄目よ? -
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
2.どぉしてぇ?
- 秋にはサッカーがしたくなるじゃない? -
(綾さんと翔くんのお話)
3.おはよぉ…
私だけ除け者?
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
琴音さんと宏和君のお話
紀之介
キャラ文芸
─ 琴ちゃん それは反則だから
1.頑張ったんだよ!?
琴音さんがデートに遅刻した理由
2.希望かな。
バレンタインには手作りチョコ?
3.駄目でしょ!
ありえないんだからね!!
でーと。
紀之介
ライト文芸
デート中のお話
1.こんな所に。。。
デートより読書!
(和香さんと正也君のお話)
2.災難だと思って。。。
眼鏡屋デート?
(茜さんと雅紀君のお話)
3.大丈夫だよねぇ
冬になる前に!
(麗子さんと直衛くんのお話)
4.了解。。。
─ そこまで あからさまだと、いっそ清々しいな
(竹中さんと僕のお話)
5.最悪。。。
─ ううう
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる