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6-1 里霧有耶の宣誓
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お天道様は高く昇り、日差しが温かい四限目は世界史。
こうも長い間、程よい暖かさの日差しに当てられると、ものすごく眠くなる。ただでさえ、午後の授業は眠くなることが多いのに、午前中からこの有様では五限目は瞼がくっついて、一時間分の記憶が飛んでいても不思議はない。むしろ、寝て然るべきだろう。
「それじゃあ、今日のところはこれまで。来週、小テストするから、おのおの勉強しとけよ~」
そういえば、授業冒頭でそんなことも言ってたな。
「そんじゃ、号令」
「起立!」
歯切れのよい号令とともに、クラスメイト全員が立ち上がって。
「礼!」
お辞儀をして四限目の授業、世界史は終了した。
午前中の授業が終わったということは、それすなわち、昼休みに突入するというわけだ。
友達と昼食をとったり、今日中に提出しなければならないものを焦って書いている者がいたり、随分と、うちのクラスは騒がしい。とはいえ、昼休みに騒がしくないクラスなんてないだろう。うるさくして然るべき、みたいな風潮は少なからずあるとは思う。
まあ、それはそれとして。
オレは、そんな騒がしい教室をあとにして、廊下に出る。
何しろオレはいま、弁当を持っていない。教室にいたところで、昼食を持っていないのだから、昼食が教室で食べられるわけがない。それに、食料が降って湧くなんてこともありえないだろうし。
要するに、オレは昼食を手に入れる必要があるということだ。
「購買行くか、食堂行くか、どうするかな……」
なんて独り呟いて、のろのろと廊下を進む。
そういえば、うちの購買に売られている焼きそばパンは毎日のように競争が起きるらしい。普段、行く時間が遅いせいか、そんな様子は一切見たことがない。
ん?
いや、思い出してみれば、焼きそばパン競争に敗れた亡骸を何度か見たことがあったか。
制服にくっきりと足跡がついていた。
どれだけ苛烈なんだ、うちの焼きそばパン競争は……。
なんでこんなことを思い出したのかというと、たったいま、オレの横で群れを成して、焼きそばパンに飢える者たちが、我先にと駆けているからだ。
その様子はまるで、妨害ありのマラソン大会みたいなような、そんな様相をだった。
首根っこを掴んで、蹴落として、肩を入れ込んで、跳ね除けている。
この物騒とも言える光景は昼休みの日常である。学校の風物詩となってしまっている以上、今更どうこうという話でもない。
そんな無法集団は焼きそばパンを求め、十秒ほどで駆け抜けていった。
オレも早いところ、昼ごはんの確保をしないといけない。
昼休みは有限だ。
とりあえず、購買に行くとしよう。
焼きそばパンこそものの数分で完売するほどの人気商品だが、他のものも同じような速度で売れることはまずない。おにぎり、サンドイッチはもちろん、クッキーやチョコレートも残っているはず。
お菓子類は昼ごはんかと問われると、多分違うし、軽食に分類されるものではあるが、それ以外の選択肢がなかったら、甘んじて受け入れるしかない。
敗残兵には選択肢は与えられないのだ。
そして、昼休みの喧騒を乗り越えて、購買部に到着。
辺りには焼きそばパン競争に破れた者たちの亡骸が多く見受けれる。
今日の亡骸は随分と多いような気がするが、それ以外はオレの推測通りだった。
購買部に並べられている食べ物は数こそ少ないが、選択できるだけまだ残っている。
売り切れは一つだけ、焼きそばパン。
オレはその中から、おにぎりとサンドイッチを一つずつ手にとって、会計を済ませた。
昼ごはんの確保は無事成功、次に行うのは場所の確保だ。
なんて言っても、オレは決まって生徒会室で昼ごはんを食べるから、生徒会室に行くだけなんだけど。
強いて言うなら、鍵を取りに行くという手間が場所の確保ということになる。
鍵は職員室の方に置いてあるので、そちらに向かう。
職員室に到着し、中に這入る。
教室や部室といった学校にある様々な部屋の鍵が吊るされている鍵掛け。それに目をやって、生徒会室名札が書かれているところを指でなぞりながら確認する。
しかし、そこに鍵はない。
「あれ……?」
誰かが使っているのだろうか。
使っているとすれば、顧問、里霧、厳見辺りだろう。染屋の可能性もあるが、昼休みも図書館棟にいるだろうし、可能性としては低いか。
まあ、すでに誰かが持って行っているのなら、開ける手間も省ける。
おにぎりとサンドイッチを片手に持ちながら、あの扉の鍵を開けるのはなかなか骨が折れるし、ありがたい限りだ。開けづらいなら、一度、置けばいいじゃない――と思う人もいるだろうが、心理的抵抗みたいなものがある。日本人的な性なのかも知れない。
そして、職員室から生徒会室へ。
生徒会室付近は教室の辺りと比べて、落ち着きがあった。
昼休みによく使われる購買部や食堂とは真反対の位置にあるから、辺りが静かなのは当然といえば当然のことではある。静かと言っても、物音一つない真空空間のようになっているというわけでもない。教室の方の喧騒が波及している。
「マジでうるさいんだな、あそこ」
騒然とした音が波及してきているとは言え、あちらに比べれば断然、落ち着いている空間だ。
心なしか、移動することで上がっていた心拍数も落ち着いてきた気がする。
「さて――――」
ドアノブに手を掛けて、扉を押し込もうとする。
すると、扉の奥から、生徒会室から女子の声がした。
その声を聞いて、オレは押し込もうとする手を制止させる。
「ん……なんだ?」
ただ女子の声が聞こえただけなら、オレも扉を押すことに躊躇はしなかっただろう。
オレが扉を開けることを躊躇った理由は他にある。
それは――その声が、怒気を宿していたからに他ならない。
「アンタはそうやって、毎回毎回っ! 私が欲しくて欲しくて、聞きたくて聞きたくてしょうがないっていうのにっ!」
アンタ? 二人いるのか?
もう一方の声は一切聞こえてこないが。
扉に耳を当てずとも聞こえてくる感情的な声音は、唐突に冷静さを取り戻す。
「それにさあ、アンタには言ってあったはずだよね?」
沈黙の後、続ける。
「それなのに、なんでアンタが告白されるわけ?」
色恋沙汰か。
激情しているやつは相当、相手のことが好きらしい。
推察するに、口論している(一方的ではあるが)二人は友達で、以前から好意を寄せている男子がいた。
しかし、その男子が好きになったのは、友達の方だったと。
そして、告白された。
そんなところだろう。
ドロドロもいいところだ。
口論するぶんには一向に構わないが、なんで生徒会室で口論するんだよ。もっと他にいい場所があるだろうに。
もしかして、生徒会室は使われてないものだと思われているのか?
しかしまあ、そんな呑気なことも言ってられない。
なんてことを考えている間にも、謂れのない怒りの言葉が、八つ当たりも甚だしい感情が耳に入って止まらない。こうしてきたのに、ああしてきたのに、努力したのに、好かれるように、そう言っていた。
そして、なにひとつ反論することなく、もう一人はただ粛々と言葉を浴び続けるだけ。
一貫して沈黙の姿勢を崩すことはなかった。
「つーかさ、なんで一言も言い返さないわけ? 私が好きだってわかった上でアプローチしたってこと?」
異論がなければ、言い返さなければ、それは肯定と同義だ。
真偽のほどはどうであれ、何も行動しなければそれが真実となってしまうのは言うまでもない。
誰かは知らんが、違うなら違うとそう言わないとどうしようもないぞ。
もちろん、言い返すタイミングだとか、雰囲気だとかそういった要素はある。
しかし、いつだって言いやすい環境下であるとは限らない。
言いづらくたって、行動しなければならないときは必ず訪れる。
一番悪いのは有耶無耶にしてしまうことだ。
沈黙、間、静寂――激昂していた女子は言葉を引き出すために、何一つ言葉にしない。
一言一句、徹底して。
長く感じられた数秒もの間は、もう一人の生徒によって破られる。
「そんなわけないじゃん……」
静寂の中で捻り出したその声は、随分と弱々しい。
ん? どこかで聞いたことある声だな……誰だ?
オレは扉越しにいる声の主を検索するために、腕を組んで天を仰ぐ。
扉越しというのもあって、声がはっきりとわからない。
弱々しく、声が小さかったというのも一因だろうか。
「で?」
「で――って……」
ああ、わかった。いまの言葉ではっきりした。
――里霧だ。
――里霧有耶だ。
だとしたら、どうしてこんなところで、生徒会室で口論なんてしてるんだ。
昼休みは人が来ないから?
誰にも聞かれたくないから?
噂になることを嫌って?
まあ、こんな修羅場を他人にひけらかしたい人間なんていないか。
「それで、どうなの?」
「どうなのって……さっきも言ったけど、私はなにもやってないんだって」
「その割には目、合わせないんだ。なにか後ろめたいことでもあるんじゃないの?」
里霧に対する詰問は終わらない。
「シュウヤに告白されたと思ったら、今度は生徒会に入って、放課後は生徒会があるとか言って、不撓と一緒にいるし、ホント意味分かんないんだけど?」
「それは――」
「よりにもよってあの生徒会長だよ? 自分が生徒会長になるために、前の生徒会長やめさせたっていう噂もあるあの不撓だよ?」
彼女は「わかってんの?」と付け加える。
「それは……私にもわかんないよ」
「あっそ、こんなことにわざわざ昼休み使って生徒会室まで来た私がバカだった。シュウヤはなんであんな――」
言い留まると、かつかつとこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「それじゃ、話は終わり。私は戻るから」
どうやら一方的な話し合いは、一方的に終わってしまったらしい。
生徒会室から出てくることを見越して、既に姿が見えない場所に位置している。
両開きの扉の右側に堂々と、オレはあぐらで鎮座している。
見つかる心配はない。
教室に戻るなら、右の方へ来ることはないだろうし。
すると、
「なんでこんなことになっちゃったのかな」
里霧を問い詰め、その真偽を確かめるために声を荒げていた彼女は、去り際にそう言ったのだった。
彼女もまた、望んでいなかったのだろう。
こんなことになることを。
あんな物言いをすることを。
望んではいなかったはずなのだ。
でなければ、あんなセリフは出てこない。
そして、嫌な現実を振り切るように、名前も知らない彼女は足早に廊下を行く。
「嫌な場面に出くわしたもんだな……」
独り呟いて、手元に視線を落とす。
「食欲もなくなったな」
厳見あたりにでもくれてやろう。
オレはこの場を後にしようと立ち上がり、ついたゴミを落とすために軽く尻をはたく。
「そこにいるんでしょ」
生徒会室の中からそう聞こえた。
扉の向こうにいるのは一人、里霧有耶のはずだ。
もしかしたら、もう一人いるのかもしれないが、声の大きさ的に恐らくオレに向けてのもの。
名前を言っていないあたり、オレでない可能性もあるので、ひとまず無反応を貫いていたところ、生徒会室の中からもう一度、声が上がる。
「そこにいるんでしょ不撓」
それは間違いなく、オレの苗字だった。
呼ばれたからには行くしかない。
呼ぶということは、オレが生徒会室の前で聞き耳を立てているという確証があるのだろう。
無反応を貫くだけ時間の無駄だ。
「よくオレがここにいるってわかったな」
閉められることのなかった、開け放たれた片扉から、オレは生徒会室の中に這入る。
そこには、普段の様子とはかけ離れた里霧有耶が佇んでいた。
心なしか、声のトーンも下がっている。
ついさっきまでの弱々しい風体など、一切感じさせない。
「聞いてたんでしょ?」
睨みつけるような冷たい視線は、盗み聞きしていたことを咎めるものではないだろう。
どうしてそう感じるのか、という説明できないが、できない説明をするなら、直感――という他ない。
そして、里霧はオレに敵意があるということも、言い表しづらい直感に依るものだ。
「話してた内容の全てじゃないけどな」
乾いた笑みを浮かべ、斜め下に視線をやる里霧。
「そう。全てじゃないって言っても、随分前からいたし、わかったでしょ?」
「わかったって、なにが?」
数秒の沈黙が降りる。
里霧が勿体ぶっているということは決してなかった。
答えを言うのに躊躇った。
そこにどういう意味があるのかは判らない。
そして、答え合わせは里霧の口から示される。
「はは、もうわかったでしょ――――私という人間が」
その答えはえらく重かった。
言葉以上に、その様子が。
えらく重苦しかった。
「たかだか数分のやり取りで、一人の全てが解ってたまるか。オレは超能力者でもなければ神様でもないんでな、微塵も解らん」
もし、オレが数分のやり取りで一人の人間を理解できたなら、生徒会はもっと上手く回っている。生徒会メンバー不撓一人なんて悲惨な状況にはなっていない。
「それなら、私の趣味を教えてあげる」
「趣味?」
「そう、私の趣味」
恍惚と里霧は語り始める。
「私の趣味は――人間関係を掻き乱すこと」
聞けば、誰もが驚くだろうし、こんなことを趣味にしていると堂々と言ってのけることを含め、非難されて然るべきなのは間違いないだろう。
しかし、オレは驚くこともなければ、非難しようだなんて全くもって思わなかった。
「さっきの話を聞いてたならわかるでしょ? サリが好きな男子に、私を好きになってもらえるように仕向けて、結果、その男子は思い通りに告白してきた。サリたちの仲良しグループは気まずくなったのか知らないけど、散り散りになちゃった」
里霧は鼻で笑うように言った。
「ホント、お笑い草よね、たかだが一つの綻びで友達はいなくなっちゃうんだから」
「自嘲的に言うんだな」
「そう?」
しかし、話を聞いていても、いくつかわからないことがある。
「なあ、一つ訊いてもいいか?」
「どうぞ」
「どうして生徒会室で話そうなんて思ったんだ? 昼休みにオレが来る可能性だって低くない。それに、人が来なさそうな場所なんて他にもあるはずだろ? どうして生徒会室を選んだんだ?」
この問いは自分の中で、既に答は出ている。
しかし、行き違いがないように、確認のために、オレはそう言ったのだ。
少なくとも、聞いてもらうために生徒会室を選んだことは間違いないだろう。
ただ、問題はその先だ。
その先がわからない。
オレに聞いてもらった先にある意図が、わからなくなった。二人が会話をしている段階では大凡の察しがついていた……のだが、里霧の変貌によってなにもわからなくなった。
「もちろん、不撓に聞いてもらうため」
「どうしてオレに聞いてもらう必要があったんだ?」
これは少し意地悪な質問だったかもしれない。
「どうして?」
頬に人差し指を当てて、考えている素振りを取る里霧。
う~んと唸ると、変わらない様子で平然と答えてみせる。
「もう隠す必要がなくなったからかな」
隠すとはなにを指すのか、態度の変貌か、それとも『サリ』という女子生徒との諍いを指しているのか。
「そもそも私が生徒会に入ったのは、あなたが極悪非道な人間だって聞いていたから」
「どこ情報だよそれ」
「さあね。でも噂は噂でしかなかったみたいね。生徒総会では独裁者だ、なんだ言われていたけれど、数日間一緒にいてわかった。そんな風に言われる人間じゃないことがね、期待外れもいいとこだわ」
「褒め言葉として受け取っていいのかな?」
「あなたのお好きにどうぞ」
それなら褒め言葉として受け取っておくとしよう。
「それで隠す必要がなくなったっていうのは?」
「ん? ああ、そうだったわね」
まるで、忘れてたと言わんばかりだが、そんなわけがないだろう。
ことは見てわかる。
視線、表情、仕草、反応、それらを加味した結果、オレは意図的に言葉を濁していると判断した。
判断なんて言ってみたものの、そんな大層なものじゃない。
ただの直感と言った方が正しいかもしれない。
我ながら、今日は随分と直感が多いな。
「生徒会に入ったのは、あなたが極悪非道な人間と聞いたから、ここまではさっき言ったわね」
頷く。
「サリとの話、聞いてたと思うけど、あの話が少し面倒な感じに拗れちゃって」
サリという女子が好きな男子は、里霧有耶に好意を抱いた。
しかし、里霧にはそんな気はなくて、ただの趣味でやったことだと。
人間関係を拗らせて、歪ませて、崩壊させる――単なる趣味。
「だから、独裁者なんて言われてる不撓と一緒にいれば、ソウナミも勝手に諦めてくれると思ったんだけど、そうはならなかった」
そうはならなかった、と口にしてから少し、下唇を噛んだように見えた。
一瞬だったから、実際にそうしていたのかどうかは、今となってはわからない。
「もともと、ソウナミが諦めたら生徒会をやめる予定だったけど、諦める様子もないし」
里霧はため息を吐いて肩をすくめた。
「独裁者が聞いて呆れるわ」
罵倒にすらならない罵倒を告げると、今度はオレの目を真っ直ぐと見据え、力強くこう言った。
「今日を以って、生徒会をやめさせてもらいます」
それからは何も言葉にすることなく、扉へと向かう里霧。
何も言わず、
視線を合わさず、
振り向くことなく、
足音だけが耳の中に印象強く残る。
扉の前辺りだろうか、そこで足音はぴたりと止まった。
「さようなら、生徒会長」
こうも長い間、程よい暖かさの日差しに当てられると、ものすごく眠くなる。ただでさえ、午後の授業は眠くなることが多いのに、午前中からこの有様では五限目は瞼がくっついて、一時間分の記憶が飛んでいても不思議はない。むしろ、寝て然るべきだろう。
「それじゃあ、今日のところはこれまで。来週、小テストするから、おのおの勉強しとけよ~」
そういえば、授業冒頭でそんなことも言ってたな。
「そんじゃ、号令」
「起立!」
歯切れのよい号令とともに、クラスメイト全員が立ち上がって。
「礼!」
お辞儀をして四限目の授業、世界史は終了した。
午前中の授業が終わったということは、それすなわち、昼休みに突入するというわけだ。
友達と昼食をとったり、今日中に提出しなければならないものを焦って書いている者がいたり、随分と、うちのクラスは騒がしい。とはいえ、昼休みに騒がしくないクラスなんてないだろう。うるさくして然るべき、みたいな風潮は少なからずあるとは思う。
まあ、それはそれとして。
オレは、そんな騒がしい教室をあとにして、廊下に出る。
何しろオレはいま、弁当を持っていない。教室にいたところで、昼食を持っていないのだから、昼食が教室で食べられるわけがない。それに、食料が降って湧くなんてこともありえないだろうし。
要するに、オレは昼食を手に入れる必要があるということだ。
「購買行くか、食堂行くか、どうするかな……」
なんて独り呟いて、のろのろと廊下を進む。
そういえば、うちの購買に売られている焼きそばパンは毎日のように競争が起きるらしい。普段、行く時間が遅いせいか、そんな様子は一切見たことがない。
ん?
いや、思い出してみれば、焼きそばパン競争に敗れた亡骸を何度か見たことがあったか。
制服にくっきりと足跡がついていた。
どれだけ苛烈なんだ、うちの焼きそばパン競争は……。
なんでこんなことを思い出したのかというと、たったいま、オレの横で群れを成して、焼きそばパンに飢える者たちが、我先にと駆けているからだ。
その様子はまるで、妨害ありのマラソン大会みたいなような、そんな様相をだった。
首根っこを掴んで、蹴落として、肩を入れ込んで、跳ね除けている。
この物騒とも言える光景は昼休みの日常である。学校の風物詩となってしまっている以上、今更どうこうという話でもない。
そんな無法集団は焼きそばパンを求め、十秒ほどで駆け抜けていった。
オレも早いところ、昼ごはんの確保をしないといけない。
昼休みは有限だ。
とりあえず、購買に行くとしよう。
焼きそばパンこそものの数分で完売するほどの人気商品だが、他のものも同じような速度で売れることはまずない。おにぎり、サンドイッチはもちろん、クッキーやチョコレートも残っているはず。
お菓子類は昼ごはんかと問われると、多分違うし、軽食に分類されるものではあるが、それ以外の選択肢がなかったら、甘んじて受け入れるしかない。
敗残兵には選択肢は与えられないのだ。
そして、昼休みの喧騒を乗り越えて、購買部に到着。
辺りには焼きそばパン競争に破れた者たちの亡骸が多く見受けれる。
今日の亡骸は随分と多いような気がするが、それ以外はオレの推測通りだった。
購買部に並べられている食べ物は数こそ少ないが、選択できるだけまだ残っている。
売り切れは一つだけ、焼きそばパン。
オレはその中から、おにぎりとサンドイッチを一つずつ手にとって、会計を済ませた。
昼ごはんの確保は無事成功、次に行うのは場所の確保だ。
なんて言っても、オレは決まって生徒会室で昼ごはんを食べるから、生徒会室に行くだけなんだけど。
強いて言うなら、鍵を取りに行くという手間が場所の確保ということになる。
鍵は職員室の方に置いてあるので、そちらに向かう。
職員室に到着し、中に這入る。
教室や部室といった学校にある様々な部屋の鍵が吊るされている鍵掛け。それに目をやって、生徒会室名札が書かれているところを指でなぞりながら確認する。
しかし、そこに鍵はない。
「あれ……?」
誰かが使っているのだろうか。
使っているとすれば、顧問、里霧、厳見辺りだろう。染屋の可能性もあるが、昼休みも図書館棟にいるだろうし、可能性としては低いか。
まあ、すでに誰かが持って行っているのなら、開ける手間も省ける。
おにぎりとサンドイッチを片手に持ちながら、あの扉の鍵を開けるのはなかなか骨が折れるし、ありがたい限りだ。開けづらいなら、一度、置けばいいじゃない――と思う人もいるだろうが、心理的抵抗みたいなものがある。日本人的な性なのかも知れない。
そして、職員室から生徒会室へ。
生徒会室付近は教室の辺りと比べて、落ち着きがあった。
昼休みによく使われる購買部や食堂とは真反対の位置にあるから、辺りが静かなのは当然といえば当然のことではある。静かと言っても、物音一つない真空空間のようになっているというわけでもない。教室の方の喧騒が波及している。
「マジでうるさいんだな、あそこ」
騒然とした音が波及してきているとは言え、あちらに比べれば断然、落ち着いている空間だ。
心なしか、移動することで上がっていた心拍数も落ち着いてきた気がする。
「さて――――」
ドアノブに手を掛けて、扉を押し込もうとする。
すると、扉の奥から、生徒会室から女子の声がした。
その声を聞いて、オレは押し込もうとする手を制止させる。
「ん……なんだ?」
ただ女子の声が聞こえただけなら、オレも扉を押すことに躊躇はしなかっただろう。
オレが扉を開けることを躊躇った理由は他にある。
それは――その声が、怒気を宿していたからに他ならない。
「アンタはそうやって、毎回毎回っ! 私が欲しくて欲しくて、聞きたくて聞きたくてしょうがないっていうのにっ!」
アンタ? 二人いるのか?
もう一方の声は一切聞こえてこないが。
扉に耳を当てずとも聞こえてくる感情的な声音は、唐突に冷静さを取り戻す。
「それにさあ、アンタには言ってあったはずだよね?」
沈黙の後、続ける。
「それなのに、なんでアンタが告白されるわけ?」
色恋沙汰か。
激情しているやつは相当、相手のことが好きらしい。
推察するに、口論している(一方的ではあるが)二人は友達で、以前から好意を寄せている男子がいた。
しかし、その男子が好きになったのは、友達の方だったと。
そして、告白された。
そんなところだろう。
ドロドロもいいところだ。
口論するぶんには一向に構わないが、なんで生徒会室で口論するんだよ。もっと他にいい場所があるだろうに。
もしかして、生徒会室は使われてないものだと思われているのか?
しかしまあ、そんな呑気なことも言ってられない。
なんてことを考えている間にも、謂れのない怒りの言葉が、八つ当たりも甚だしい感情が耳に入って止まらない。こうしてきたのに、ああしてきたのに、努力したのに、好かれるように、そう言っていた。
そして、なにひとつ反論することなく、もう一人はただ粛々と言葉を浴び続けるだけ。
一貫して沈黙の姿勢を崩すことはなかった。
「つーかさ、なんで一言も言い返さないわけ? 私が好きだってわかった上でアプローチしたってこと?」
異論がなければ、言い返さなければ、それは肯定と同義だ。
真偽のほどはどうであれ、何も行動しなければそれが真実となってしまうのは言うまでもない。
誰かは知らんが、違うなら違うとそう言わないとどうしようもないぞ。
もちろん、言い返すタイミングだとか、雰囲気だとかそういった要素はある。
しかし、いつだって言いやすい環境下であるとは限らない。
言いづらくたって、行動しなければならないときは必ず訪れる。
一番悪いのは有耶無耶にしてしまうことだ。
沈黙、間、静寂――激昂していた女子は言葉を引き出すために、何一つ言葉にしない。
一言一句、徹底して。
長く感じられた数秒もの間は、もう一人の生徒によって破られる。
「そんなわけないじゃん……」
静寂の中で捻り出したその声は、随分と弱々しい。
ん? どこかで聞いたことある声だな……誰だ?
オレは扉越しにいる声の主を検索するために、腕を組んで天を仰ぐ。
扉越しというのもあって、声がはっきりとわからない。
弱々しく、声が小さかったというのも一因だろうか。
「で?」
「で――って……」
ああ、わかった。いまの言葉ではっきりした。
――里霧だ。
――里霧有耶だ。
だとしたら、どうしてこんなところで、生徒会室で口論なんてしてるんだ。
昼休みは人が来ないから?
誰にも聞かれたくないから?
噂になることを嫌って?
まあ、こんな修羅場を他人にひけらかしたい人間なんていないか。
「それで、どうなの?」
「どうなのって……さっきも言ったけど、私はなにもやってないんだって」
「その割には目、合わせないんだ。なにか後ろめたいことでもあるんじゃないの?」
里霧に対する詰問は終わらない。
「シュウヤに告白されたと思ったら、今度は生徒会に入って、放課後は生徒会があるとか言って、不撓と一緒にいるし、ホント意味分かんないんだけど?」
「それは――」
「よりにもよってあの生徒会長だよ? 自分が生徒会長になるために、前の生徒会長やめさせたっていう噂もあるあの不撓だよ?」
彼女は「わかってんの?」と付け加える。
「それは……私にもわかんないよ」
「あっそ、こんなことにわざわざ昼休み使って生徒会室まで来た私がバカだった。シュウヤはなんであんな――」
言い留まると、かつかつとこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「それじゃ、話は終わり。私は戻るから」
どうやら一方的な話し合いは、一方的に終わってしまったらしい。
生徒会室から出てくることを見越して、既に姿が見えない場所に位置している。
両開きの扉の右側に堂々と、オレはあぐらで鎮座している。
見つかる心配はない。
教室に戻るなら、右の方へ来ることはないだろうし。
すると、
「なんでこんなことになっちゃったのかな」
里霧を問い詰め、その真偽を確かめるために声を荒げていた彼女は、去り際にそう言ったのだった。
彼女もまた、望んでいなかったのだろう。
こんなことになることを。
あんな物言いをすることを。
望んではいなかったはずなのだ。
でなければ、あんなセリフは出てこない。
そして、嫌な現実を振り切るように、名前も知らない彼女は足早に廊下を行く。
「嫌な場面に出くわしたもんだな……」
独り呟いて、手元に視線を落とす。
「食欲もなくなったな」
厳見あたりにでもくれてやろう。
オレはこの場を後にしようと立ち上がり、ついたゴミを落とすために軽く尻をはたく。
「そこにいるんでしょ」
生徒会室の中からそう聞こえた。
扉の向こうにいるのは一人、里霧有耶のはずだ。
もしかしたら、もう一人いるのかもしれないが、声の大きさ的に恐らくオレに向けてのもの。
名前を言っていないあたり、オレでない可能性もあるので、ひとまず無反応を貫いていたところ、生徒会室の中からもう一度、声が上がる。
「そこにいるんでしょ不撓」
それは間違いなく、オレの苗字だった。
呼ばれたからには行くしかない。
呼ぶということは、オレが生徒会室の前で聞き耳を立てているという確証があるのだろう。
無反応を貫くだけ時間の無駄だ。
「よくオレがここにいるってわかったな」
閉められることのなかった、開け放たれた片扉から、オレは生徒会室の中に這入る。
そこには、普段の様子とはかけ離れた里霧有耶が佇んでいた。
心なしか、声のトーンも下がっている。
ついさっきまでの弱々しい風体など、一切感じさせない。
「聞いてたんでしょ?」
睨みつけるような冷たい視線は、盗み聞きしていたことを咎めるものではないだろう。
どうしてそう感じるのか、という説明できないが、できない説明をするなら、直感――という他ない。
そして、里霧はオレに敵意があるということも、言い表しづらい直感に依るものだ。
「話してた内容の全てじゃないけどな」
乾いた笑みを浮かべ、斜め下に視線をやる里霧。
「そう。全てじゃないって言っても、随分前からいたし、わかったでしょ?」
「わかったって、なにが?」
数秒の沈黙が降りる。
里霧が勿体ぶっているということは決してなかった。
答えを言うのに躊躇った。
そこにどういう意味があるのかは判らない。
そして、答え合わせは里霧の口から示される。
「はは、もうわかったでしょ――――私という人間が」
その答えはえらく重かった。
言葉以上に、その様子が。
えらく重苦しかった。
「たかだか数分のやり取りで、一人の全てが解ってたまるか。オレは超能力者でもなければ神様でもないんでな、微塵も解らん」
もし、オレが数分のやり取りで一人の人間を理解できたなら、生徒会はもっと上手く回っている。生徒会メンバー不撓一人なんて悲惨な状況にはなっていない。
「それなら、私の趣味を教えてあげる」
「趣味?」
「そう、私の趣味」
恍惚と里霧は語り始める。
「私の趣味は――人間関係を掻き乱すこと」
聞けば、誰もが驚くだろうし、こんなことを趣味にしていると堂々と言ってのけることを含め、非難されて然るべきなのは間違いないだろう。
しかし、オレは驚くこともなければ、非難しようだなんて全くもって思わなかった。
「さっきの話を聞いてたならわかるでしょ? サリが好きな男子に、私を好きになってもらえるように仕向けて、結果、その男子は思い通りに告白してきた。サリたちの仲良しグループは気まずくなったのか知らないけど、散り散りになちゃった」
里霧は鼻で笑うように言った。
「ホント、お笑い草よね、たかだが一つの綻びで友達はいなくなっちゃうんだから」
「自嘲的に言うんだな」
「そう?」
しかし、話を聞いていても、いくつかわからないことがある。
「なあ、一つ訊いてもいいか?」
「どうぞ」
「どうして生徒会室で話そうなんて思ったんだ? 昼休みにオレが来る可能性だって低くない。それに、人が来なさそうな場所なんて他にもあるはずだろ? どうして生徒会室を選んだんだ?」
この問いは自分の中で、既に答は出ている。
しかし、行き違いがないように、確認のために、オレはそう言ったのだ。
少なくとも、聞いてもらうために生徒会室を選んだことは間違いないだろう。
ただ、問題はその先だ。
その先がわからない。
オレに聞いてもらった先にある意図が、わからなくなった。二人が会話をしている段階では大凡の察しがついていた……のだが、里霧の変貌によってなにもわからなくなった。
「もちろん、不撓に聞いてもらうため」
「どうしてオレに聞いてもらう必要があったんだ?」
これは少し意地悪な質問だったかもしれない。
「どうして?」
頬に人差し指を当てて、考えている素振りを取る里霧。
う~んと唸ると、変わらない様子で平然と答えてみせる。
「もう隠す必要がなくなったからかな」
隠すとはなにを指すのか、態度の変貌か、それとも『サリ』という女子生徒との諍いを指しているのか。
「そもそも私が生徒会に入ったのは、あなたが極悪非道な人間だって聞いていたから」
「どこ情報だよそれ」
「さあね。でも噂は噂でしかなかったみたいね。生徒総会では独裁者だ、なんだ言われていたけれど、数日間一緒にいてわかった。そんな風に言われる人間じゃないことがね、期待外れもいいとこだわ」
「褒め言葉として受け取っていいのかな?」
「あなたのお好きにどうぞ」
それなら褒め言葉として受け取っておくとしよう。
「それで隠す必要がなくなったっていうのは?」
「ん? ああ、そうだったわね」
まるで、忘れてたと言わんばかりだが、そんなわけがないだろう。
ことは見てわかる。
視線、表情、仕草、反応、それらを加味した結果、オレは意図的に言葉を濁していると判断した。
判断なんて言ってみたものの、そんな大層なものじゃない。
ただの直感と言った方が正しいかもしれない。
我ながら、今日は随分と直感が多いな。
「生徒会に入ったのは、あなたが極悪非道な人間と聞いたから、ここまではさっき言ったわね」
頷く。
「サリとの話、聞いてたと思うけど、あの話が少し面倒な感じに拗れちゃって」
サリという女子が好きな男子は、里霧有耶に好意を抱いた。
しかし、里霧にはそんな気はなくて、ただの趣味でやったことだと。
人間関係を拗らせて、歪ませて、崩壊させる――単なる趣味。
「だから、独裁者なんて言われてる不撓と一緒にいれば、ソウナミも勝手に諦めてくれると思ったんだけど、そうはならなかった」
そうはならなかった、と口にしてから少し、下唇を噛んだように見えた。
一瞬だったから、実際にそうしていたのかどうかは、今となってはわからない。
「もともと、ソウナミが諦めたら生徒会をやめる予定だったけど、諦める様子もないし」
里霧はため息を吐いて肩をすくめた。
「独裁者が聞いて呆れるわ」
罵倒にすらならない罵倒を告げると、今度はオレの目を真っ直ぐと見据え、力強くこう言った。
「今日を以って、生徒会をやめさせてもらいます」
それからは何も言葉にすることなく、扉へと向かう里霧。
何も言わず、
視線を合わさず、
振り向くことなく、
足音だけが耳の中に印象強く残る。
扉の前辺りだろうか、そこで足音はぴたりと止まった。
「さようなら、生徒会長」
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