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8話 ずっと、穏やかにイサラクといたかった

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 セシリアの家来兵隊達を殺していく。
誰かを傷つけるのは嫌いだ。
でも彼等は外道を主とする者達、外道の下に付く者達。
殺してもいいよ。
殺さないと。
彼等のような外道は生かしておくと誰かを傷つける。
平気に、楽しそうに誰かを傷つける。
僕にはそういう外道共の事は理解できない。
目的はセシリアを殺すこと。お姉ちゃんの仇を討つこと。
ただ、誰かを喜んで傷つける外道共は1人でも多く殺せるなら殺しておいた方がいい。
僕は外道が嫌いだ。
外道は強ければ何をやってもいいと。強いのだから何をやっても許されるだなんて思っているのだろう。
それが外道だ。
そんな外道が何故生きている。
死ねばいいのに。
なんで、そんな外道共が生きていてお姉ちゃんが死んだんだよ。
理不尽だよ。
理不尽でも、悲しんでもどうにもならない。
それでも悲しいんだ。

---ミンマタム視点---
イサラクがセシリアの家来兵隊達を次々に殺していく。
強いな。今のイサラクは強いだけじゃない。
怒っている。セシリアへの憎しみ。
怒って当然だ。そりゃあ、憎むだろう。
俺も怒ってるしセシリアを憎むが、その怒りも憎しみも俺よりイサラクの方が断然強いようだ。
イサラクが怒る事なんて今までになかった。
始めに戦った時から感づいていた。
分かっていた。
イサラクが本当の本気ではなかった事。
初めてイサラクと戦った時には感じなかった恐怖を感じた。
こんな事になるなんて。
こんな事にならなければよかった。
イサラクが怒る事なんてない方がよかった。
ずっと、穏やかにイサラクといたかった。
本気のイサラクと戦いたかった。
イサラクに勝ちたかった。
イサラクを羨ましいと思った。
イサラクを憎んだ。
イサラクを憎みたくなくても、憎んでしまっていた。
イサラクに何をされた?イサラクに大切な者を傷つけられたわけじゃない。
イサラクに何かをされたわけじゃない。
それでもイサラクを憎んでいた。
イサラクの事が好きだった。
ミンマタム:「まぁ、俺の2、3倍は強いかな」
 そう言ってみるも、イサラクの返事があるわけがない。
今はイサラクにこんな声は届かないだろう。
例え大声で叫んだとしても。
思えば、イサラクは始めから俺の近くにいたのだろうか。
俺なんかがイサラクに近づけたのか。
強いイサラクに、俺なんかがイサラクのどこに近づけた。
それは分からないけれど、俺はイサラクと近くにいたい。
とにかく、今は敵を殺すんだ。
敵を殺すと気持ちがいい。
こいつ等は殺していい連中だ。
何だか気持ちよくなってくる。
ああ、気持ちいい。
殺していい連中を殺すのは気持ちよくなって当然だ。
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2020.10.18 ユーザー名の登録がありません

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