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3話 お喋り
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むすっとしたりへらへらしながら、なんとなくモルガナと当たり障りのない付き合いをしていた。
会話もするけど、それは何も通じ合っていない会話で、こんなのが会話とか言えるのだろうか。
「言いたい事があるなら言いなさいよ。貴方、私の事が気にくわないんでしょう」
はぁ?当然じゃないか。気にくわないわけがない。
僕は魔王となんて戦いたくない。それなのに、お前のせいで、僕まで魔王と戦わないといけないかもしれないんだ。
いや、かもしれない?違う。このままじゃいずれ戦う事になるんだ。
それなのに、僕はこの村から逃げる事も出来ない。
この村から逃げると、余計に死期が近づくだろう。
今は、この村にいる方が安全なんだ。
「気にくわないわけがないだろう」
「そう、それで?気にくわないからってずっとそうやって不貞腐れてるのかしら。
私はね、貴方が欲しい。貴方の力が必要なの。貴方とお喋りしたいの。
私達、お喋りした事ないでしょう」
ああ、そうだな。僕達は一度も会話した事がない。
お喋りか。して、みようか。
「闘技」
「闘技」
強いな。強い。
モルガナ以外に、子供達との闘技で負ける事はなかった。
中高生相手相手でも、負けなかった。
分かっていた。モルガナが強いなんて事は。
それでも、僕はこうしてモルガナとお喋りしたかったんじゃないか。
不安も恐怖も、全てが筒抜けだった。
中学生でも高校生でも、僕にはでかい態度をとってこなかった。
両親の事もあるだろう、それでも、とにかく僕は強かった。
子供経験の浅い若年層相手に闘技で負ける事なんてなかった。
当然だ、僕より強いと分かってるモルガナと向き合わず逃げてきたんだから。
痛くて怖くて、でもどこか、モルガナは僕の恐怖を受け入れていてくれた。
僕はチートスキルの回復魔法で毎ターン回復できるから、簡単に負ける事はなく、殴り合いは続いた。
今まで、こんなに1ターン1ターン重い一撃を食らった事があるか?ない。
僕の拳がここまで重みを持った事があるだろうか、ない。
今が、この1ターン1ターンの一撃が、今までで一番重い一撃なんだ。
会話もするけど、それは何も通じ合っていない会話で、こんなのが会話とか言えるのだろうか。
「言いたい事があるなら言いなさいよ。貴方、私の事が気にくわないんでしょう」
はぁ?当然じゃないか。気にくわないわけがない。
僕は魔王となんて戦いたくない。それなのに、お前のせいで、僕まで魔王と戦わないといけないかもしれないんだ。
いや、かもしれない?違う。このままじゃいずれ戦う事になるんだ。
それなのに、僕はこの村から逃げる事も出来ない。
この村から逃げると、余計に死期が近づくだろう。
今は、この村にいる方が安全なんだ。
「気にくわないわけがないだろう」
「そう、それで?気にくわないからってずっとそうやって不貞腐れてるのかしら。
私はね、貴方が欲しい。貴方の力が必要なの。貴方とお喋りしたいの。
私達、お喋りした事ないでしょう」
ああ、そうだな。僕達は一度も会話した事がない。
お喋りか。して、みようか。
「闘技」
「闘技」
強いな。強い。
モルガナ以外に、子供達との闘技で負ける事はなかった。
中高生相手相手でも、負けなかった。
分かっていた。モルガナが強いなんて事は。
それでも、僕はこうしてモルガナとお喋りしたかったんじゃないか。
不安も恐怖も、全てが筒抜けだった。
中学生でも高校生でも、僕にはでかい態度をとってこなかった。
両親の事もあるだろう、それでも、とにかく僕は強かった。
子供経験の浅い若年層相手に闘技で負ける事なんてなかった。
当然だ、僕より強いと分かってるモルガナと向き合わず逃げてきたんだから。
痛くて怖くて、でもどこか、モルガナは僕の恐怖を受け入れていてくれた。
僕はチートスキルの回復魔法で毎ターン回復できるから、簡単に負ける事はなく、殴り合いは続いた。
今まで、こんなに1ターン1ターン重い一撃を食らった事があるか?ない。
僕の拳がここまで重みを持った事があるだろうか、ない。
今が、この1ターン1ターンの一撃が、今までで一番重い一撃なんだ。
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