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32話 え。まさか、異世界転生で特別な存在だとでも思ってましたか。特別なのは異世界転移者様だよ。
しおりを挟む青年が危害を加えてくる様には見えない。
青年に近づく。
「隣いいか」
「だめって事ないよな。だめって言っても座るぜ」
双口の言う事も間違っていない。
座らなきゃ。
座って、コイン落としゲームを遊ばなきゃいけないんだ。
「ぜひとも座ってくれ」
うん。友好的だ。
これがダンジョンやこの青年の罠であるとは考えにくい。
何故なら、僕と双口が今とてもコイン落としゲームを遊びたいからだ。
ああああ、あそびてぇぇぇぇ!
コイン落としゲームちょーしてぇぇぇぇ!
「っしゃあきたおら!」
双口が1番席に座る。
青年は2番席に座っている。
僕は、3番席に座る。
「今までのマイマスター、お前達とつんだコイン落としゲームの功夫」
「今のマイマスターのために使うよ」
「君は、武器男子ってやつか」
「ああ。おにぃさんは武器男子が珍しいか」
「私のいた世界では、武器男子なんて見かける事がなくてね」
ん。
「珍しいよ。じろじろ見るようですまないね」
「いいよいいよ。どんどん見てくれ」
「武器男子は見られてこその武器男子ってね」
んんん。うん。
「君、異世界転移者か」
動揺している。
異世界転生者なんて、皆が異世界転生者だ。
だが、この青年は先ほどの発言からして、異世界転生者じゃない。
異世界転移者じゃないのか。
「そういうのかな」
「このダンジョンに飛ばされて、ここでコイン落としゲームをしてたんだ」
「場所を転移しただけじゃない」
「世界を、異世界に転移したんだろうな」
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