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殿方に媚を売る事しか脳のない妹の鼻折ったら少しすっきりした。ざまぁ。
しおりを挟む私は普通の少女ではないだろう。幼い頃から訓練ばかりしてきた。
家族はろくなものじゃなく、思い出しても不愉快になることばかりだ。
妹の真姫ばかり可愛がられ、妹はろくに訓練もせず毎日少年や殿方と楽しくおしゃべりしている。
『お前は訓練していろ。お前は誰よりも強い。滅びの竜を倒せるよう強くなれ』
滅びの竜なんかよりテレビを見たい。外に遊びに行きたい。友達も欲しい。外に出て美味しいものを食べたい。
外の世界は色んな男の子もいっぱいいる。色んな男の子と関わりたい。
「お姉ちゃんは細くていいね」
妹の真姫が今日もパラソルの下に座りながら言う。
そりゃあ毎日訓練ばかりなうえ、ここの食事とくれば外の世界のように高カロリーで美味しくはないのだから
太ろうと思っても太れないし自然と細くもなる。
ぷにぷにした貴方とは違うのよ。
「このお腹、とってなのかしら。摘まみやすいわね」
とっても摘まみやすい。
「お姉ちゃんのお腹、掴めないどころじゃない。摘まめない」
「ふふ。私の勝ちね」
「いいなぁ」
「訓練しなさいよ。嫌でもこうなるわよ」
「訓練してみようかな。ここで男の子達とお喋りするのも私の役目なんだけど」
「これ以上ぷについたら男の子も寄ってこないわよ」
「うん。訓練する」
少年や殿方に媚を売り誘惑する事だけが取り柄の妹に男の子に相手にされなくなるのは重要な問題らしい。
「手合わせしましょう」
「うん。手合せなら楽しいかも。お姉ちゃんに勝てる気しないけど」
家族との手合せはまだ楽しさがある。鹿倉(かぐら)の人達や水守の一族の末端でも戦うと少しは手ごたえもあるが、使用人と戦っても
ここに来たばかりの使用人ならジャブ一撃で殺してしまう。家族は私が殴ったぐらいでは死にはしない。
思い出しても不愉快になることばかりと言ったけど、良いところもあったわね。
私が殴っても死なない。
妹と向かい合うと鹿倉の愛が開始の合図をする。
妹が後ろをとろうと高速で動き回る。
ぷにぷにしてる癖に速さは私より上だ。
高速で動き回る妹に私の攻撃は当たらない。
速さだけじゃないわね。視覚聴覚嗅覚触覚味覚五感と勘、戦闘中の学習能力も私より上だ。
妹は相手の動きを感覚で避け、技も動きも覚え一度避けた技は次からも覚えて避け切る。
無駄に攻撃すれば妹は私の攻撃を読みつくし、私の攻撃は全て当たらなくなるだろう。
足さばきも見られている。表情まで見られていて何を考えてるかも分かっているのだろう。
殿方を誘惑するのが上手いのも、結界越しに相手の表情が見えてるからというのもあるかもしれない。
長引けば勝機はなくなる。近づいて攻めるか受けるかしなければならない。
私から攻撃をしかけると当然妹が避けようとする。避けようとした攻撃を辞め妹の取っ手がついたような摘まみやすいお腹を摘まむ。
「みゃぁ」
妹のお腹が私のようにすっきりしてれば指先が届かなかっただろう。
「私の勝ちね。指先で摘まんでるだけでも私の力に勝てると思うかしら」
妹は引き離そうと抵抗する。
「止めなさい。千切れるわよ」
私が指先に力入れているのに引き離そうとするものだから、妹の余分なお肉が千切れ、私の指先に残る。
「だから止めなさいって言ったでしょう」
妹は少しだけ距離をとり四足歩行になり爪と牙を出す。
「獣じゃないんだから、それは止めてって前にもお姉ちゃん言ったでしょう」
興奮した妹に私の声は届いていない。
いや、聴覚が優れているのだから聞こえてはいるのだろうけど聞く気がないのだろう。
妹のこの姿を見るのが嫌だ。妹がこんな事をしていては私はやはり人間じゃないのだろうなという目を逸らしていた意識を自覚する。
妹が重心の低い四足歩行で爪と牙で攻撃してくる。
元々背の低い妹が四足歩行になった事で余計に攻撃が当てにくくなる。
うなじに牙を立てようとした妹の腕をつかみ地面に叩きつける。
妹はまだ戦意を失わず抵抗する。
「止めなさい。今後は腕が千切れるわよ」
分かってはいたが、何を言っても妹に聞く気はないようだ。
妹の鼻に体重を込めて膝を落とす。
「ぎぃぃ」
妹は鼻の骨が折れて鼻血と苦痛の声を出す。
ざまぁ断罪ってやつかしら。少しすっきりする。ざまぁ。
「もう止めなさいって言ってるでしょう。まだやるのかしら」
妹の腹を殴るとゲロ吐いて苦しんでいる。
消化されていない食事をみっともなく吐いてるのは自業自得だ。
ざまぁ。
本能的に勝てないと悟ったのだろう。妹が大人しくなる。
「負けを認めるのね」
妹が悔しそうに頷く。
ざまぁ断罪って一度やってみるといいものね。すっきりしたわ。
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