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1話 暴力に屈するというわけではないですがここは程度の低い野蛮者どもに合わせてあげましょう。 決して暴力に屈したわけではありません。決して

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 「お姉様、お姉様って要らない聖女よね」
 はぁ?私はレノワポリ王国第一聖女なのですが。
妹のバレアが何やら身の程知らずの発言をしてきます。
聖女としての実力はレノワポリ王国最強。
そんな私が要らない聖女ですか。
随分と大きな口を叩くわね。
態度がでかいですね。生意気ですね。
聖女としての実力を十分付けてから偉そうな発言をして欲しいものですね。
所詮私に敵わないレノワポリ王国第二聖女の分際で、何を言っているのでしょう。
 「そうよアントリィナ、貴女なんて要らないわ。
もういい加減うんざりよ。
出ていきなさい。とっと出ていきなさいこの穀潰し聖女!!」
 はぁ?お父様とお母様はバレアだけを可愛がり私を蔑ろにしてきましたが、
遂にはこのレノワポリ王国最強聖女アントリィナ様に要らない、出ていきなさい、ですか。
やれやれ、後悔しても知りませんよ。
 「アントリィナ、話がある。そこに座りなさい」
 はぁ、無駄に偉そうに振る舞うのだけは上手ですねお父様は。
流石マンチェフスコイ男爵家当主ペカトリアルス、態度だけは特一級クラスです。
 「お父様、私はお父様のような態度だけは特一級のぼんくら男爵と違って忙しいからそんな-」
 っ!!え、えー?
お母様に殴られました。
暴力ですね。虐待ですね。あんまりです。
私が何をしたというのでしょう。
やれやれ、仕方ないですね。
暴力に屈するというわけではないですが、ここは程度の低い野蛮者どもに合わせてあげましょう。
決して暴力に屈したわけではありません。決して。
 「お姉様~言われたとおり座ったらどうかしら~」
 バレアが嫌味ったらしく甲高い声で私を虐めてきます。
バレアは昔からずっとずっと私を虐めてきました。
何故ですか。何故そんなに姉である私を虐めたいのですか。
私は温厚ですから下手に出ていますが、私も怒る時も-
 「早く座りなさい」
 お母様が私を無理矢理椅子に座らせます。
はぁ、なんでも力づく。
品位も教養も知識も学歴も実力も何もないカ-
 「今月いっぱいでマンチェフスコイ男爵家を出ていけ。
お前はいらない」
 はぁ?バレアもお母様もお父様も揃いも揃って馬鹿なんですね。
 「はぁ、揃いも揃って馬鹿どもね。いいわ。お望み通り今月いっぱいで
マンチェフスコイ男爵家を出ていくけれどね。
後から「助けてくれ。戻ってきてくれ」なんて言っても遅いわよ。
その時は私はこう言うのよ。
 「はぁ?今更戻ってきてくれと言われても、私の事を”要らない”と言ったのは貴方達でしょう。
私はイケメン美男子に愛されているので貴方達の事なんて知りません。
今更もう遅い!ざまぁ(笑)」ってね。
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