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93話
しおりを挟むもう、私達を追っていた者も一旦は諦め、少女も見かけなくなっていました。
森の中から出て、今は荒野です。
この遮蔽物の少ない場所で、遠距離からの集中攻撃でも受けたら、厳しいですね。
「だらー」
「ここは熱いの」
熱いと、実椿ちゃんもぷるぷる震えないんですね。
いつもと違って、ぷるぷる震えず、脱力しています。
「荒野だからねぇ」
「森から出て、急にこんな荒野だなんておかしいよね」
当然の流れになっていて、実椿ちゃんが何か喋ると、環希ちゃんが返事をします。
仲良しですね。
「まぁ、ゲームだもの」
「おかしな地形配置にもなるわよ」
2人だけを仲良しにしておくのは嫌なので、私も強引に会話に混じります。
【弓覇の入口に入った男性はLV10になりました】
「規生は頑張ってるの」
「ほんとねぇ」
「規生のレベルアップのアナウンスが聴こえるって事は」
「近くにいるのかしら」
あ、また小羽玖ちゃんが返事をしました。
こんなに遮蔽物の少ない荒野で近くでプレイヤーキルしてるなら、もっと騒ぎになっていたり。
私達も気づくでしょうけどね。
レベルアップのアナウンスは、このエタファン全員に流れるわけじゃないと思うんですよね。
まず、距離。
10億人以上同時にログインしたままログアウトできなくなってるわけですから。
現実世界での肉体の死、エタファンでの痛みに怯えて積極的に戦わない者も多いでしょうが。
それでも、もっとLV2ぐらいへのアナウンスは流れてきてもおかしくはありません。
そして距離だけでなく、関係性というのもあると思います。
暴走規生君は別行動してるとはいえ、私の配下なのですから。
私達にレベルアップのアナウンスが流れていると推測するのは、普通の事です。
それに、いくら規生君がもうLV10とはいえ、アナウンスが誰にでも流れていれば、
規生君がプレイヤーを狙って射っているのは皆が分かる事になります。
そうすれば、規生君はもっと騒ぎになっているでしょう、無事でもすまないでしょう。
手斧を渡してあるとはいえ、射る事に執心な規生君は射る特化でしょうから。
囲まれたり追われたりすれば、LV差があっても規生君の不利は確実です。
それが元気にレベルアップしているのですから、今も元気にプレイヤーを射っているのだと思います。
あまり、少女を射殺されていっても困りますが。
10億人以上がエタファンの世界に入り込んでいるとはいえ、少女の数は有限のこの状況で、
あまりぽんぽん少女を射殺されても困ります。
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