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35話 サンダーラッシュ
しおりを挟む「義徒、そんな奴等に頭を下げるこたぁねぇよ」
「そうよ、そんな無礼なメス二匹は私達が躾けてあげるわ」
群衆が、私達に頭を下げる義徒を批難する。
「月恵、君はもう水守が殺した」
「その月恵は君ではない」
「君は、このゲーム世界に転生しているのだろう」
「その状況で死んだら、君は消滅するかもしれない」
「君達はこの場から逃がしてみせる」
「君からは悪意が」
「悪を感じられない」
「悪を感じたあの月恵とは違う」
「だから、せっかく悪でない月恵に会えたのに」
「殺したくない」
「生きていてくれ、悪ではない月恵よ」
「世界が違うとはいえ、同じ人間を二度殺すのは不快なものだ」
義徒が私達に敵意を持っていないのも、逃がしてやろう守ってやろうという意図も、分かる。
私だけなら、この場を義徒に沈めてもらって逃げられるだろう。
けれど、メルメちゃんの怒りを抑える事はできない。
「メルメ、君の怒りを私にぶつけるといい」
義徒が、ウィンドウ画面を操作する。
【油男が、ロリ少女にゲームを申し込んでいます】
アナウンスが流れる。
「義徒がゲームをするわよ」
「義徒のゲームを見られるなんて」
「義徒に勝てるわけねぇだろうが」
「水守でもないやつじゃよ」
このアナウンスは、この場にいる誰もが聴こえているようだ。
群衆が、観戦の流れに入っていく。
「GAME」
「GAME」
そうだ、ここがどんな世界だろうと。
違う世界の者同士でも、これは同じなんだ。
【ロリ少女が、油男のゲームを承諾しました】
メルメちゃんと、義徒がコントローラーを握る。
ディスプレイが現れ、メルメちゃんと義徒が表示される。
【GAME STAART】
アナウンスが、ゲームの開始を告げる。
「殺す」
メルメちゃんは、杖を振り回す通常攻撃を2発繋げる。
「サンダーラッシュ」
通常攻撃の2発から、雷魔法が繋がる。
「やるじゃねぇかメスガキィ」
「義徒のHPがどんどん減ってくぞ」
「死ぬまで殴っちゃうよ」
メルメちゃんの言葉は本意を感じる。
このまま、勝負を決めるつもりだ。
体格におおいに差があるうえ、何せ相手は義徒だ。
開幕初手から先手を取り、一気に殺害するつもりで。
いや、殺害するしかメルメちゃんには手がない。
遠距離から魔法攻撃をちまちまと撃っていくなんてやり方で、義徒に勝てるわけがないわ。
雷魔法で痺れた義徒に、メルメちゃんは再び通常攻撃を繋げていく。
「通常攻撃→魔法攻撃からまた通常攻撃に繋がったぞ」
「ヒュー!」
「サンダーラッシュってのは、通常攻撃ラッシュに戻して繋げるっていう意味のラッシュかよ」
「痺れてるのは義徒だけじゃないぜ」
「俺はもう痺れちまったぜ!」
「メスガキ、お前になぁ!」
「ちょっとちょっと、これじゃ義徒が」
これが、メルメちゃんの戦い方ね。
なんだか、心が踊っていた。
もう、怒りとか憎しみとか私の中からは飛んでいた。
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