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最弱婚約者と馬鹿にされていた私だけど、何と言われようと王太子妃になりたい

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「お前達に婚約破棄を告げる」
来た来た来た。
パーティ会場の宮殿で私達は王太子に婚約破棄を告げられる。
 驚きはしない。こんな時が来ると予想できていた。
 この場にいる少女・女性はざわめく。
しかし、驚くものはおらず私と同じような反応の者が多い。
誰もがこんな状況は予想できていた。
 なにせ、王太子ブラッドフォードの婚約者は100人もいるのだから。
 次に来る言葉は王太子妃を決める方法か
誰を正式な婚約者に選ぶとか誰を王太子妃に迎えるだのそんな所だろう。
 「お前達元100人の婚約者の中から、一人を王太子妃として迎える」
 ほらね。
 宮殿内の元婚約者達は意気込む。皆王太子妃に選ばれようとしている。
 「最後に生き残った1人が俺の王太子妃だ。あ、今はまだ始めるなよ」 
 元婚約者達は猛り興奮する者もいれば、冷静に勝利への道を考えている者もいる、
 ブラッドフォードの制止がなければもう戦いが始まっていたかもしれない。
 100人の元婚約者達は私を除いて全員チートスキルを持っている。
 私は最弱婚約者と馬鹿にされていた。
 今この場で始めに狙われるのは私だろう。
 私だけがチートスキルを持たずして婚約者だったのは、ブラッドフォードと縁があったからだ。
 そんな理由で婚約者だったのだから、尚更私は馬鹿にされ嫌われていた。
 皆強さにより王太子妃の婚約者だったのに、私1人だけ縁があるからという理由で婚約者になったのだ。
侮辱され軽蔑されて当然だ。
私も自分で恥ずかしい。
 しかし、それが男爵令嬢の生き方だ。
 ブラッドフォードの事は愛していた。
 彼も私の事は愛してくれていたと思う。
 しかし、婚約破棄されたのだ。
 これからは実力で他の元婚約者達と競い合い殺さなければならない。
 「今より戦いの開始だ」
 少し間を置いてから、ブラッドフォードがこの場の王太子妃候補全員に聞こえるように喋った。
 バトラーのドイバル・ヌート・セアンが姿を現し、私の傍を固める。
 命令は必要なかった。
私は宮殿を逃げ去った。
 宮殿を出るとコーチマンのキャトックとグルームのニュストが馬をいつでも走らせる準備をして待っていた。
 私達はは馬に乗り、ドイバル達は馬車に乗り込み逃げだす。
 馬車の中で遠距離攻撃を打ち込まれたら避けようがない。
 何もいわずとも自分から馬車を選び、文句も言わないドイバル達に感謝する。
 「まずは生きて帰るわよ」
 「お嬢の身は俺が守るぜ」
 ドイバルの力強い声が馬車の中で叫ぶ。
ドイバルの声を聞くと力が漲って来る。私が怯えていたたり決意が足りてない時は
ドイバルの声が私を奮い立たせ背中を押してくれる。
 「お嬢様の身はこのヌートがお守りします」
 ヌートが落ち着いた声で言ってくれる。
 ヌートの声を聞くと落ち着く。まるで私を落ち着かせようとしているみたいだ。
 幼い頃からヌートの声を聞くと落ち着いた。どんな重要な状況でも
私を落ち着かせようと喋っているようだった。
 「主様の事は僕が守るからね」
 セアンも幼い声で私を守る意思を示してくれる。
 セアンの声は幼いながらも意思の強さが感じ取れる。
セアンの声を聴くと私の意思の弱さを認識し、意思を強く持たねばと思わせてくれる。
うん、セアンのはそう言ってはみたものの実際は可愛い声だねって所かな。
まぁまだ子供だし。
3人とも馬車の中からありがとう。
今私が弓や魔法で撃たれても貴方達どうしようもないわよね。
馬車の中からどうやって守ってくれるというのか。
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