13 / 23
保険金詐欺?
しおりを挟む
その後の私といえば相も変わらず仕事を転々としながらギャンブルをやっていた。
給料は自分のギャンブルの為だけに使い、文に一切教育費を送るではなくかぬが無くなればまた親にたかる生活を続けていたのだ。
場外馬券売り場で知り合った男性とひょんなことで仲良くなり飯を食いにいった時のことだった。
男の名は松本と言って私より十ほど年上で、彼もギャンブル好きだった。
場外馬券売り場で会って一緒に昼飯を食べにいった時のことだった。
「あんた保険に入っときなよ…」
と突然私の耳元で囁いた。
何の事を言っているのか意味がわからなかったが、何でも保険に入って保険金を保険会社からもらうというある意味詐欺的行為を働こうと私に話してきたのだ。
私はこの前に詐欺で捕まったばかりだから捕まるかもしれない詐欺はやらないと松本に話したのだが、絶対に捕まる様なことではないと断言した。
保険金詐欺で捕まった話はテレビや週刊誌などで何度も見てきた理聞いたりした話であった。
だが松本本人が何度も実行して今の保険では絶対に捕まる事のないやり方があると言うのだ。
にわかに信じがたい話ではあったが、金もない私は松本の話だけでも聞いてみる気になったのだ。
松本の話はこうだ。
先ずは死亡保証なしの医療保険に入る。
死亡保証がなければそんなに高くはない。
一日入院保証額は一万円以上に設定する。
それを数社入る。
それだけだった。
私の年齢では一ヶ月の保険会社への保険料は四千円から五千円の間であった。
それを四社入った。
月々二万円の出費は痛いがこれが大金に化けるのであれば仕方ない。
保険に入ってもすぐには動けない。
あまりすぐに動くと審査が入って給付金が出ないのだ。
私は半年待つことにした。
その間支払いは続いている。
ただでさえ金がないのに辛過ぎる!
半年が経って私は松本と一緒に病院に行った。
何と精神病院である。
私の概念では精神病院は精神に異常をきたしている人が通うところと思っていた。
病院の診察室に入った私は医師にどういた具合でここにきたのかを話した。
松本は数年前にこの病院で入院していた過去があった。
この病院ならば誰でもこの病名で入院可能と言っていたのだ。
その病名は「アルコール依存症」である。
誰もが一度は聞いた事があるなであったが、この数日前松本が私にその症状をレクチャーした。
毎日酒を飲んで家族に迷惑をかけている。
酒を辞めたいのだが自分の意思ではどうにもならないと医師に切実に伝えると言う事だった。
その際松本は私に「先生、助けてください!」
と嘆願するように告げた。
医師は患者を出来るだけ助けてあげたいと思っているはずだ。
患者が願うならば入院という処置をとってくれるのだ…。
私は松本のレクチャー通りに完璧に動いた。
体がダルそうにして目はうつろ、いかにも私は病人です…をアピールした。
あくまでも自然に…。
「入院して治療しますか?」
医師の口から私が望んでいた言葉が発せられた。
「出来るなら、お願いします…」
少し間を置いて私は怠そうに答えた。
「では任意入院という入院になります。
こちらに書類がありますからよく読んで名前を書いてください」
言われた通りに名前を書いた私に医師が続けて「閉鎖病棟と開放病棟とがありますがどちらを希望されますか?」
と聞いてきた。
閉鎖病棟とはその名の通り一度入院すれば医師の許可なしでは外泊はおろか、病院の入り口に鍵がかかっていて外出さえできない。
「開放病棟でお願いします」
私は即座に答えた。
松本から閉鎖病棟の話は聞いていた。
閉鎖病棟での入院は辛いからどちらにしますか?と聞かれるから必ず開放病棟でお願いしますと答えるようにと指示があったのだった。
私は意外にも簡単に入院できたのに驚いた。
普通の病院なら、いろいろな話を聞いて診察をする。
そして薬をもらって数日、または二、三週間経ってからもう一度病院に行って入院できるかどうかの話になると思っていた。
しかもこの病院のシステムに私は精神病院の概念が全く変わってしまったのである!
給料は自分のギャンブルの為だけに使い、文に一切教育費を送るではなくかぬが無くなればまた親にたかる生活を続けていたのだ。
場外馬券売り場で知り合った男性とひょんなことで仲良くなり飯を食いにいった時のことだった。
男の名は松本と言って私より十ほど年上で、彼もギャンブル好きだった。
場外馬券売り場で会って一緒に昼飯を食べにいった時のことだった。
「あんた保険に入っときなよ…」
と突然私の耳元で囁いた。
何の事を言っているのか意味がわからなかったが、何でも保険に入って保険金を保険会社からもらうというある意味詐欺的行為を働こうと私に話してきたのだ。
私はこの前に詐欺で捕まったばかりだから捕まるかもしれない詐欺はやらないと松本に話したのだが、絶対に捕まる様なことではないと断言した。
保険金詐欺で捕まった話はテレビや週刊誌などで何度も見てきた理聞いたりした話であった。
だが松本本人が何度も実行して今の保険では絶対に捕まる事のないやり方があると言うのだ。
にわかに信じがたい話ではあったが、金もない私は松本の話だけでも聞いてみる気になったのだ。
松本の話はこうだ。
先ずは死亡保証なしの医療保険に入る。
死亡保証がなければそんなに高くはない。
一日入院保証額は一万円以上に設定する。
それを数社入る。
それだけだった。
私の年齢では一ヶ月の保険会社への保険料は四千円から五千円の間であった。
それを四社入った。
月々二万円の出費は痛いがこれが大金に化けるのであれば仕方ない。
保険に入ってもすぐには動けない。
あまりすぐに動くと審査が入って給付金が出ないのだ。
私は半年待つことにした。
その間支払いは続いている。
ただでさえ金がないのに辛過ぎる!
半年が経って私は松本と一緒に病院に行った。
何と精神病院である。
私の概念では精神病院は精神に異常をきたしている人が通うところと思っていた。
病院の診察室に入った私は医師にどういた具合でここにきたのかを話した。
松本は数年前にこの病院で入院していた過去があった。
この病院ならば誰でもこの病名で入院可能と言っていたのだ。
その病名は「アルコール依存症」である。
誰もが一度は聞いた事があるなであったが、この数日前松本が私にその症状をレクチャーした。
毎日酒を飲んで家族に迷惑をかけている。
酒を辞めたいのだが自分の意思ではどうにもならないと医師に切実に伝えると言う事だった。
その際松本は私に「先生、助けてください!」
と嘆願するように告げた。
医師は患者を出来るだけ助けてあげたいと思っているはずだ。
患者が願うならば入院という処置をとってくれるのだ…。
私は松本のレクチャー通りに完璧に動いた。
体がダルそうにして目はうつろ、いかにも私は病人です…をアピールした。
あくまでも自然に…。
「入院して治療しますか?」
医師の口から私が望んでいた言葉が発せられた。
「出来るなら、お願いします…」
少し間を置いて私は怠そうに答えた。
「では任意入院という入院になります。
こちらに書類がありますからよく読んで名前を書いてください」
言われた通りに名前を書いた私に医師が続けて「閉鎖病棟と開放病棟とがありますがどちらを希望されますか?」
と聞いてきた。
閉鎖病棟とはその名の通り一度入院すれば医師の許可なしでは外泊はおろか、病院の入り口に鍵がかかっていて外出さえできない。
「開放病棟でお願いします」
私は即座に答えた。
松本から閉鎖病棟の話は聞いていた。
閉鎖病棟での入院は辛いからどちらにしますか?と聞かれるから必ず開放病棟でお願いしますと答えるようにと指示があったのだった。
私は意外にも簡単に入院できたのに驚いた。
普通の病院なら、いろいろな話を聞いて診察をする。
そして薬をもらって数日、または二、三週間経ってからもう一度病院に行って入院できるかどうかの話になると思っていた。
しかもこの病院のシステムに私は精神病院の概念が全く変わってしまったのである!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
虚像のヘルパー
メカ
エッセイ・ノンフィクション
ある介護士のお話
この物語は、筆者である私「メカ」の経験を元に
語られる介護士の裏側の物語。
ノンフィクション(経験)であり、フィクション(登場人物は仮名)。
そんな矛盾を抱えるお話。
貴方に映るこの「介護士」は
果たして、理想的な介護士でしょうか?
それとも、単なる理想郷を求めた若者の寝言でしょうか?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ほっかほか 〜なっちゃんとママとおにぎり〜
成瀬りん
エッセイ・ノンフィクション
保育園に通う4歳のなっちゃんはママが大好き!
そんなママとふたりで暮らしています。
パパは誰かわかりません。
ある日をさかいにママが遠くに感じるように…。
また、ママにぎゅーってしてもらいたい、
なっちゃんがとった行動とは?
母娘のほっこり物語です。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活
坂崎文明
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム、noteを中心に小説新人賞やクリエーター関連のエッセイを書いていきます。
小説家になろう、アルファポリス、E☆エブリスタ、ノベラボなどのWeb小説サイト全般の攻略法も書いていきます。
自動バックアップ機能がある『小説家になろう』→カクヨム→noteの順に投稿しています。note版がリンク機能があるので読みやすいかも。
小説家になろう版
http://ncode.syosetu.com/n0557de/
カクヨム版(567関連で公開停止)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880246141
【続編】カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活2 作者 坂崎文明
https://kakuyomu.jp/works/16816700427247367228
note版
https://note.mu/sakazaki_dc/m/mec15c2a2698d
E☆エブリスタ版
http://estar.jp/_howto_view?w=24043593
小説家になるための戦略ノート 作者:坂崎文明《感想 130件 レビュー 2件 ブックマーク登録 1063 件 総合評価 2,709pt文字数 958441文字》も人気です。
http://ncode.syosetu.com/n4163bx/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる