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何も考えずに…
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実は私と文は結婚式をあげていない。
それだけではない。
籍さえ入れてなかったのだ。
何故…?と聞かれても、当時の私にはその何故…さえわからなかった。
無知なのかもしれない。
常識という言葉を知らなかったのかもしれない。
常識のある人は?…
クエッションを抱くに違いない。
だが当時の私はどの様にすればいいのかわからなかったのである。
いや、それは単なる言い訳に過ぎない。
当時、私は文の親に付き合う事を反対されていた。
文の父親は文が二十歳の時、癌で亡くなっていた。
文は父親が亡くなった時に自分の名義で親の持っていた土地にマンションを建てた。
もちろんローンだったが、私とは違い立派な女性であった。
そのマンションは3DKの間取りの四階建てだ。
当時四階建ての場合はエレベーターなど付けているマンションは少なかった。
一階から三階までの九家族に貸して、四階は自宅にしたのだった。
付き合い始めてしばらく経って文の実家に遊びにいった。
文の母と初めて会ったのがその時だったが、家には何度も電話をかけていた。
文は三人姉妹で長女だったが、次女はすでに結婚していて実家にはいなかった。
文は母親と三女の三人でマンションに住んでいたが、そのマンションは結構広かった。
四階の階の全てを自分たちで使っていたわけだからリビングは広々としているのは当たり前で部屋も個々の部屋はもちろん、使っていない部屋も沢山あった。
三女はまだ二十歳そこそこだったが、ボーイフレンドが時々泊まりに来ている今時のオープンな女性であった。
かなり開放的な母親なのか…?
という思いが私の脳裏をかすめたのだろう…。
私も時々、文のマンションに遊びに行き泊まる日も何度かある様になった。
遊びに行った時に三女の彼氏が来た時の事だ。
「ただいま帰りました…!」
と言って帰ってきたのだ。
三女はもちろん文の母も「おかえり!」
と言って笑顔で迎えた。
その時の印象が私の脳裏に張り付いたのかもしれなかった。
私は頻繁に文のマンションに泊まる様になった。
仕事が休みの日だけではなく、仕事が終わってからもよく訪れた。
私は文の母に気に入られたのかもしれないという思いになった。
ある日私は仕事が終わってからいつもの様に文のマンションに遊びに行った時、つい「ただいま…!」
と言ってしまったのだ。
おそらく文の母はまだ私には心を開いてはくれていなかったに違いない。
何故なら、そう言った私の顔を見た時の文の母の顔は三女のボーイフレンドの時とは違い眉間にシワを寄せている様に見えたのである。
全くもって気まずい雰囲気になったのはいうまでもない。
それ以来、私の足は文のマンションから遠ざかり母親とも話をする事がなくなったのだった。
それは文が私と一緒に暮らすことになった時も文の母に挨拶すらせずに長女が生まれた時にも同じような仕打ちをしてしまったのである。
結婚式どころか籍さえ入れず、子供が生まれた時でさえ同じ様な行動を取る何とも情けない男だったのだ。
長女杏が生まれて私の相変わらずギャンブル好きは変わらなかった。
いや、以前よりましてギャンブルにはまっていった。
当時、麻雀屋のマスターが週に何回かお好みを食べにきてくれていた。
私は店が終わってから後片付けをして毎日のように麻雀に出かけた。
「少し顔を出すだけだから…」
と文に言って何時も夜中に帰る様になっていた。
ギャンブルの中で麻雀だけは唯一と言って良いほど勝っていた。
確かに麻雀だけは…。
だが、ここで私はやってはいけない罪を犯してしまう。
それだけではない。
籍さえ入れてなかったのだ。
何故…?と聞かれても、当時の私にはその何故…さえわからなかった。
無知なのかもしれない。
常識という言葉を知らなかったのかもしれない。
常識のある人は?…
クエッションを抱くに違いない。
だが当時の私はどの様にすればいいのかわからなかったのである。
いや、それは単なる言い訳に過ぎない。
当時、私は文の親に付き合う事を反対されていた。
文の父親は文が二十歳の時、癌で亡くなっていた。
文は父親が亡くなった時に自分の名義で親の持っていた土地にマンションを建てた。
もちろんローンだったが、私とは違い立派な女性であった。
そのマンションは3DKの間取りの四階建てだ。
当時四階建ての場合はエレベーターなど付けているマンションは少なかった。
一階から三階までの九家族に貸して、四階は自宅にしたのだった。
付き合い始めてしばらく経って文の実家に遊びにいった。
文の母と初めて会ったのがその時だったが、家には何度も電話をかけていた。
文は三人姉妹で長女だったが、次女はすでに結婚していて実家にはいなかった。
文は母親と三女の三人でマンションに住んでいたが、そのマンションは結構広かった。
四階の階の全てを自分たちで使っていたわけだからリビングは広々としているのは当たり前で部屋も個々の部屋はもちろん、使っていない部屋も沢山あった。
三女はまだ二十歳そこそこだったが、ボーイフレンドが時々泊まりに来ている今時のオープンな女性であった。
かなり開放的な母親なのか…?
という思いが私の脳裏をかすめたのだろう…。
私も時々、文のマンションに遊びに行き泊まる日も何度かある様になった。
遊びに行った時に三女の彼氏が来た時の事だ。
「ただいま帰りました…!」
と言って帰ってきたのだ。
三女はもちろん文の母も「おかえり!」
と言って笑顔で迎えた。
その時の印象が私の脳裏に張り付いたのかもしれなかった。
私は頻繁に文のマンションに泊まる様になった。
仕事が休みの日だけではなく、仕事が終わってからもよく訪れた。
私は文の母に気に入られたのかもしれないという思いになった。
ある日私は仕事が終わってからいつもの様に文のマンションに遊びに行った時、つい「ただいま…!」
と言ってしまったのだ。
おそらく文の母はまだ私には心を開いてはくれていなかったに違いない。
何故なら、そう言った私の顔を見た時の文の母の顔は三女のボーイフレンドの時とは違い眉間にシワを寄せている様に見えたのである。
全くもって気まずい雰囲気になったのはいうまでもない。
それ以来、私の足は文のマンションから遠ざかり母親とも話をする事がなくなったのだった。
それは文が私と一緒に暮らすことになった時も文の母に挨拶すらせずに長女が生まれた時にも同じような仕打ちをしてしまったのである。
結婚式どころか籍さえ入れず、子供が生まれた時でさえ同じ様な行動を取る何とも情けない男だったのだ。
長女杏が生まれて私の相変わらずギャンブル好きは変わらなかった。
いや、以前よりましてギャンブルにはまっていった。
当時、麻雀屋のマスターが週に何回かお好みを食べにきてくれていた。
私は店が終わってから後片付けをして毎日のように麻雀に出かけた。
「少し顔を出すだけだから…」
と文に言って何時も夜中に帰る様になっていた。
ギャンブルの中で麻雀だけは唯一と言って良いほど勝っていた。
確かに麻雀だけは…。
だが、ここで私はやってはいけない罪を犯してしまう。
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