ファイナルトリック

黒崎伸一郎

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ケントのマジックショー❸

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上空千メートルに差し掛かって飛行機のドア部分が開いた。
コロのついた台車の上に乗った檻の中にケントは入っていた。
AD小森はこの檻についてる金属製の鍵を三箇所にかけた。
台車に乗った檻がドアから落とされる。台車だけが飛行機の中で止まるような仕組みになっていて檻は飛行機からあっという間に海上に落ちた。
「バッシャーン…」
落ちた檻はすぐには沈まずにゆっくりと沈んでいく。
落ちた檻がゆっくりで沈んでいく。
飛行機の中からしばらく中継していたが海上から何かが動く気配はない。
時計を見ると三時二十分。
後三十分以内にケントは東京のNNNテレビ局に現れなければこのショーは失敗ということになる。
AD小森はこれ以上飛行機内からのカメラを回すことの必要性を感じなかった為カメラを岡島のいるスタジオに返した。
岡島は三十分間は間が空くということをケントからは聞いていたのでその間、新しいマジシャンのマジックを用意していた。
その三十分でケントの帰りを待った。

新しいマジシャンは全てお笑い系を揃えた。
マジックにはもともと驚きと笑いが必要だと言うケントの指針に岡島も共感していた。
お笑いのマジックは視聴者の爆笑を誘った。
その三十分がこの番組を最高の視聴率にしたのかもしれない。
だがクライマックスはあくまでもケントのテレポートである。
最後のマジシャンが今マジックを終えようとした。
その時ずぶ濡れのまま現れたのがケントであった。
すぐに岡島がバスタオルを持ってくるようにADに指図した。
ADから投げられたバスタオルを頭にかけたままスタジオに入るケントに拍手の嵐が飛ぶ!
ずぶ濡れでフラフラになったケントに司会者が指紋の照合をする。
本物のケントである。
飛行機から檻ごと落とされたケントがテレポートでこのステージに戻ってきたのだ。
番組が終わる三分前にケントがステージに現れたが岡島はこの事態を想定していてすぐに指紋照合をして番組を終わらせたのだ。
それがなければ番組中に収録は終えることはできなかった筈である。
結局番組は大成功で終わった。
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