ファイナルトリック

黒崎伸一郎

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序章…テレポーション!(瞬間移動)

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TV人気番組<マジックで世界を取れ>でとんでもないマジシャンが現れた。
今まで誰もやったことのないテレポート(瞬間移動)に挑んだのだ。
いやTVで何度かやってはいたがあまりにも鮮やかなテレポートに世界中の人々は引き付けられた。
このマジックがとんでもない反響を呼び彼は一躍有名になる。
その名は志村ケントと言い、母をフィリピン人に持つ日本人だった。

「ファンタスティック!ケント…!!!』

「イッツ、グレイト!!』
世界中から称賛された。
その反面それはフェイクではないか?
どんなトリックをしたのか?
はたまたケントは双子ではないか?
とか、いろんな噂が飛び交うのだった。
マスコミはケントの生い立ちに注目した。
戸籍では父が日本人で母はフィリピン人
母親はケントが生まれた時に病気で亡くなり
父親は事業に失敗して大きな借金を残し失踪し、母親の妹の家で養子として育てられた。
ただしマスコミが知っているのは中学卒業するまでだった。
卒業してから志村ケントの今までの二十年間は全く不明となっていた。
一躍マジック界で有名になったケントはテレビでいろんなマジックを披露して人々を魅了した。
特にカードマジックはケントの得意なマジックで
フラップカードや穴の開いたカードのマジックは鮮やかな手捌きで見ている人を釘付けにした。
その他のマジックも実に鮮やかなものだった。
ただしそれだけでは数多くのマジックを見尽くしてきた世界中の人々を本当に驚かせることはなかなかできない。
だがケントのこのテレポーションは凄くパワが必要で一度テレポートすると体力が回復するまでに何ヶ月もかかるので今すぐにテレポートはできない。
あと半年体力が戻るまで待ってほしいとマスコミに伝えた。
マスコミは一斉に半年後のケントのテレポートの番組を作り大々的に宣伝した。
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