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ヒヨリがちびりそうなその頃2

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向かい風に舌を鳴らしつつ、上空からヒヨリの気をたどる。

すると木々の合間から空…正確には俺を狙い光飛沫が、舞い上がる。

状態を逸らし飛沫を避けるが、その数秒の間に、目の前に現れる男に、また舌打ちをする。


「これより先は通しません。」

神経質そうなテノール声にイラつかされる。


「…お前は、確か…。」

闇獅子ギルドの1人、ジーンとか言う奴。

半獣か…。


ジーンの小さな羽根とそれを補うように水魔法で足りない分を加工し、尚且つ腕が存在する姿に、完璧な獣人ではない事が伺える。


「その小さな羽根で俺に勝てると?」

ニッと口角を釣り上げるキュリウスに、ムッと眉を寄せるジーン。


「確かに、私は完璧な獣人ではありませんが、貴方に負けるような雑魚でもありません。」


水の羽を羽ばたかせながら、小さな水滴を数百と作り出す。

「俺達獣人が魔法を使えないからか?魔法如きで俺を雑魚とは笑えるな。」

鳥の獣人の特徴として、腕が羽根へと変異するが、半獣のジーンには背中からの未熟な羽根と人としての腕、未熟な羽根では飛べないが、魔法で加工し補っている。


魔法は厄介だが、獣人は身体能力がずば抜けている。

狙いはそこだ。

相手は水魔法。決して上空で役立つ魔法とはいえない。

キュリウスは、キロリと瞳を光らせ、ジーンの状態観察をする。

ジーンは数百の水滴を弾丸の様にキュリウスに向かって放った。

キュリウスは上空にさらに羽ばたくが、弾丸の様な速さの水滴は、キュリウスの後を意思が有るかの様に追う。

「小さな羽根を気にしているが、コレならこっちを気にしている場合じゃないだろ?」

ジーンは不敵に笑いつつ、指先で水滴を操る。


「お前の性格を表してる様な面倒な魔法だな!」


キュリウスは上空で体を旋回し、今度は猛スピードで急降下をした。


更に水滴も猛スピードでキュリウスの後を追う。


「幼獣野郎!!食いやがれー!!」


ハッとジーンがした時にはキュリウスの姿が直ぐそばに迫っていた。

上空でこの羽根では直ぐに避けれない、水魔法強化で羽根を使ったとして、避ける事は出来るが、水滴の魔法は消える。

瞬間の判断が災いし、キュリウスの蹴りが鳩尾に入るが、グッと堪え、指先で水滴の弾丸をキュリウスの羽根に打ち込んだ。

キュリウスの羽が空に舞う。


傷ついた羽根に血が滲むキュリウスと、ジーンは鳩尾の痛みを耐える様な身体をくの字に曲げた。


「やるじゃねえか…幼獣野郎。」

「…その口汚さ、ヒヨリに見せてやりたいですね。」


フッと口元を笑わせ、睨み合う2人。



地上ではタキとルル。


そして、ちびりそうなヒヨリ。


つづく。









※最近頭痛と不眠に悩まされて全然書けません。


申し訳ございません。
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