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可愛いワンコ!

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「ワフワフ!!」


「よーしよし!ルル!お手!!」

「ワフ!!」


フサフサの銀毛に包まれた肉球がポフッとヒヨリの手の上に乗る。

ヒヨリよりもデカい犬手の肉球がモフモフしており、満足気にその感触を楽しんだ。

「よーし!いい子だ!!」

わしゃわしゃと頭を撫でると、気持ちよさそうに銀の瞳を細める。




「….これは…どういうこと?」

ジーンが唖然と銀色の狼を見つめた。


「あっ!ジーンおはよ!」

「…おはよ。」


わしゃわしゃと狼を撫で回しながら、ヒヨリは顔を上げるとジーンに挨拶をする。



「いや、何か、朝起きたらルルがいて、ずっと俺の背後から離れないからさ!タダでさえ、ガルやらデカイのに囲まれて窮屈だから、離れる様にいったら、小さくなればいいか?って聞かれてさ。そしたら獣化しちゃって!…大きい犬飼うの夢だったんだ!!可愛いだろ?」



「ワフッ!」


「…狼な。」


ハッハッと舌を出し嬉しそうなルルを見下ろすジーン。


こいつ!人間苦手なんじゃなかったのかよ!!


「ホラッ!お腹も撫でてやるよ!」


ルルは嬉しいそうに腹を向けて寝転ぶ。


「おりゃおりゃ!」

「ワフワフ!!」


獣人の威厳は何処にやった!!

獣人の中でも、我らがボスの獅子と象、狼の獣人は誇りが高いはずなのだが…



「クーン♡ワッフ!」

気持ち良さ気に喘いでいるルルを冷めた目で見る。



ヒヨリは分かっているのだろうか?

いくら狼の姿でも、獣人であり、今撫でているそこら辺は、あそこ辺りに当たるのだが…。


撫で疲れたヒヨリが手を離そうとすると

「クーン…」と寂し気に無く銀色狼。


「クー!可愛いな!!ホラッわしゃわしゃ!」


「ワッフ♡クーン…♡」


おい、こらっ。涎垂らすなルル!

お前は哀愁漂うクール男だろう!!

何故、性格まで変わった…



「な、なんだ!これは!!」


ワナワナと震えながら、ヒヨリのやり取りをガン見しているヒューに、ジーンはハッとルルから視線を外した。


そうだ!我らは偉大な闇獅子の咆哮だ!こんな姿を晒していい訳がない!!
ワナワナと怒りに震えるヒューが今にもルルに飛びかかりそうでヒヤヒヤする。

周りの盗賊もとい、現在ギルドメンバーも唖然と見つめていた。


「ルル…てめぇ…!!」


「げっ!!ヒュー!!」

慌てたのはヒヨリだった。メラメラと燃えるヒューの姿に固まるヒヨリ。ルルは未だにもっと!と催促する様に前足を動かしていた。


ボフン!!


いきなり現れた茶色いライオン。多分ジーンの魔法で色を変えているのだろう。のっしのっしと近づく姿はかなりデカく威圧的だ。

ヒューだと分かっていても怖い。

ションベンちびりそうになり、震えると、ゴロンと腹を出して寝っ転がる。


「え?」


「俺も撫でろ。」

ガウッと低い声で催促するヒュー。


恐る恐る腹を撫でると気持ち良さそうに瞳を閉じる。


おお!初めて触った!!!!


ライオンの感触にドキドキしながら撫でまくる。


「ヒュー!!それはいくらなんでもまずい!!!アンタは最大盗賊団のボスだそ!!」

ギャーーー!!と蒼ざめ叫ぶジーンを無視するヒューはウトウトし始めた。


「ぶ、部下も見てるんだぞ!ヒュー!」


「煩いなジーン。今はギルドメンバーだ。…それに、撫でられたいのは俺だけじゃ、無いみたいだぞ。」


へ?


ジーンは蒼ざめた顔で当たりを見渡すと、皆獣化して座っていた。


「わー!皆可愛い!犬、猫、鳥類も!わっ!ワニ!?」


ヒヨリは動物好きなのか目をランランさせて、周りを見ていた。


「ヒヨリー!!俺も!」

ガバッと抱きついてきたのは豹のタキだ。


「タキ!ヒヨリは俺のだ!!」

ガウッと唸るヒューに気にせず身体を擦りつけてくるタキ。


「いいじゃん!俺も撫でて!!」


「タキまで!!やめなさい!」


「お前はヒヨリの魅力がわからないのか?逆らえないフェロモン出してんだよ!獣人は匂いに敏感だからな!あーいい匂い!!つい甘えたくなるんだよー!!撫でて!撫でたい!ぶっちゃけその先…ゴフッ!」

タキの顔にヒューの尻尾がムチの様にしなりパチンと当たる。


「…ジーンはハーフだからな。わからんのだろう。」


フンッとヒューが放った言葉につい、食いついてしまう。

「えっ?ジーンさんハーフなんですか?」

ヒヨリがびっくりしたとばかりにジーンを見る。


「正確にはクウォーターです。梟の祖父がいます。」


「すごーい!!梟さんが入っているから頭良さそうなんだ!!」


キラキラと見られるとジーンは顔を赤らめて、落ち着かない様子でソワソワし始めた。




「ほう…また、楽しそうじゃ無いかヒヨリ。」


はい、登場しました。闇の住人こと、ガルさん。ドス黒いオーラを背負って立っています。



いつものパターンで慣れましたなw

「はいはい。ガルもおいでー!」


「!!」


膝をポンポンと叩くと、テレポートでも使ったのか!?と思うほど光の速さで、膝に頭を乗っけるガルの髪をスキながら優しく頭を撫でる。


「ホラッよーしよし!」



「…ガルディア…流石にそれは無いぞ。」



階段から降りてきたシスが呆れた様にガルを見下ろす。


「この、黒竜の牙ギルドの団長が…これじゃあ…」


アルはため息をつきながら顔を手で覆った。


「ヒヨリ♡」

「ガル!よーしよし!ダメだぞ!すぐに闇魔法使っちゃ!!」


「ああ。」



「ヒヨリが最強かもね。」

ボソリとコーヒーを飲みながら呟くティーンに一同頷いた。



はい、今日も平和です!

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